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麻雀名局アーカイブス-土田浩翔01


RMUさん

RMUさん (27)

2008/02/01 18:04

土田浩翔-第22期鳳凰戦 最終18回戦南1局

トイツマスター土田浩翔。

過去に散見していた牌の重なりに関する理論を初めて体系づけたのみならず、その特異な打法でビッグタイトルを獲り続けたからこそ、土田は畏敬の響きと共にそう呼ばれる。

ある研究会でチートイツの待ち選択について解説中、若手選手から質問された。
「土田さんの理論だと、この牌がツモりやすいということですか?」

「…これは俺の理論じゃない。チートイツの理論だ」

普段のやわらかな物腰とは違う、その凛とした主張に、彼のプロ魂を感じたものである。

さて本局は、近年筆者がもっとも衝撃を受けた1局であり、プロの間でも話題になった、土田ならではの名局である。

鳳凰戦は、トップリーグの年間トータル上位3名と、前年の鳳凰位による18回戦の決勝である。
土田は時の十段。対するは3連覇中の阿部孝則鳳凰、多井隆晴王位、瀬戸熊直樹發王と、現役タイトルホルダーによる決勝ということもあって注目度は相当なものだった。

3日間に及ぶ激闘の末、瀬戸熊がリードして最終戦を迎えたが失点。
2位土田との差が2万点を切ったところで、南1局、親土田の7巡目。

22556m2334p4556s ツモ7m ドラ4s

土田は打3p。タンヤオを確定させ5mと5sのくっつきテンパイを狙う。

だが次巡のツモは意に反して2mである。

225567m234p4556s ツモ2m ドラ4s

テンパイではあるが5巡目に手順で8mを放している。
「とりあえず打5mと構えて、3m4m3s4s6s7s引きを待つだろうな。打2mはやりすぎだろう…」
私はそう見ていたし、他のギャラリーもほぼ同意見であったろう。

しかし、土田の応手は誰にも考えつかないものだった。

「リーチ」
ためらう風もなく、5sを横に曲げたのだ。

2枚使いの上に、8mは自身の河を含め2枚見えている。

この、暴挙ともいえるフリテンリーチに、ざわつくわけにはいかないギャラリーは、周囲の者と顔を見合わせている。

そして2巡後、土田は涼しい顔で5mを引き寄せた。
「3,900オール…」

オォー!!っと会場全体がどよめく。

信じられないものを現実に見た私は、少し放心しながら開かれた手牌を眺めていた。

2225567m234p456s ツモ5m

実は多少の懐疑があった。
「トイツ理論はあくまで土田理論であって、麻雀の恒久的な理論とはいえないのではないか」

そんな私に、5mは静かに何かを語りかけているようにも映った。

この一撃で瀬戸熊との差を一気に詰めた土田はその後逆転。
そして数分後、彼は2度目の鳳凰の座に就いたのだった。


祝勝会の席で、嬉しそうに土田は語った。
「2mがアンコになったから、自分のツモ筋に5mは必ずいる。しかも山の浅いところにね。8mの枚数は問題じゃないよ」

聞きながら私は、あのセリフを思い出していた。
「俺の理論じゃない。チートイツの理論だ」

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