森流野球考

中日落合監督の決断と手腕を称えたい(その1)


森祇晶さん

森祇晶さん (0)

2007/11/02 19:54

 皆さんは中日落合監督の決断をどう思いましたか。

 日本シリーズの第5戦。先発の山井が8回まで1人の走者も許さない完全投球を演じていました。ところが落合監督は、9回のマウンドにストッパーの岩瀬を送りました。ファンの方々も驚いたことと思います。

 完全試合は、投手にとって生涯に1度あるかどうかの機会。監督としても、何とか達成させてやりたい記録です。しかし、私は交代させた落合監督の決断をたたえたいと思いました。

 山井の指にマメができるといったアクシデントもあったと聞きます。こうした事情は、チーム内にいなければ分かるものではありません。ただ、そうした原因を差し引いても、落合監督にとって苦しい決断だったでしょう。

 監督とすれば、続投の方が楽です。代えてしまえば、勝っても負けても、周囲から批判を受けることは分かっています。ただ、落合監督は腹をくくっていたのでしょう。自分の仕事に対し、信念を持っていたと言っていいでしょう。

 山井と岩瀬。9回のマウンドへは、どちらの投手を送った方が確実に勝てるでしょうか。もちろん山井も素晴らしい投球をしていました。山井が続投しても抑えたかもしれません。

 しかし、優勝が懸かる最終回というのは非常にプレッシャーがかかります。まして最少の1点リード。山井には完全試合という重圧まで加わりました。これは、かなり厳しい状況といえます。

 そして中日のストッパーは岩瀬という絶対の守護神です。これが並の投手しか控えていないならば、話が違ってくるでしょうが、岩瀬です。9回は岩瀬に任せた方がリスクが小さいことは間違いありません。

 この時点で中日の3勝1敗でした。見ている方々は、圧倒的に中日が有利だと思っていたでしょう。「山井に投げさせ、たとえ逆転されても…」と思ったかもしれません。私も力の差は歴然と見ていました。しかし、やっている方はそう楽観もできないものです。

 一つの四球、一つのエラーで試合の流れが変わります。シリーズそのものの流れも変わります。野球とは、日本シリーズとはそういうものです。

 おそらく過去2度の日本シリーズに負けた経験が、落合監督の決断を後押ししたのではないでしょうか。

 ファンの皆さんが「完全試合を見たかった」と思う気持ちは、よく分かります。私も見たいという思いはありました。

 しかし、皆、チームの勝利のために戦っているのです。監督を経験した者として、落合監督の決断をたたえたいと思います。

 クライマックス・シリーズから、落合監督は私情を捨て勝負に徹していました。イニングをまたいで岩瀬を投入するなど、相手の勢いが「芽」のうちに摘み取っていました。

 落合監督は、選手に無理をさせないタイプの監督です。我慢するところは我慢し、選手を大事に使っています。

 この方法は、長期のペナントレースでは非常に効果的ですが、短期では流れを失ってしまう場合があります。

 落合監督は過去の日本シリーズでは、ペナントレースと短期決戦の切り替えができていませんでした。

 例えば04年の西武との日本シリーズ第3戦では、1度は交代を決意しながら岡本を続投させ逆転負けを喫しました。第7戦では無理をして川上を投げさせず、シーズン中のようにローテーションを守りました。しかし、その経験から、今回は非情に徹したのでしょう。

 私は落合監督というのは、もっと手腕を評価されてもいいと思っていました。今回の日本一を抜きにしても、就任から4年間で優勝、2位、優勝、2位。何の文句もない素晴らしい成績を残しています。しかし、落合監督はメディアなどで手腕に見合うだけの評価を得ていません。

 それを考えると、今の日本球界が抱える問題点、そして間違ったリーダーシップ像が見えてくるような気がします。

 次回は、その点について論じたいと思います。

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コメント (1)

古波蔵 保昌(こはくら やすまさ)さん

古波蔵 保昌(こはくら やすまさ)さん (7)

2007/11/03 02:01

僕はこちらのブログ( http://sns.nikkansports.com/users/masa0718/diary/show/21751 )にも触れさせてもらいましたが、落合監督としては「勝利にこだわるのなら手段を選ばない」というつもりだったのだろうと思いますが、もし僕が中日の監督だったらばという前提であれば、僕は「多少のケガがなんだ。最後まで結果を出して投げ抜いて男になって来い」と激励して続投をさせます。



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