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      <![CDATA[　そう、ユニコーンである。何と16年ぶりの再結成である。2月4日にシングル「WAO！」が発売され、18日にはアルバム「シャンブル」も出ることになっている。新作をひっさげての再結成が、ここ数年続いている大物バンドの再結成とは若干ニュアンスが違っているような気がしているのは僕だけではないだろう。<br /><br />　何よりも違うのが、彼らが単に懐かしがって集まったのではないということがある。シングル「WAO！」には、30分近いドキュメントとメンバー全員のインタビューコメントのDVDがついている。そこには、今回の再結成のいきさつがかなり正直な言葉で語られている。<br /><br />　つまり、新作ありきだった。そもそもの発端となったのは一昨年にスタッフが結婚した際に、ドラムの川西幸一を除く4人が集まって演奏したところから始まっている。その時の感触を元に、キーボードの阿部義晴が、川西幸一に「5人で新作を作らないか」と持ちかけたという。<br /><br />　ユニコーンの解散は93年。最後のツアーとなった「4946」ツアーを終えた約一ヶ月後に深夜放送の「オールナイトニッポン」で解散を発表した。その年の2月に音楽的な方向性の違いを理由にグループを脱退したのが川西幸一だった。当時で言えば西川幸一である。<br /><br />　これまでも、再結成に一番消極的だったのが川西幸一だったというのは、そういう背景もあるのだろう。「WAO!」のDVDの中でも「再結成は嫌いだった」と発言している。そんな彼をその気にさせたのが阿部義晴の「新作を作ろう」だった。<br /><br />　阿部義晴自身も「あの頃は良かった」は好きじゃない、と言っている。僕が「BAYFM」で毎週日曜日（9時～12時）までやっている生放送「MIND　OF　MUSIC・今だから音楽」に寄せてくれたメンバーのメッセージにもそんな内容があった。<br /><br />　再結成を決める前にまず曲を持ち寄ろう、レコーデイングをしよう。まずそこから始めたというのが、凡百の再結成と違うところだろう。集まって音を出して懐かしいね、ということでそのままツアーに出るというパターンを取らなかった。<br /><br />　ベースのEBI、こと堀内一史は「5曲くらい録ってから不安になってきて、やっぱりなしにしよう、という夢を見た」と話している。つまり、そのくらい創作的な再会だったことになる。何しろ、そうやって持ち寄った曲は40曲に上ったというのである。<br /><br />「再結成というより16年ぶりの新作」と奥田民生が発言している。　　<br />それは、同窓会ではない。奥田民生はもとより、阿部義晴は氣志團のプロデユーサーだ。川西幸一は、かつてのバンドブーム時代の戦友たちといくつものバンドを結成、、堀内一史とギターの手島いさむも現役である。<br /><br />　ユニコーンは、当時のバンドブームの中でも独自の存在だった。時代的にTHE　BOOMやジュンスカと一緒に語られることが多く、音楽雑誌なども、そういう並びが多かった。アイドル人気のバンドと言って良いだろう。実際、コンサートは9割方女の子だった。<br /><br />　でも、やっていることはとんでもなく高度な遊びを満載していた。それも、殊更にひけらかすのでも、背伸びをしたりするのでもない。洋楽のフレーズやテイストをちりばめつつ、思いきり遊んで見せる。それは一筋縄では行かない個性派集団だった。<br /><br />　ナンセンスという概念は、ある意味では日本人に一番苦手なものではないだろうか。子供の頃から「そんなに遊んでいてはいけません」と叱られ、勤勉実直こそが美徳とされた原日本人にはない、ナンセンスなユーモア。それがユニコーンだった。<br /><br />　何でもいい。今聞いても新鮮なアルバム「服部」は、ジャケットは実在の鳶職人のオジサンの顔だったし、タイトルは阿部義晴の出身地、山形が輩出した有名人の名前だった。しかもメンバーは誰も面識がない。ほとんど意味もない遊び、である。<br /><br />　しかも一曲目の「ハッタリ」は、収録曲をオーケストラによるクラシックアレンジのメドレーだった。「ハッタリ」である。人を喰ったような仕掛けに満ちていて、演奏は確か。ジャズもロックも取り込んでしまえる演奏力の持ち主たちだ。しかも全員曲も書く。<br /><br />　彼らをアイドルバンドにしたのは、10代の女の子たちの柔軟性によるところが多い。面白い、かわいいという一点で、どんなハードロックをやろうと、難解なプログレッシブロックを取り入れようと、コンサートは黄色い歓声で埋まった。<br /><br />　新作アルバム「シャンブル」も、健在、と言うにはあまりあるユニコーンシップに貫かれている。全15曲のうち、奥田民生と阿部義晴が4曲、EBIが3曲、川西幸一が2曲、手島いさむが1曲。奥田と川西合作が1曲と分かれ、それぞれヴォーカルも取っている。<br /><br />　こちらの反応を見透かしたような曲調や終わり方。意味と無意味の間でおいでおいでをするような言葉の遊び。それでいてどの曲にもツボを心得た心地よさと音楽への愛情が込められている。大人の遊びというのはこういうことなのだろうなと思わせてくれる。<br /><br />　そういう意味で言えば、今の方がインパクトがあるようにも思う。何をやっても良いという自由さこそが彼らの魅力だったとしたら、許されないことだらけなのが今だろう。阿部義晴は「今のシーンは面白みがない」とも発言していた。<br /><br />　最後の「4946」ツアーは、いきなり当時のジュリ扇まで登場するという破天荒なものだった。あれから16年。3月からのツアーは阿部義晴の出身地、山形からスタートする。最終日は、16年前も最後の街となった沖縄で終了する。東京は5月19,20日が武道館だ。<br /><br />　今年の元旦、ユニコーンから年賀状が来ていた。これは何だ、と思ったのはこういうことだった。帰って来た“本気のアソビ人”たち。どんな自由奔放なステージを見せてくれるのか。単に一回限りの再結成ではなさそうだ。思いきり遊んで見せてほしい。　<br /><br /><br />　<br />]]>
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      <![CDATA[　きっと時代の変わり目ということなのだろう。続々と新しい才能が登場してきている。中でも目下、音楽メデイアを色めき立たせている二人の女性について書いてみたいと思う。二人とも1月にデビューアルバムを出したばかりである。ただ、音楽のタイプははっきりと違う。それでいて、アルバム発売前にすでに全国のFM局での推薦曲である“パワープレイ”を軒並み獲得している。<br /><br />　一人は先日19歳になったばかりのシンガーソングライター、阿部真央である。1月21日にアルバム「ふりぃ」でデビューした。オリコンのアルバムチャートでは17位にランクされていた。デビューアルバムの順位としては相当なものだろう。アルバムが出た時はまだ18歳だった。　<br /><br />　彼女がデビューするきっかけになったのはヤマハが全国で展開しているテイーンズミュージックフェステイバルの大分大会で優勝してからだ。全国大会で奨励賞を受けてでビューのきっかけとなった。テイーンズミュージックフェステイバルは、Aikoや椎名林檎などがプロになるきっかけになっているイベントとしても知られている、<br /><br />　シンガーソングライターの最大の魅力は、そのアーテイストの書く言葉とその人自身の生きざまの相関関係だろう。その人にしか描けない心象風景や人間模様。阿部真央にはすでにその形が出来上がっている。更に付け加えれば、その腰の据わった歌いっぷりも魅力だ。<br /><br />　筆者が担当しているFMNACK５の「J-POPマガジン」にはニューカマーコーナーというパートがあり、本人が自己紹介コメントを送ってくれる。わずか数分のコメントでありながら、中にはそれだけでその人の片鱗を感じさせてくれるものがあったりするのだが、彼女がまさにそうだった。<br /><br />　シンガーソングライターの多くが、人よりも強い感受性の持ち主であることがあ多い。そして、そうした人のかなりの割合で、同世代の中での協調性や同一性を持てないままに学生生活を送っていることは、80年代の尾崎豊の例を出すまでもない。彼女がまさにそうした高校生活を送っていた。<br /><br />　学校ではほとんど友人も出来ないままに音楽に没頭するという生活。彼女は、そんな日々の中で自分を支えていたのが曲を作ることだった、と言った。そして、自らを“アーテイスト人生”という言葉を使っていた。それもたまたま口にしたというのではない。敢えてそう言ったという確信に満ちた口調でだった。<br /><br />　思い込みが何かを作る。時として過信こそが創造の母だとしたら、彼女にはすでにそうした何かは宿っているのだろう。アルバムにつづられている10代の心の動きが、そのまま創作の糧になっていることが分かる。思っていることが作品になる。それこそシンガーソングライターの最大の条件だと思う。<br /><br />　もう一人は阿部真央から一週間後の28日にデビューアルバムj「RAINBOW」でデビューした福原美穂だ。北海道出身の21歳。アルバムの中には自分で詞曲を書いたものもある。シンガーソングライターと言っても良いだろう。<br /><br />　しかし、彼女が熱い視線を集めているのは楽曲の創作力というよりもその歌唱力にある。高校の時に札幌のテレビ局の番組でマライアキャリーの曲を歌ったことがきっかけだったという歌唱力こそが、最大の魅力だろう。日本人離れした、というすでに死後のような形容詞を思い浮かべさせた。<br /><br />　すでに彼女のプロモーションビデオでは、ロサンジェルスの教会で黒人たちと一緒に歌う姿が使われている。大柄な黒人女性と同化したように身体をゆすって歌う姿は年齢相応には見えないだろう。<br /><br />　ただ、単に歌唱力という技術的なことだけだったら、それで終わっていたかもしれない。彼女に惹かれたのは、今年になって、再びその教会を訪れた時の彼女自身のブログを読んでからだ。<br /><br />　周知のようにアメリカは未曽有の経済危機に直面している。当然ながらロサンジェルスもその影響を強く被っており、彼女が去年歌った教会も、その頃とは様相を一変していたのだそうだ。<br /><br />　教会は宗教的な空間であると同時に、仕事を失ったり住宅を追われた困窮者の救済の場なっていた。彼女も、そうした人たちの炊き出しの場で歌ってほしいと言われたそうだ。日本ではそんな場面に遭遇したことのない彼女にとって、初めて経験する厳しい光景だったことは言うまでもない。<br /><br />　生活と戦っている現地の人たちにとって自分の歌はどんな風に聞かれるのか。自分に、そうした場面で歌う資格はあるのだろうか。ブログの中で、そんな自問自答の中で歌った時の身の引き締まるような想いをつづっていた。<br /><br />　もし、教会で歌うということがプロモーションの一つの仕掛けだったとしても、その場で何を感じて、何を手にしたかということはその人自身の資質を浮き彫りにする。そして、そこで得たものが、その人の音楽生活を裏付けしてゆく。そんなことを感じさせたのだ。<br /><br />　それを仮に“歌心“というのだとしたら、福原美穂にしても阿部真央にしてもそれを備えていると言って良いのかもしれない。<br />2000年代もすでに10年目に入った。<br />　今年は、この先2000年代のシーンを支えて行く人たちが出そろう年でもあるのだと思う。二人の女性アーテイストがその一群にいることは間違いなさそうだ。]]>
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      <![CDATA[　２００８年は新人に恵まれた年だった。いわゆる&rdquo;当たり年&rdquo;というヤツである。<br />　確かに、Ｓｕｐｅｒｆｌやキマグレンなど、ファーストアルバムがいきなりチャートの一位を獲得してしまった例もある。Ｐｅｆｆｕｍｅのようにあれよあれよという間に武道館公演まで成功させてしまった。いちど注目されて流れを掴んでしまえばあとは一気という形が出来上がっているかのようだ。<br /><br />　それと言うのも明らかに時代の変わり目に差し掛かっているせいもあるだろう。<br />　去年のサザンオールスターズの無期限活動休止に代表されるように、この１０年、２０年を牽引していた大御所たちが、方向転換を模索し始めてということもある。そして、何よりも８０年代以降に生まれてきた世代が、着実に力を付けてきたということが大きいと思う。<br /><br />　２００９年最初のオリコンチャートのアルバムチャートの一位は、去年のクリスマスイブに発売になった、いきものがかりの３枚目のアルバム「Ｍｙ　Ｓｏｎｇ　Ｙｏｕｒ　Ｓｏｎｇ」だった。前作の「ライフアルバム」が二位だったから、初めての一位ということになる。三位に入っていたのは同じ日に出たＧＩＲＬ　ＮＥＸＴ　ＤＯＯＲのデビューアルバムだった。<br /><br />　いきものがかりは、２００６年にデビューした時に、次世代を担うアーテイストしてＦＭ番組でも何度か特集をしたことのある推奨株だ。ちなみに同じ頃にそうした存在として取り上げたのはＲＡＤＷＩＭＰＳと秦基博がいる。次世代バンドの溢れるばかりの感性を備えたＲＡＤＷＩＭＰＳとシンガーソングライターとしての自分のスタイルを作り上げていた秦基博。ポップグループとしてのメロデイセンスを伺わせていたいきものがかり、という三組だった。<br /><br />　もう説明の必要もないのだろうが、彼らは、リーダーの水野良樹とギター・ハモニカの山下穂高が小中高の同級生で、ヴォーカルの吉岡聖恵は、二人の同級生の妹という関係だ。バンド名は水野と山下が生き物係をしていたというところからついた。地元は神奈川県の厚木・海老名である。路上ライブで人気になっていたところから始まっている。<br /><br />　彼らの最大の強みは、そのバランスだろう。　新作アルバムは１３曲。内訳は水野良樹と山下穂高が６曲ずつ。初めて曲を書いたという吉岡聖恵が一曲。水野良樹の曲は、デビュー以来のシングルのＡ面がすべて彼の曲であるように、親しみやすい屈託の無さと、どこかに甘酸っぱい青春の匂いがするポップな曲が多く、対照的に山下穂高の書く曲には、内省的な人生観や心理描写を織り込まれていたりする。<br /><br />　二人の作風をポップス派の水野とロックやフォークなど、オルタナ系の山下という対比も出来る。吉岡のはつらつとひたむきなボーカルがみずみずしさを与えてゆく。二人が書くメロデイも彼女が歌うことでいきものがかりの歌として再生されてゆく。新作アルバムに彼女の曲が採用されたのも、「初めて書いたからではなく、二人にはない世界を描いていたから」と明言するなど、単に仲良し３人組に留まらないプロとしての姿勢も持ち合わせている。<br /><br />　彼らに強く惹かれたのは、シングルのカップリング曲にユーミンや太田裕美、プリンセス・プリンセスなどのカバーを入れていたこともあった。それも６枚目からは自分たちのオリジナルだけにするなど、当初から活動のビジョンのような意図を感じさせていたこともある。単に、路上で注目されてデビューした幸運な３人ではない、ポップス確信派という印象があった。<br /><br />　彼らは「去年は、そこまで意図していなかったようなことまでが次々にうまくはまっていった」と言う。何しろシングル盤が５枚、オリジナルアルバムが２枚である。ジャニーズ系のアイドルでもそこまで多いリリースはなかった。というより、彼らはそこまで音楽に特化していないと言った方が良いかも知れない。去年、最も音楽に没頭していたグループと言って過言ではないかもしれない。それでも、「まだ達成感は全くない」とも言った。<br /><br />　今回のインタビューで何よりも頼もしかったのは、水野良樹が「一位になりたい。ポップミュージックは聴かれてナンボですから」と断言したことだった。前作のアルバムタイトルには、彼らのインデイーズ時代や地元での生活を投影したような等身大感が感じられた。新作アルバムは、そうではない。すでに自分たちの歌が、自分たちの手を離れて、聞き手のものになってゆくことを前提としている。それこそがポップミュージックなのだと思う。<br /><br />　水野良樹と山下穂高は１９８２年生まれ、今年２７歳になる。２０代での最初の充実期が、その年でもある。今年は、初めてのホールツアーがデビュー以来最多本数で組まれている。一つ一つが自分たちの栄養になり肥やしになる。ポップミュージックはその時代の&rdquo;旬&rdquo;な音楽なのだとしたら、彼らの今がまさにそんな時期と言って良さそうだ。<br />]]>
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      <![CDATA[<p>&nbsp;　十二月もあと数日となってしまった。<br />　年末ギリギリになって色んな仕事が飛び込んできてしまい、あっと言う間にこんなに時間が経ってしまった。<br />　それにしても、こんな不景気な年末を誰が予想しただろう。バブル期とまでは言わなくても今年の初めくらいは景気回復という絵空事のような話が聞こえてきたような気がする。それが、どうだ。今や職を失った人の数がニュースになるのだから、世の中一寸先は闇、ということなのかもしれない。<br />　こんな社会に誰がした、と忌々しい想いに捕らわれるのは僕だけではないだろう。</p><p>　とは言え、音楽業界的に言えば、不景気の時は歌番組が流行るという言い方があるようだ。遠出する余裕もなくなり、家でテレビを見ている人が増えるということだろうか。<br />　確かに、いつもの年に比べてそういう番組が多いように思うのは気のせいだろうか。<br />　前置きが長いのはいつものことだが、そんな歌番組で目立っているのがＭｒ．Ｃｈｉｌｄｒｅｎだろう。ほとんどの歌番組に出ているのではないだろうか。もちろん、「紅白」もその中に含まれている。</p><p>　テレビだけではない。<br />　１１月の末から１２月にかけて、彼らが表紙になった雑誌は、少なくとも東京だけで５誌はあった。表紙巻頭の特集である。記事では桜井和寿個人のインタビューとメンバー全員という使い分けはあったにせよ、彼らの特集であることには変わりがない。<br />　全方位的露出、である。</p><p>　桜井和寿は、そのことについて「多くの人にアルバムを聴いて欲しいですから」と言い、同時に「このアルバムの根底に流れているのは、音楽の持つ人なつこさだと思うし、それがそうさせているのかもしれない」とも言った。言うまでもなく、１２月１０日に発売になった彼らの１５枚目のオリジナルアルバム「ＳＵＰＥＲＭＡＲＫＥＴ　ＦＡＮＴＡＳＹ」<br />である。</p><p>　Ｍｒ．Ｃｈｉｌｄｒｅｎは去年、デビュー１５周年を迎えた。オリジナルアルバム「ＨＯＭＥ」だけでなくシングルのＢ面を集めた「ＢーＳＩＤＥ」のリリースやアリーナとスタジアムの両方を回ったツアーと精力的に過ごしていた。去年、シングルで発売になりアルバムにも収録されている「旅立ちの歌」は、スタジアムツアーでも披露されていた。つまり、アルバムには、去年のツアーの持っていた密度がそのまま凝縮されていると言って良い。<br />　<br />　前作「ＨＯＭＥ」は、彼らのアルバムの中でも最高傑作と言って間違いなかった。<br />　その一つに、テーマの一貫性があった。必然性と言ってもいい。今、なぜ彼らがこうしたことを歌うのか。それは、１５年目にしてここに&rdquo;たどり着いた&rdquo;と思わせるに十分な説得力を持っていた。</p><p>　あのアルバムの中にあった&rdquo;日常性&rdquo;。日々の暮らしの中でいつものように繰り返される何気ないことのかけがえのない意味。&rdquo;老い&rdquo;というにはあまりにも切ない、年を重ねてゆくことの愛おしさ。それは地に足の着いた大人の細かやさを感じさせた。</p><p>　前作のインタビューの中で最も印象深かったのは、桜井和寿が「これは僕等のロックアルバム」と言ったことだった。<br />　彼は、世の中や時代への警鐘を鳴らしたり、そこにある不条理な死を投影したような従来のロックでは、すでに現実には太刀打ち出来ない、という話をした。端的な言い方をすれば、戦争や環境破壊など、起こりえないことが当たり前になり、現実の方がロックになってしまっている、というのである。</p><p>　それに対して、現実をなぞるような表現ではなく、それとは対極的な位置にあることが&rdquo;日常&rdquo;なんだと思う、と言った。つまり、現実に対しての緊張感、という意味でも、このアルバムはロック、だと言うのだった。<br />　そのことのリアリテイは、今年の年末にこそより強くなるのではないだろうか。<br />　アルバムのきっかけとなった曲「彩り」の中には&rdquo;ただいま&rdquo;&rdquo;おかえり&rdquo;というやりとりがある。<br />　そんな何気ない瞬間こそ、今の彼らの音楽が流れていると言って良いのだと思う。</p><p>　「ＳＵＰＥＲＭＡＲＫＥＴ　ＦＡＮＴＡＳＹ」は、「ＨＯＭＥ」に流れていたそんな音楽観を更に強めたアルバムだと思う。<br />　ただ、そこにはもう、&rdquo;ロック&rdquo;という一つのカテゴリーでは語れない音楽的な豊かさが備わっている。<br />　すでに気がついている方も多いだろうが、それぞれの曲で&rdquo;音楽&rdquo;&rdquo;歌&rdquo;&rdquo;メロデイ&rdquo;という言葉が使われている曲が多い。桜井和寿の言葉を借りれば「そういうことを歌おうとしたわけではなく、自然に出てきた」結果ということになる。</p><p>　かと言って、単に楽天的な音楽礼賛アルバムに終わっていないのは、その向こうにそうではない&rdquo;現実&rdquo;が見え隠れするからでもある。音楽はいつか止むものであり、どんな人の絆にも別れ別れの時があり、人の命にも終わりがある。そうだからこそ、今、音楽に向かっていられることの歓びが溢れている。</p><p>　今回のインタビューで印象深かったのが、桜井和寿は「戦争や環境のことを語るときに、人間はなんて愚かかなんだ、という話に終わるのが嫌だった」と言ったことだった。<br />　こんな時代だからこそ、音楽に本気になる。<br />音楽を&rdquo;やる&rdquo;というより、音楽に&rdquo;なる&rdquo;。そんなアルバムと言って良いと思う。</p><p>　アルバムの中に「エソラ」という曲がある。あれは&rdquo;絵空事&rdquo;から派生したタイトルなのだそうだ。&rdquo;夢物語&rdquo;や&rdquo;絵空事&rdquo;というのは、非現実的な世界として、マイナスなニュアンスもある。&rdquo;夢物語&rdquo;から&rdquo;物語&rdquo;と取った時に&rdquo;夢&rdquo;が残るように&rdquo;絵空事&rdquo;から&rdquo;事&rdquo;を取ると、現実になるのかも知れない、ということだった。</p><p>　誰の心の中にも、起こりえないことが起こるような気がする。音楽はそんな溢れる歓びを伝える力を持っている。あのアルバムジャケットのようにキラキラとした光を放っている。それが、このアルバムだと思う。<br />　<br />　</p><p>　<br />　<br />　<br />　</p>]]>
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      <![CDATA[<p>　　すさまじいコンサートだった。<br />　と言って、予想外のハプニングがあったとか、収拾がつかない混乱が生じたとか、そういうことではない。<br />　常識破りというのだろうか、無謀を越えたというのだろうか。これまでに見たことのないコンサートだったのだ。<br />　再び付け加えれば、それもセットの規模であるとか、大仕掛けな演出とか、そういうことでもない。むしろそれらはむしろ控えめだったと言っても良かった。<br />　勿体ぶった前置きになっているのだが、それが12月3日の沢田研二の東京ドーム公演だった。<br />　6月に還暦を迎えた彼の「お祝い」を兼ねた&rdquo;ジュリー祭り&rdquo;である。</p><p>　数字だけを上げてみよう。演奏時間正味6時間10分。25分の休憩時間を入れると6時間半のコンサート。しかも歌われた曲数は何と80曲ちょうど。二部構成になってはいたものの、一部が42曲、二部が38曲である。普通のコンサートであれば、三回分だろうか。ありがちなメドレーなどない。一曲ごとに律儀に頭を下げ、イントロからアウトロまで演奏するという正真正銘の80曲だったのだ。</p><p>　何度も繰り返すが、60歳である。<br />　年令を超えるコンサートというのは、これまでにも何度となく見てきた。沢田研二の一週間前には61歳の小田和正が史上最年長ドームコンサートを行ったばかりだ。2006年には、やはり60歳の吉田拓郎が、静岡県掛川市の「つま恋」に3万5千人を集め、8時間の野外イベントを行った。でも、あの時は、かぐや姫が一緒であり、単独コンサートではなかった。</p><p>　もちろん、コンサートの感動の度合いは、時間だけでは計れない。一時間でも衝撃的なコンサートはある。どんなに長時間やっても惰性にしか見えないものも中にはある。とは言うものの6時間80曲は、人間の肉体年齢という意味でも限界に近いのではないだろうか。もはや6時間立ちっぱなしでいることすら難しくないという人も多いはずだ。彼はアンコールの最後まで声が出なくなることも、足が止まることもなく、ステージを走り、飛び、かつてのようなアクションを繰り返しながら見事に歌いきったのだ。</p><p>　80曲の内訳について話さなければ行けない。その中にはシングル盤として発売になった曲が40曲を数えた。つまり、70年代から80年代にかけて、それこそ日本中で歌われたヒット曲である。ソロになってからの曲ばかりではない。ザ・タイガース時代の曲も9曲を数えた。最新アルバム「ロックンロールマーチ」の全曲まで、掛け値なしの集大成だった。音楽人生を全て網羅してみせた夜だった。</p><p>　日本の音楽シーンの中の沢田研二という存在について振り返ってみたい。彼が一員としてデビューしたザ・タイガースは、GSとと呼ばれた日本で最初のバンドムーブメントの中で最も人気のあったバンドだった。ビートズルやストーンズに憧れたロック少年たちの夢の形。それは、爆発的な社会現象になるに連れて、形を変え、商業的な画一化の中で急激に失速、一時のブームとして終わってしまった。</p><p>　彼が、脚光を浴びたのは、むしろソロになってからだ。テレビのビジュアル効果を最大限生かしたコスチュームやアクション、歌謡曲としても親しまれるロックテイストのポップス。一作ごとに衣装や振り付けまでが話題になった男性歌手は彼が最初だろう。ビジュアル系の元祖は沢田研二と言って過言ではない。</p><p>　ただ、僕等が彼に見ていたのは、そうしたメデイアも含めた商業的、芸能界的な最前線にいながら、彼が求めている音楽にロックを見ていたからだ。彼の曲を作っていた作曲家の多くがGSのメンバーであり、80年代に入ると佐野元春や大沢誉志幸なども加わっている。</p><p>　ライブでもそうだった。日比谷野音などのコンサートはストーンズを意識したようなパフォーマンスだったし、アマチャアだった彼らを大阪で見つけ、プロの道を付けた内田裕也が毎年大晦日に行っていた浅草ニューイヤー・ロックフェスの常連でもあった。</p><p>　70年代はロック不毛の時代だった。ロックバンドは長髪にジーンズが普通であり、良かれ悪しかれ反体制の匂いがした。当時、誰もが口にしていたのは&rdquo;ロックの市民権&rdquo;である。メジャーな音楽として認知されないという苦境の中で、ミックジャガーやロッドスチュアートなどのような華やかできらびやかさを備えた日本で最初のロックスターだった。</p><p>　東京ドームのステージで彼は&rdquo;夢と現実&rdquo;という話をした。夢というのは、そうやって華やかさの極地にいた頃のことだ。彼が、そうした舞台に姿を見せなくなったのは、いつ頃からだろう。大手のプロダクションを離れて自分のオフィスを持ち、かつてのヒット曲ばかりを求められるテレビ番組には出なくなった。それでもコンスタントに新作を出し、コンサートは続けていた。地道な活動、それが現実、ということだったのだろう。</p><p>　そうやって考えると、彼の生き方こそがロックだったのではないかと思う。無言の反骨とでもいうのだろうか。少なくとも自分の過去におもねることも、そこに引きずられることもない。彼が、NHKの特番で過去のヒット曲を歌う姿を見たのは21世紀になった時だ。言葉は忘れてしまったが、ここから先は&rdquo;おまけ&rdquo;的なことを聞いた覚えがある。で、還暦である。</p><p>　大人のなり方には二つある。<br />　一つは、年なりの姿を見せることで成熟してゆくことだろう。&rdquo;枯れる&rdquo;というのもその一つの形だと思う。もう一つは、アンチエイジング的な緊張感がある。時間を重ねることとどこまで対峙出来るか。この日の彼がまさにそれだったのではないだろうか。60歳になって20代の自分と対決する。彼はそれを「夢の中に戻れた」と表現した。</p><p>　時は取り戻せない。それは誰にもそうだ。ただ、一瞬でも取り戻したように思えることはある。それがこの一夜だったように思う。還暦。暦をゼロに戻すこと。彼は自分の音楽人生をゼロに戻すことに成功したのではないだろうか。祝・還暦、だった。&nbsp;</p>]]>
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      <![CDATA[<p>　何の世界でもそうなのだろうけれど、改めて振り返るからこそ分かることや見つかることは少なくない。<br />　その時は、何気なく見過ごしていたり、見落としていたり、それがどういうことなのか気づかなかったことが、今になって分かってくる。そのことが、時間の経過を飛び越して、点を線に繋げてくれることになる。</p><p>　先日、その一例となったのが、小泉今日子についてだった。<br />　再来週、11月26日に5年半ぶりのオリジナルアルバム「NICE　MIDDLE」が発売になる。<br />　女性に対して年令について話すときは慎重な気の使い方が必要になるというのは、取材やインタビューでも同じだ。男性にとっては、年令を重ねることが、成長や成熟の裏付けとなったりしても、女性はそうは行かない。特にアイドル系だった女性にとっては、年令は触れたくないと思っている人が殆どではないだろうか。そういう意味言えば、「NICE　MIDDLE」というタイトルは異例ということになるのだが、まずはその話ではない。</p><p>　千葉のFM局BAYFMの「MIND　OF　MUSIC」という番組（日曜午前9時半～11時半）で彼女の特集を組むので、これまでのアルバムなどを聞いていた。そして、90年代の彼女の代表曲でもある「あなたに会えてよかった」の作曲・編曲が小林武史だったということに気づいた。前回も彼の名前が登場していて、その前に書いたレミオロメンのプロデユーサーがやはり小林武史だったというのは単なる偶然である。</p><p>　もちろん、その当時も作曲クレジットを見てはいたことは間違いない。「あなたに会えてよかった」の作詞は彼女自身であり、当時、&rdquo;作詞家としての小泉今日子&rdquo;という原稿を書いた覚えもある。ただ、その時は、&rdquo;作詞・小泉今日子&rdquo;という方にばかり意識が行っていたということもある。同時に、小林武史という名前が、彼女の楽曲に当時関わっていた高見沢俊彦や筒美京平、大滝詠一などと言った名前ほど知名度がなかったせいもあるのだろう。でも、あらためて聞いた「あなたに会えてよかった」は、イントロや間奏、アウトロなど随所に小林武史ならではの技が巧みに織り込まれていた。</p><p>　それでつながったのが、10月だったと思うが、小林武史プロデユースのテレビ番組「東京環境会議・ネオコラ」に彼女が出ていたことだった。「東京環境会議」というのは、小林武史と桜井和寿が設立した非営利団体・apbankの一連の流れの中で行われているクラブ系イベントである。クラブに遊びに来る若者にも環境問題を伝えたいという、apbankフェスの別動イベントと言っても良い。「ネオコラ」は、その趣旨に準じギャグバラエテイ番組だった。</p><p>　環境問題を題材にしたギャグ。かつての「ゲバゲバ90分」と言うと、ある年令以上の方にはイメージしやすいかもしれない。そこに進行役もかねた役割で彼女が出ていた。バラエテイ的な軽さを持ちつつ、適度な大人の生活感も備えている。それは、独特な空気感だった。どうして彼女がここにいるのだろう、ということの一つの答えが「あなたに会えてよかった」でもあった。</p><p>　そうやって改めて彼女の楽曲の作家陣を見て、彼女が持っていた&rdquo;時代の空気&rdquo;が見えるような気がしたのだ。80年代の終わりから90年代にかけて&rdquo;渋谷系&rdquo;と呼ばれた音楽がクラブを舞台に広がっていった時代のサブカル的なアーテイストとのコラボ的なジョイント。それは、制作スタッフの思惑や仕掛けという域を超えて、彼女自身が求めたのだろうということが伝わってきた。</p><p>　新作の「NICE　MIDDLE」のコンセプトの一つが&rdquo;同世代のクリエーター&rdquo;と作り上げるというものだったそうだ。作家陣には、ベストセラー「東京タワー」のリリーフランキーや、クラブ系の大御所DJ、藤原ヒロシ、やはり当時文学的なラップで注目されたTOKYO　NO．１　SOULSET、アコーデイオン奏者、新井武人、ジャズギタリストの大橋友規といった人たちが加わっている。いずれも彼女の前後数年生まれのほぼ同世代の人たちだ。全11曲のうち彼女も4曲詞を書いている。</p><p>　NICE　MIDDLEーー。<br />　身も蓋もない言い方をしてしまえば&rdquo;中年&rdquo;である。忌野清志郎が自分のバンドを&rdquo;NICE 　MIDDLE　BAND&rdquo;と呼ぶのは、少しニュアンスが違うかもしれない。男性が自分を&rdquo;オジサン&rdquo;と呼ぶよりも女性が自分を&rdquo;オバサン&rdquo;と呼ぶ方がハードルが高いということでもあるだろう。なかなか軽やかな響きは生まれにくい。</p><p>　小泉今日子は、そうではない。&rdquo;生活&rdquo;という落とし穴に落ちずに日常的な生活感を漂わせている。重すぎもせず軽すぎもしない。それは、絶妙な自然さを伴っている。それは「あなたに会えてよかった」に流れている息づかいと同質のものがあった。もっと言ってしまえば、アイドル時代に他のアイドルにはなかった軽さ、大人のふくよかな穏やかさとともに流れていた。</p><p>　彼女がデビューしたのは8アイドル全盛期の82年である。80年には松田聖子がおり、82年には中森明菜もいた。そうやって振り返ってみた時に、彼女の存在感は、明らかにその二人とは違っていた。仮にアイドルに&rdquo;なろうとした&rdquo;のが松田聖子で、そこから&quot;逃げようとした&rdquo;のが中森明菜だったとしたら、小泉今日子は&rdquo;遊んだ&rdquo;のだと思う。成りきろうとも拒もうともせずに、その中で楽しいことを見つけてゆく。「なんてったってアイドル」は彼女だから似合ったのだろうと改めて思った。</p><p>　その頃「月刊カドカワ」のインタビューを読み直していて、「歌ではずっと悩んでいたけれど、映画はそういう時期がなかった」という発言を見つけた。それは、歌よりも映画やドラマの方が自分らしくいられた、ということでもあるのだろう。感じたままに表現するということが個性になる。彼女が今も映画で存在感を発揮しているのは、そういうこでもあるのだと思った。</p><p>　残念ながら映画は、ほとんど見ていないのだが、浜田省吾の30周年記念ツアーのライブ中に流れるショートフィルムに出ていた彼女に目を奪われた。小学生の男の子を持つシングルマザーの役で、子供を送り出して自分も仕事に行く最初の日、という設定。懸命に生きる女性のけなげさと母親の包容力。それでいて愛くるしさを失わない。新作アルバム「NICE　MIDDLE」には、全編、そんな彼女がいる。</p><p>　「なんてったってアイドル」から22年。若くしてスターになった人、あるいは、かつてアイドルだった女性の中には、その頃の有り様に今も縛られているように見える人も少なくない。<br />　彼女はそうではない。女性が大人になって、年令相応の魅力を備えることの難しさは、芸能界だけでないかもしれない。「NICE　MIDDLE」は、そういう意味でも、大人になることへの一つの指針として聞かれるような気がしている。　<br />　　</p>]]>
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      <![CDATA[<p>　　まさか、こんなことがと思われることがある日突然やってくる。<br />　仮にそうした現象を天災と呼ぶとしたら、彼はかつて天才と呼ばれた男だった。<br />　というような意味不明の枕でも書いてみたくなるほどに何とも呆れてしまうようなニュースが飛び込んできたのは、火曜日（４日）の朝だった。<br />　小室哲哉逮捕ーー。<br />　あの知らせである。</p><p>　細かい数字はこの際週刊誌に任せておこう。彼が何枚ＣＤを売って、年収がいくらあったかをあげつらうことにもはや大した意味はないかもしれない。その栄光が際だっていればいるほど、あの報道とのギャップが面白おかしく取り上げられるということになるのだとも思う。<br />　とは言うものの、これだけ光と影が極端に交差した出来事は日本の音楽界始まって以来だろう。</p><p>　理由がどうであったかとか、彼の性格であるとか、暮らしぶりということよりも、彼が輝いていた時代を思うと、あまりにも象徴的だった気がする。<br />　小室哲哉の時代、というのが確かにあった。<br />　そして、彼のそこから現在に至る軌跡というのは、まさにあの時代の後遺症のように思えてならないのだ。</p><p>　小室哲哉が、ＴＭネットワークを結成したのは１９８４年だった。<br />　ＴＭネットワークは、いくつかの点で画期的だった。<br />　一つはもちろんコンピューターである。甲斐バンドからＢＯＯ／ＷＹへとバンドシーンの主軸が移ってゆく時だ。同じ８ビートでも重い肉体感が特徴だった甲斐バンドと思い入れを排したようなタイトなＢＯＯＷＹのビート。それをアナログ的とデジタル的と例えるならば、ＴＭネットワークは、デジタルそのものだった。<br />　コンピューターを使ったダンスポップス。彼らの前にはＹＭＯがいた。</p><p>　小室哲哉が、９５年に彼がプロデユースしていた人たちを集めて行っていた「ＴＫダンスキャンプ」というイベントにＹＭＯだった坂本龍一が出たことがある。一緒にＹＭＯの「ＢＥＨＩＮＤ　ＴＨＥ　ＭＡＳＫ」を弾くシーンは、その両者が決して無縁ではなかったことを物語っていた。<br />　ただ、ＹＭＯは、あくまでも実験的なスタンスを失わなかったし、それは&rdquo;遊び&rdquo;として集約された。<br />　ＴＭネットワークは、そうではなかった。<br />　最初からメジャーシーンのど真ん中にいた。</p><p>　彼らが画期的だったことのもう一つは、デビュー時にライブよりヴィデオデビューというバーチャルなスタイルを取ったことだろう。<br />　それは、彼らがイメージするライブが壮大過ぎてコスト的に実現不可能ということもあったのだろう。初めて見た日本青年館のライブはコンピュターと同期した、見事なものだった。時にはパントマイムなどの肉体性を交えつつ、エレクトリックなダンスポップショーというスタイルを確立したのは彼らの功績だった。</p><p>　話を急ごう。<br />　ＴＭネットワークが成功していった時代は、そのまま日本が豊かになっていった過程と重なり合う。<br />　彼らが旗印の一つにした&rdquo;ＤＡＮＣＥ&rdquo;というキーワードは、ヨーロッパ発の弾津ビート、ユーロビートと結合する。そこにエイベックスという新しい勢力が介在したことも時代の必然だったのかもしれない。<br />　９４年のＴＭネットワーク改めＴＭＮの解散から先のことはもう説明の必要もなさそうだ。</p><p>　９０年代終わり頃だろうか。<br />　音楽業界に&rdquo;小室バブル&rdquo;という言い方があった。<br />　&rdquo;ＴＫ&rdquo;というイニシャルさえあれば売れた時代が確かにあった。<br />　その頃の彼のインタビューで印象的だったのは、&rdquo;皿回しの論理&rdquo;というものだ。<br />　皿回しの芸人の極意というのは、一枚のお皿の勢いが失われないうちに次のお皿を回すというその連鎖反応の相乗効果だと言うのである。</p><p>　一つのお皿の勢いがあるうちにそれを次のお皿に伝え、お互いを活性化してゆく。<br />　彼はそうやって、大ヒットというお皿を回していった。勢いの連鎖の頂点が&rdquo;バブル&rdquo;と揶揄された時だったことになる。<br />　それは、今思えば株の売買や投機で一攫千金の億万長者が誕生してしまう金融資本主義に似ている。<br />　勢いは止まり、全てのお皿が止まってしまい、バブルが破綻した。</p><p>　それにしても、と思う。<br />　確かにポップミュージックには&rdquo;金の匂い&rdquo;がつきものだと言って良いだろう。<br />　一人の才能が莫大な利潤を生み、そこにいくつもの企業が絡み合ってくる。小室哲哉が８０年代に始めたことは、時代を先取りした発想とそれを形にしてゆくという&rdquo;作品性&rdquo;と&rdquo;商品性&rdquo;とを一致させてゆく過程でもあったのだと思う。<br />　彼の中で、どこかから&rdquo;作品性&rdquo;から&rdquo;商品性&rdquo;に全面移行した時期があったに違いない。回しているお皿の上に&rdquo;作品&rdquo;ではなく&rdquo;商品&rdquo;が載るようになったのは、いつだったのだろうか。</p><p>　彼の逮捕を聞く少し前、小林武史のインタビューがあった。<br />　彼は、Ｍｒ．Ｃｈｉｌｄｒｅｎやレミオロメンのプロデユーサーであり、ａｐｂａｎｋの主催者でもある。１１月２６日には、映画音楽やドキュメンタリー番組の主題曲を集めたインスツルメンタルのソロアルバム「ＷＯＲＫＳⅠ」が出る。<br />　小林武史にとっては、小室哲哉と並べられることは不本意だろうが、改めて二人の違いについて考えてしまったのだ。</p><p>　彼は、「ＷＯＲＫＳⅠ」を&rdquo;音楽人としての原点&rdquo;と呼んだ。プロデユースのように人を介在しないで、音楽と向き合う作業の結果ということになる。それは、繊細で透明な邪念を感じさせない作品だった。活動が多岐に渡っているからこそ、&rdquo;ソロ&rdquo;に還る。それは清々しいアルバムになっていた。<br />　小室哲哉の原点はどこに行ったのだろうと思う。<br />　それが見えなくなったのは、どこでだったのだろうか。<br />　見えなくしたのは、誰だったのだろうか。</p><p>　一つの時代の終わりーー。<br />　それが２００８年だったことは、偶然ではないのだと思う。<br />　リーマンブラザース証券破綻に象徴されるアメリカ主導経済の終焉。お金がお金を生むというバブル的連鎖の終わり。音楽に求められているものや聞かれ方も変わってきている。</p><p>　とは言え、彼が残した名曲達には罪もなければ、その輝きが褪せることもない。彼の不祥事を理由に彼の作品が葬られるようなことだけはあってはいけないと思う。<br />　彼が、再び音楽の世界に復帰し、細々と廻し始める小さなお皿に、素晴らしい作品が載っていることを願うばかりだ。</p><p><br />　</p><p>&nbsp;</p><p><br />　<br />　<br />　　<br />　<br />　&nbsp;</p>]]>
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      <![CDATA[<p>　時間というのは誰にでも同じように与えられている。どんなに経済的に恵まれた人でもそうでない人にも一年は同じように365日としてやってくる。<br />　<br />　何で当たり前のようなことを書いているかというと、先日、ほぼ同時期にアルバムを発売したふた組が、同じ時間でありながら、それぞれに興味深い過ごし方をしていたからでもあった。<br />　<br />　ひと組は10月22日に5枚目のアルバム「SHAKARABBITS」を発売したSHAKARABITSである。<br />　彼らのアルバムは去年出た「嘘を混ぜ込んだ真実のスープ」以来、約一年半ぶりになる。ただ、その時はほとんどプロモーションらしいこともしておらず、業界の中でも浸透しないままで終わってしまった。<br />　<br />　SHAKARABITTSは、99年に専門学校の音楽仲間で結成された4人組だ。インデーズ時代からライブの熱っぽさとビート系のバンドとは一線を引いたようなスカパンク的なポップロックバンドとして注目されていた。2005年と2006年にはスタンデイングの武道館も成功させている。<br />　<br />彼らにインタビューしたのは約3年ぶりだった。その話をすると、彼らは「やっぱり」という納得した表情をしたのだ。どういうことなのかと聞くと、二年以上前からレコード会社との折り合いが悪くなり、新作アルバムも、「出るかどうか分からない中でレコーデイングしていたので、何よりもこうやって発売できたことがうれしい」と言ったのだ。<br />　<br />　洋楽の自伝やバイオグラフィー的な読み物には、レコード会社との契約上のトラブルなどでレコーデイングが出来なくなったり、折角作ったもののオクラ入りしたというエピソードに出会うことがある。<br />　<br />　彼らは日本ではそれほど多くない事態に直面していた。新作アルバムも、最悪の場合はお蔵入りか、自分たちの自主制作の手売りということまで考えていたのだそうだ。<br />　<br />　彼らは、去年、国内だけでなく、好意を持っていたカナダのバンドを日本に招く形で対バンのツアーを行い、その勢いでカナダでの合同ツアーも行ったていた。それもレコード会社の力は一切借りない無所属状態のままだったのだと言った。<br />　<br />ヴォーカルのUKIが会場の入り口で物販を売っていたり、ワゴン車に楽器を積み込んで移動するという形は、アマチャア時代にやっていたことであり、初心に帰れたと屈託がなかった。<br />　<br />新作アルバムにバンド名を付けたのも、そんな全ての想いを注ぎ込んだ現れのようだった。<br />　それはまさしく&ldquo;バンドの絆&rdquo;以外の何物でもないのだろうと思った。</p><p>　もうひと組は一週間後の29日に二年半ぶり4枚目のアルバム「風のクロマ」を発売したばかりのレミオロメンである。彼らに会うのは、まさしく2年半ぶりだった。</p><p>　前作のアルバム「HORIZON」は、シングル「粉雪」が入っていたこともあって、オリコンチャートの一位を三週間続ける大ヒットとなった。その時に彼らを知った人が殆どのはずだ。</p><p>　レミオロメンは、全員が山梨の小中高の同級生3人組だ。アマチャア時代には地元の神社の母屋を借りて練習していたことでも知られている。彼らが「神社時代」と呼んでいる。</p><p>　前作の大ヒットは、彼らを一躍全国区にした。「粉雪」は当時のカラオケの愛唱歌にもなった。そのことが彼らに何をもたらしたのか。それが、インタビューの大きなテーマにもなった。</p><p>　もちろんプロとしてやっている限り、「売れたくない」と思っている人はいない。誰もがもっと多くの人に聞かれたい、もっと広く評価されたいと願って当然だろう。</p><p>　でも、そのことが、予想もしていなかった反動を招くことも歴史が証明している。中には、そういう瞬間風速の大ヒットだけで終わってしまう人も少なくない。その後は「夢をもう一度」的な回顧に陥ってしまったりする。</p><p>　彼らは、「HORIZON」後の自分たちを「どこに行って良いか分からなくなった。このまま勢いに任せてしまおうという地に足のつかない時期もあった」と言った。</p><p>　ただ、彼らは勢いに流されなかった。「もう一回音楽と向き合うところから始めようと思った」というのである。実際に、今やらなければいけないのはそういうことじゃないと思うと、予定されていたシングルを中止して曲作りをした時期もあったと言った。</p><p>　とは言え、2年半の間に、シングルを4枚、アリーナツアーとホールツアーをそれぞれ行い、合間に夏フェスやライブハウス、フリーライブ、更にライブ映像作品を3枚も出している。</p><p>　そんな活動は、バンドに関わることをすべて試してみたと言って良いのだろう。そうやって出たシングルもそれそれに試みていることが違う。彼らの言葉を借りれば「試行錯誤の産物」だった。</p><p>　新作アルバム「風のクロマ」は、歌も演奏も過去の3枚とは比較にならないほどに力強く柔軟性に富んでいる。それはライブを重ねてきた成果だろうし、やるべきことが共有できている強さでもあるだろう。</p><p>　それぞれの2年半――。<br />レコード会社などビジネスとの軋轢の中で自分たちの音楽を貫こうとしたSHAKARABITSと、&quot;ヒットの反動&ldquo;の中で、自分たちを見失うまいとしたレミオロメン。要因こそ違え、求めていたものは同じなのではないかと思った。</p><p>　世の中はますます人と人の関わりが希薄になっている。こういう話を聞くと、バンドという人間関係に対して限りない愛着を感じてしまうのだ。<br />　　　<br />　<br />　</p>]]>
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      <![CDATA[<p>　　今年の夏に、最もたくさんライブをやったバンドは誰だろうと思って、いくつかの資料を見ていて、それが９mm　Parabellum　Bulletだということを知った。<br />　いわゆる野外の&rdquo;夏フェス&rdquo;だけで９本。それ以外にも屋内で行われるオムニバス形式のイベントを入れると１２本という数字がある。少なくとも夏の間は毎週末、どこかのイベントに出ていたと言って良いだろう。<br />　来週１５日、彼らの二枚目のフルアルバム「ＶＡＭＰＩＲＥ」が出る。この秋最も注目されるロックアルバムと言って良いと思う。</p><p>　彼らを初めて見たのは、２００６年の年末にＺＥＰＰ東京で行われたＲＡＤＷＩＭＰＳのライブでのオープニングアクトだった。その時は、まだ、インデイーズでミニアルバムが出たばかりで、僕も含めて殆どの人が知らなかったはずだ。<br />　ただ、音の粗削りさと同様、ライブの型破りな激しさはその時から印象的だった。<br />　いつメジャーから出るのだろうと、誰もが思ったのではないだろうか。</p><p>　そういう意味で本当の衝撃を受けたのは去年の秋だ。メジャーでの最初のアルバム「ＴＥＲＭＩＮＡＴＩＯＮ」が出た後の恵比寿のリキッドルームだった。コンサートタイトルは「硝子越の暴走」。初めてのワンマンライブで見た彼らは、ただ、激しいだけではない精神性のような筋の通ったライブを展開していたのだ。</p><p>　きっと初めて彼らを見た人は、そのライブに度肝を抜かれるに違いがない。<br />　演奏開始と同時にメンバー四人が一斉に暴れ出す。ギターの滝善充は、ステージで生傷が絶えなかったというくらいに所狭しと動き回る。のけぞりはいつくばり飛び上がる。ベースの中村和彦は。上半身を床につかんばかりに前屈し、内なる鬱憤を吐き出すようにシャウトを繰り返す。ヴォーカルの菅原卓郎は、モニターに足をかけ、きりもみのように身体ごと叫び、客席を煽る。ドラムのかみじょうちひろのたたき出すビートは、まるで銃撃戦を展開しているようだ。バンド名も拳銃の９ミリ弾のことである。</p><p>　それでいて歌われているのは、内省的な静けさを湛えたポエジーに満ちている。社会や時代の中の孤立感や焦燥感。詞を書いている菅原卓郎は好きな詩人として谷川俊太郎をあげる。ロックバンドのボキャブラリーとは思えない透明な語感も、彼らの個性だろう。そんな言葉がそうやって体当たりな演奏で歌われるのだから、アンビバレンツな詩情が生まれてくる。</p><p>　そんなパフォーマンスは、初めて尾崎豊を見た時を思い出させた。<br />　バンドとソロというスタイルの違いこそあれ、エンターテインメントの枠に収まらない激しさ。自分の内側にある衝動やどうにもならないもどかしさをそのままステージに刻み込もうとしているようなシリアスさが共通しているような気がした。それでいてカタルシスを感じさせるサービス精神もあるのはバンドならではだろう。</p><p>　９ｍｍ　Ｐａｒａｂｅｌｌｕｍ　Ｂｕｌｌｅｔは、横浜の大学の音楽サークルの仲間で結成されている。とは言うものの、いわゆる横浜的な洗練や洋楽志向という印象がないのは、地方から集まっているということも影響しているのかも知れない。何々風というジャンルや傾向が見えない。</p><p>　演奏は爆音のような激しさで、曲は歌謡曲のような親しみやすいメロデイもある。ギターのフレーズは口で歌えるくらいにキャッチーだ。新作アルバム「ＶＡＭＰＩＲＥ」の中には、ベンチャーズを思わせるインスツルメンタルも入っている。面白ければ何でも取り入れるという柔軟さは、８０年代半ば生まれの特徴だろうか。</p><p>　そうした彼ら固有の要素が、一つになっているのは、その焦点の定まり方にある。新作アルバムの中の「Ｈｉｄｅ＆Ｓｅｅｋ」という曲には、&rdquo;希望の灯に見とれるなよ、希望の灯に見つかるなよ&rdquo;というフレーズもある。安易な愛や希望に救いを求めないヒリヒリするようなリアリテイはロックバンドだからこそだ。ステージにも客席に媚びたような愛想笑いは一切ない。</p><p>　そう、９ｍｍ　Ｐａｒａｂｅｌｌｕｍ　Ｂｕｌｌｅｔは、今のシーンの中で正真正銘のロックバンドと呼べる数少ないバンドだ。音だけではない。どんなに音を激しくしても、その内実が伴わないバンドも少なくない。演奏が終えた後のたたずまいやインタビューなどでの４人は、拍子抜けするくらいに、物静かで礼儀正しい。</p><p>　それは、強大な相手と戦うには、一時的な興奮やその場だけのお祭り騒ぎでは済まない冷静な理性が必要とされるということを知っているようにも思える。例えば、ゴルゴ１３のようなロックバンドというと、誤解を招くだろうか。<br />　１０月１８日、初めての日比谷野音がある。１１月６日から学生時代を過ごした横浜を皮切りにライブハウスツアーが始まる。彼らのロックが何を撃ち抜こうとしているのか、確かめに言ってみる価値はあると思う。<br />　<br />　&nbsp;</p>]]>
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      <![CDATA[<p>　　１０月になった。<br />　夏が終わって、秋が来たと思うと、あっという間に一年の締めくくりというサイクルは年々早くなってきているのは、年令のせいもあるのだと思う。<br />　今日、１０月１日は、竹内まりやのベストアルバム「Ｅｘｐｒｅｓｓｉｏｎｓ」の発売になっている。<br />　今年が、３０周年。その記念アルバムでもある。<br />　そう、３０周年になる。</p><p>　ここ数年、そうしたアニバーサリーを迎えるアーテイストやバンドが多くなっているのは偶然ではない。<br />　キャリアを重ねるということと現役感とが相反しなくなっている。一昔前なら、とっくに第一線を引退する年齢だった５０代や６０代になっても、変わらず元気な姿を見せている。そればかりか、若い頃とは違う輝きや成熟を感じさせる。</p><p>　それは、アーテイストだけの問題でもないだろう。そういう聞き手がいてこそ、彼らもそんな風にキャリアを重ねられるということでもある。音楽を聞き続ける大人達の出現。若い頃の一時的な現象として音楽があるのではない。そんな大人達の有り様が生まれている。<br />　竹内まりやの３０年というのは、そんな一つの象徴でもあるように思う。</p><p>　人生の選択と音楽の普遍性ーー。<br />　彼女の３０年間を振り返ってみて、浮かんでくるのはそんな言葉だ。<br />　彼女のデビューは１９７８年。デビュー曲「戻っておいで・私の時間」は、作詞が安井かずみ、作曲が加藤和彦である。「ＳＥＰＴＥＭＢＥＲ」や「不思議なピーチパイ」など、初期のヒット曲はいづれも作家の書いた曲だ。つまり、シンガー＆ソングライターとして登場したわけではなかった。</p><p>　７０年代後半というのは、７０年代と８０年代の谷間のような時代だった。<br />　７０年代の形というのはすでに出来上がっていた。それは、男女を問わず、シンガー＆ソングライターが新しい流れを作り上げていった時代である。男性では拓郎や陽水であり、女性では、ユーミンとみゆきがいた。一方にシンガー＆ソングライターでなければアーテイストにあらずという風潮があり、もう一方には、山口百恵や桜田淳子とは違う、新しいアイドルを求める芸能界の動きもあった。<br />　竹内まりやのデビューはそんな挾間にあった。</p><p>　彼女の作品には、細野晴臣や高橋幸宏、大貫妙子や加藤和彦、もちろん、山下達郎など、ロック、ポップス系の第一人者たちが参加している。そういう意味で言えば、決して芸能界的なアイドルではなかったにもかかわらず、周囲の扱いはそうではなかった。特に、メデイアがそうだった。すでに結婚していたユーミンや、どう見ても自分たちの思うようにはなりそうにない中島みゆきとは違うフットワークの軽さもあり、何よりも若かった。<br />　芸能雑誌の表紙や情報番組の司会。そんな仕事に忙殺されるようになる。</p><p>「音楽が嫌いになりそうだった」<br />　竹内まりやは、去年のオリジナルアルバム「ＤＥＮＩＭ」でのインタビューで、その頃のことをそう言った。<br />　やりたいこととやっていることのギャップ。ありたい自分と今の自分との落差。デビュー４年。アルバム５枚を作った時点で彼女は、その中で出逢った誰よりも信頼出来る相手と結婚、そして家庭に入ってしまう。彼女にとって結婚は「駆け込み寺だった」とも言った。</p><p>　人生の選択ーー。<br />　それを仕事と割り切ってこなしていたら、そういう選択はなかったに違いない。内心は嫌々でも作り笑いで乗り切れる強さを持った人もいるのだろう。そういう人なら、そんな風に二者択一的な選択はしなかったのかもしれない。<br />　ただ、そうした選択自体は、彼女が初めてというわけではない。むしろ、最も一般的な形という言い方も出来るだろう。<br />　違うのはそこから先だった。</p><p>　家庭に入っていた彼女の元に作曲の依頼が来る。自分の作品でもない気安さが、返って音楽の原点に返らせたということなのだろう。アメリカン・ポップスの申し子のような本来の持ち味が発揮され、それが新しい依頼を招く。そうやって貯まった曲を、自分て歌うことを進めたのはプロデユーサーでもある夫だった。<br />　それが反響を呼んだ。</p><p>　セルフカバーアルバム「リクエスト」は、当時としてはＣＤ、ＬＰ、カセットと三部門で一位になった。<br />　子育てや家事の傍らでの創作。その中で制作した「Ｉｍｐｒｅｓｓｉｏｎｓ」は３５０万枚を記録した。前代未聞の専業主婦アーテイストの快挙だった。</p><p>　音楽の普遍性ということについて触れてみたい。<br />　去年出たアルバム「ＤＥＮＩＭ」は、女性アーテイストの最年長一位を記録した。<br />　とは言え、特別に新しいことをやっているかというとそうではない。<br />　むしろ、彼女が子供の頃から聞いてきた本当に好きだった音楽を使って、今の自分を歌っている。アルバムを象徴していた「人生の扉」は&rdquo;五十路&rdquo;という言葉を使っている。<br />　彼女自身の年令であるーー。</p><p>　ポップミュージックは思春期の音楽として始まった。<br />　１０代の淡い恋ややるせない想い。彼女の声には、その頃の甘酸っぱい名残もあり、そこに引き戻されることもある。その一方で、同じフォーマットを使って５０代になった自分の心境も歌っている。<br />　それがポップスの普遍性ということなのだと思った。<br />　</p><p>　何歳になっても良いと思える音楽がある。<br />　いくつになっても色あせない音楽がある。<br />　そこには男性も女性もない。<br />　そう思わせてくれたことが、彼女の３０年の最大の功績なのではないだろうか。</p><p><br />　<br />　</p><p>　<br />　<br />　　　</p>]]>
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    <title>ASKA&#12477;&#12525;&#12539;&#12450;&#12472;&#12450;&#12484;&#12450;&#12540;&#12392;&#37444;&#33109;&#12450;&#12488;&#12512;</title>
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      <![CDATA[<p>&nbsp;　ポップミュージックは、その国の文化だ、と言ったのはＣＨＡＧＥ＆ＡＳＫＡのＡＳＫＡだった。<br />　もちろん、それに類したことは、他の多くの人も言っているし、自分でも書いたことも少なくない。<br />　でも、その時に、ＡＳＫＡの言葉に強い説得力を感じたのは、彼が、アジア各地を初め世界の音楽シーンを実際に体験しているということがあったからだろう。</p><p>　ＣＨＡＧＥ＆ＡＳＫＡは、アジアでの日本語の音楽を開拓してきた代表的な存在である。９０年代の初めに香港・台湾・シンガポール・上海・北京・韓国と回ったアジアツアーは三次までに及んだ。去年、上海で行われたＣＨＡＧＥ＆ＡＳＫＡのコンサートは８年ぶりにもかかわらずチケットは完売。現地のダフ屋が声を枯らしていた。</p><p>　しかも、そのコンサートは、その後に控えていた国内ツアーの初日という形を取っていた。国内ツアーで形を整えてから海外というのが一般的な形だとしたら、その全く逆の試み。それは、上海という街での自分たちの音楽の定着対しての自信のように見えた。そして、事実、その通りになった。</p><p>&rdquo;国内のツアーに行くようにアジアでやれるようになりたい&rdquo;ーー。<br />　ＣＨＡＧＥとＡＳＫＡのふたりが口を揃えてそう言ったのは、二回目のアジアツアーが行った時だっただろうか。すでに１０年が経っている。その時は夢物語に見えたような場面が、実現していることになる。</p><p>　何でこんなことを書いているかというと、１０月１日に出るＡＳＫＡの新曲「ＵＮＩーＶＥＲＳＥ」のカップリングに、今年の６月のシンガポール公演のライブ録音が入っていたからだ。曲目は、９１年のソロ二作目「ＳＣＥＡＮＥⅡ」の中の「ＰＬＥＡＳＥ」、９５年の「ＮＥＶＥＲＥＮＤ」の「月が近づけば少しはましだろう」、９７年の「ＯＮＥ」の中の「草原にソファーをおいて」の３曲。それぞれ年代が違う、ソロの曲だ。</p><p>　ＡＳＫＡは今月の３０日からソロツアー「ＳＹＭＰＨＯＮＩＣ　ＴＯＵＲ２００８&rdquo;ＳＣＥＡＮＥ&rdquo;」に出る。シンガポールはそれに先だって行われたシンガポール・タイ・上海という三カ国のツアーの一環だった。去年、ＣＨＡＧＥ＆ＡＳＫＡで試みた国内ツアーより先にアジアを回るというアイデアを更に規模を大きくしたことになる。</p><p>「ＵＮＩーＶＥＲＳＥ」は、今、彼が音楽に託していることを集約した曲と言って良いだろう。彼特有の柔らかな曲線を描いたようなスケールの大きいメロデイと、身近な日常と世界を結びつけた詞のファンタジー。&rdquo;ペットボトルロケット&rdquo;&rdquo;鉄腕アトム&rdquo;など、すでに知られている言葉を使いながら環境問題にまで視野を広げてゆく構成力は、熟練の技を感じる。</p><p>　今ほど世界が一つの方向を向いている時はないと思う、と彼は言った。温暖化という環境問題への危機感は程度の差こそあれ、今、何とかしなければ、地球にも人間にも未来がないというのは世界共通の認識だろう。彼は、だからこそ音楽なんだと訴える。</p><p>　ＡＳＫＡと話していて、ハッと思ったのが、鉄腕アトムについてだった。彼は「アトムの最後を覚えてますか」と言ったのだ。彼が話をするうちに何となく思い出してきたのだが、アトムは、地球の環境を守るために、核らしきものを抱いて太陽に飛び込んでゆく。あれは、手塚治虫さんの地球の環境に対しての予感であり、核の平和利用についての答えだったんだと今にして思う。</p><p>　話が逸れたかも知れない。<br />　でも、「ＵＮＩーＶＥＲＳＥ」という曲がなかったらきっとそんなことは忘れてしまっているだろう。「ＵＮＩーＶＥＲＳＥ」のテーマは&rdquo;つながり&rdquo;ということでもある。子供の頃に夢中になった手塚治虫さんの作品も今とつながっているとあらためて思わせてくれた。</p><p>　彼の今回のツアーは、オーケストラとのジョイントである。総勢７０名がステージに上がるという編成は、ＣＨＡＧＥ＆ＡＳＫＡとは１８０度違う。しかも、オーケストラは、その土地の楽団とコラボレーションするという。シンガポールでもバンコックでも上海でもそうやって地元のオーケストラを起用してきた。特別な音楽教育を受けたわけではないポップミュージックのアーテイストが、それぞれの国の文化エリートでもあるミュージシャンと共演する。それも「ＵＮＩーＶＥＲＳＥ」の持つ意味だろう。</p><p>　カップリングに入っているソロの三曲の一曲「ＰＬＥＡＳＥ」は、もとは光ＧＥＮＪＩに書いた曲だ。今でこそ、中島みゆきや氷室京介までがジャニーズ系グループに曲を提供する時代になったが、その原型を作ったのがＡＳＫＡだろう。相手に迎合しない曲作り。「ＰＬＥＡＳＥ」は、そんな典型とも言える曲だ。オーケストラで聞くと、また違う側面が見えてくる。</p><p>　ＣＨＡＧＥ＆ＡＳＫＡは、今年はソロ活動の年に当たっている。ＣＨＡＧＥは、１０月８日にアルバム「アイシテル」を発売、１１月からツアーに出る。ＡＳＫＡは、この後にアルバム発売を控えているようだ。　</p>]]>
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    <title>MONKEY&#12288;MAJIK&#12539;&#20185;&#21488;&#21021;&#12398;&#26032;&#39080;&#12290;</title>
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      <![CDATA[<p>　　最近は、プロになっても東京に出てこないバンドやアーテイストが増えてきている。<br />　その代表的なのがＨＹやオレンジレンジが住んでいる沖縄だろう。<br />　それだけでなく、名古屋や大阪など拠点を移さない人たちも少なくない。<br />　そういう意味でここ数年注目されているのが仙台ではないだろうか。</p><p>　８月終わりの週末に仙台に行った。<br />　今年がデビュー２０周年となっている氷室京介のツアーを見に行ったのだが、土曜日は、ＮＡＣＫ５で生放送をやっている関係で、本社スタジオのある大宮から乗車したのだが、一時間強という時間で着いてしまった。正直に言って、こんなに近いとは思っていなかった。</p><p>　仙台は、楽天球団が誕生以来、話題になることも多いのだろうが、緑が多くて、美しい街だ。海鮮物も新鮮でおいしくて、単身赴任の人気地になっているというのもさもありなんという印象だった。と、いうようなことを書くのが目的ではない。</p><p>　明日、９月３日、ＭＯＮＫＥＹ　ＭＡＪＩＫの通算５枚目のアルバム「ＴＩＭＥ」が発売になる。彼らは仙台に在住である。２００３年にインデイーズでデビュー、２００６年からメジャーに移籍、去年発売になったアルバム「空はまるで」は、オリコンアルバムチャートの３位だった。それでも仙台を離れようとはしていない。ここ数年、仙台が脚光を浴びている理由の一つに彼らの存在があることも無視できないだろう。</p><p>　ＭＯＮＫＥＹ　ＭＡＪＩＫを初めて聴いたのは、２００６年のメジャー一枚目のシングル「ｆｌｙ」が出た時だ。乾いたギターの透明な空気感とメロデイ、それでいてのっぺりしたバラードにならないグルーブ感は、耳にしたことのない音でもあった。仙台在住と聞いて妙に納得した記憶がある。</p><p>　音楽と風土には密接な関連がある。<br />　例えばニューヨークのロックバンドには、あの街特有のスピード感やストリート感覚があったり、南部のブラックミュージックには、北部の都会とは違うねっとりした肌触りがあったりする。日本で言えば、関西系のバンドには、東京のバンドにはない&rdquo;濃さ&rdquo;が感じられたりする。</p><p>　ＭＯＮＫＥＹ　ＭＡＪＩＫの音楽には、そういうギラギラしたような色がない。ラップやスクラッチなど、クラブ系の音作りがされていても爽快な伸びやかさを失わない。そんな印象は、中心になっているメーナード、ブレイズの兄弟がカナダ出身だと聞いて、更に説得力を感じてしまったのだ。</p><p>　カナダとアメリカは同じ北米大陸でもかなり風土が異なっている。ウインタースポーツやアウトドアのメッカでもある自然に象徴される生活環境。リーダーのメーナードは日本の京都大学と姉妹校というカナダの名門大学を出て外国語指導員として来日した。しかも、東京ではなく青森だった。バンドの結成も青森である。</p><p>　そういう意味で言えば、都会の騒音や芸能界的な下世話さと無縁なところで音楽が生まれていると言って良いのかも知れない。全ての音作りが自分たちのスタジオで行われているというのも、そんな&rdquo;らしさ&rdquo;を作りだしているのだと思う。ギターの音色一つ、自分たちの&rdquo;好きな音&rdquo;にこだわっているだけだと言った。</p><p>　前作「空はまるで」には、津軽三味線の吉田兄弟やヒップホップのＳＥＡＭＯが加わったりという、異種格闘技的な実験も試みられていた。新作「ＴＩＭＥ」は、彼ら自身の持ち味を生かした形で、５年というキャリアを総括したような内容となっている。メーナードは「日本のポップスを作っているという意識は強い」と言った。</p><p>　生まれてきたメロデイが呼ぶ言葉。それが、英語詞になったり日本語詞になったりするという曲作りは本当の意味でのバイリンガルということになるのかもしれない。今のロックの聞き手が、英語詞も自然に受け止めているという状況もあるのだと思う。</p><p>　７０年代の初め、ロックは日本語で歌うべきな英語がふさわしいのかという&rdquo;英語日本語論争&rdquo;があった。もはや、そういう時代ではないということの象徴的な存在でもあるだろう。東京が全てではない、ということも含めて、新しいスタイルとして注目してゆきたい。</p><p>　彼らの事務所は、Ｇｒｅｅｅｎを送り出したことでも知られている。仙台から吹いてくる新しい風は当分、止まなさそうだ。　</p>]]>
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      <![CDATA[<p>　　ご無沙汰してしまいました。<br />　何というんでしょうね、しばらく間が空いてしまうと、何となく次に書きづらくなると言うのは、学校を休んだ時に似ているかも知れません。例の「小説・広島フォーク村」に手こずってしまって、他のことを考える余裕がなくなっていた、というと大げさですけど、とんでもない夏になってしまいました。<br />　とりあえず軌道には乗ってきてるようでもありようやくここにも復帰です。ここから頻繁に更新しますんで、時々、見に来て下さい。</p><p>　というようなことを書くのが目的ではなくて、今週のオリコンチャートで生まれた快挙についてであります。<br />　すでにご承知のように安室奈美恵のアルバム「ＢＥＳＴ　ＦＩＣＴＩＯＮ」が三週間連続して一位を獲得。しかも今年最速のミリオン達成ということになりました。アルバムで言うと、１０年半ぶり通算５作目のミリオン。これは女性アーテイスト史上最多でもあります。</p><p>　それだけでも快挙ということになるのでしょうが、もっと特筆しなければいけない大記録がついてます。それは、これで彼女は１０代・２０代・３０代と三つの世代でそれぞれミリオンセラーを記録したことになります。若い時が花と言われる、どちらかと言えば短命な女性が多い中で、三つの年代でのミリオン。これが今日のテーマです。</p><p>　前にも書いたことがある気もするのですが、安室奈美恵という女性は、日本の女性アイドルとしては異色の存在です。それは成り立ちが違う、という点にあります。つまり、どんな風にしてアイドルになったか。そして、アイドルとして寄って立っているところはどこなのか、ということなんですね。</p><p>　伝統的に見て、日本のアイドルはお茶の間と直結していました。一番象徴的なのがテレビのオーデイション番組で、普通の女の子がスカウトされてアイドルとしてデビューするというシンデレラ・ストーリーでしょう。どこにでもいる女の子が、ある日、ブラウン管の中で輝くような笑み浮かべているという構図です。</p><p>　安室奈美恵は違います。<br />　沖縄から上京してきたという出身、スーパーモンキーズというグループでの下積み時代。決してアマチャアぽさがプラスにならないダンスというプロフェッショナルな世界。厚底ブーツに茶髪、ミニスカートという茶の間とは一線を引いたファッション。彼女は、ストリートと直結した最初のアイドルだったと言って良いでしょう。</p><p>　更に、結婚・出産・離婚という、結婚ですら引退に繋がりかねなかった従来のアイドルではあり得ない人生経験を経て、自立した女性として歌っているという点も見逃すことが出来ません。つまり、アイドルでありながら、アイドルの限界を超えているのが彼女だと思うのです。</p><p>　今回の快挙は、それに輪を掛けて彼女の存在感を際だたせています。<br />　それは、「ＢＥＳＴ　ＦＩＣＴＩＯＮ」が、２００２年にそれまでのプロデユーサー、小室哲哉から離れた以降のシングルを集めたＢＥＳＴだからです。ここが一番重要なポイントでしょう。</p><p>　小室哲哉プロデユース時代の楽曲は、どちらかというと&rdquo;ノンフィクション&rdquo;に近かったと言えます。「ＳＷＥＥＴ　１９ＢＬＵＥＳ」もそうですが、実際の彼女の年令や実生活をかいま見せることがリアリテイとなっていたのではないでしょうか。お互いの関係も、生身の二人がクローズアップされる例が多かった気がします。</p><p>　今回のＢＥＳＴについているタイトルは「ＢＥＳＴ　ＦＩＣＴＩＯＮ」。ノンフィクションの対極でもあります。作り物、という意味です。実生活と切り離されて作品としての音楽、日常生活とは違うところに成立している&rdquo;作り物&rdquo;としての自分。確かに、２００２年以降の作品には、ヒップホッップに接近したり、６０年代カルチャーを取り入れたり、より大胆なアプローチを増しています。メイクやファッションもそうでしょう。</p><p>　男女を問わず、一定の年齢に達すると、より生身のその人が感じられるような作風になることが多い気がします。さきほどの分類で言えばノンフィクション的、ということになるでしょう。その人自身を感じさせる作風だったり、肉声が聞こえるような見せ方だったりします。</p><p>　安室奈美恵はその反対を行っているように思うのです。ステージでもほとんど語らない。歌とパフォーマンスという&rdquo;フィクション&rdquo;に特化する。それでも、すでに聞き手は、彼女がどういう人生を歩んでいるかも知っている。つまり、ノンフィクション的な知名度を逆手に取ったフィクションの強みとでも言いましょうか。年令を感じさせない&rdquo;作り物&rdquo;に徹すればするほど、そのギャップが魅力になってくるという構造を作ることに成功した気がするのです。</p><p>　そういう意味で言えば松田聖子も&rdquo;フィクション&rdquo;に徹している女性という言い方が出来るでしょう。でも、彼女のフィクション性は、&rdquo;昔と同じ&rdquo;という連続性の上にあります。年令不相応が、彼女のフィクションと言えます。</p><p>　安室奈美恵は違います。<br />　大人の女性としての性的魅力やファッション性を強調することでフィクションになってゆく。そういう女性は日本には居なかったのではないでしょうか。<br />　彼女はまだ３１才です。<br />　どんな３０代を見せてくれのかで、これからの女性アーテイストの有り様も代わってくるかも知れないと思います。<br />　</p>]]>
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      <![CDATA[<p>　間もなくオリンピックが始まる。<br />　チケットの売れ行きが今ひとつとか、環境的に問題はないのだろうかとか、様々な憶測が語られているものの、始まることは間違いがないのだろうし、もうすぐ、日本中がメダル競争に一喜一憂することになる。</p><p>　すでにあちこちで流れている五輪放送の主題歌の中で、何と言っても印象深いのがＮＨＫの番組で使われるＭｒ．Ｃｈｉｌｄｒｅｎの「ＧＩＦＴ」だろう。先日（２６日）のＮＨＫの番組でも本人達の演奏が紹介されていた。</p><p>　僕が、「ＧＩＦＴ」を生で初めて聞いたのは、１９日から三日間に渡って、静岡県掛川市のヤマハリゾート「つま恋」で開かれた「ａｐｂａｎｋ　ｆｅｓ０８」でだった。三日間登場した彼らのステージの最後を飾ったのが「ＧＩＦＴ」だった。</p><p>　ａｐｂａｎｋｆｅｓは、音楽プロデユーサーとＭｒ．Ｃｈｉｌｄｒｅｎの櫻井和寿が、「一人の人間として未来のために何か出来ないか」と発足した非営利団体である。目的は、環境問題に地道に取り組んでいるプロジェクトに低利子融資するというもので、フェスの利益は、Ｂａｎｋの&rdquo;原資&rdquo;となる。従来のチャリテイ活動とは、更に踏み込んだものとなっている。</p><p>　第一回が２００５年。今年は４年目。去年は台風が直撃し、三日間の予定が一日しか出来ないという思いがけない事態を経験。しかも、会期中に中越沖地震が発生。小林武史は、中止で使えなくなった食材を自ら地震の被災地に運ぶというエピソードもあった。</p><p>　ａｐｂａｎｋの&rdquo;専属バンド&rdquo;であり、桜井・小林もメンバーになっているＢａｎｋ　Ｂａｎｄの曲「はつまついぶき」は、そのことを後になって知った桜井が詩を書いて生まれた曲だ。そういう経緯があるだけに、今年は、無事に行われたということだけで、参加者や関係者の感動もひとしおというところだった。</p><p>　ただ、今、書こうとしているのはａｐｂａｎｋ　ｆｅｓ全般のレポートではない。Ｍｒ．Ｃｈｉｌｄｒｅｎのステージについてであり、「ＧＩＦＴ」に関してである。<br />　というのも、これまでのａｐｂａｎｋ　ｆｅｓの中で、今年ほど彼らの印象が強烈だった年はなかったからだ。</p><p>　ａｐｂａｎｋ　ｆｅｓの大きな特徴は、ジャンルや世代を超えたゲスト出演者の競演にあり、彼らの歌う曲を全て演奏するＢａｎｋ　Ｂａｎｄの技量の素晴らしさにある。従って。ｆｅｓの感想も、そこに向かうことが多く。Ｍｒ．Ｃｈｉｌｄｒｅｎは、いわば、ホストとして彼らを迎える存在感という印象だった。</p><p>　今年はそれが違ったのだ。<br />　長時間演奏したわけではない。曲数も９曲と多くない。それでも演奏的な意味での&rdquo;体力&rdquo;が一段と逞しくなり、バンドとしてのグルーブが見違える程になっていた。去年、デビュー１５周年のアリーナツアーを経験したということもあったのだろうし、去年から共にステージに立っている小林武史が新しい要になっているということもあるのだろう。</p><p>　全ての面で、一回り大きくなったような気がした。自信、と言ってしまえばそれまでなのかもしれない。自分たちが歌うべきことや音楽に対しての揺るぎない確信。「ＧＩＦＴ」にもそんな確かと力強さを感じるのだ。</p><p>「ＧＩＦＴ」を初めて聞いた時に、これがオリンピックの番組主題歌であることを忘れてしまった。なぜならあの曲が、メダル至上主義ではないからだ。勝者礼賛に終わっていないからだ。冒頭の&rdquo;一番きれいな色って何だろう&rdquo;という一節が全てを物語っているのではないだろうか。彼は、&rdquo;「金・銀・銅」という勝者にのみ与えられる輝きより、もっと大切で、価値ある輝きが存在すると思っています&rdquo;とコメントしている。</p><p>　彼らの前作アルバム「ＨＯＭＥ」は、日本のロック史に残るアルバムだと思う。<br />　それは、従来の&rdquo;ロック&rdquo;という概念に当てはまらないという意味に置いてである。桜井和寿は、インタビューの中で「このアルバムは僕らのロックです」と言った。</p><p>　従来のロックが持っていた一つの定型。例えば、破壊的な音であり、暴力的なフレーズである、反抗的な歌詞だったりだ。あのアルバムは、そうした&rdquo;一見ロック的&rdquo;という要素がどこにもない。むしろ、日常的なデイテールを慈しむようにくみ上げてゆく。</p><p>　彼は、「現実の方がロックであり、従来のロックではリアリテイを持ち得ない」と言った。つまり、戦争や天災、子供達を襲う悲劇など、現実の方が音楽を追い越してしまっている。だとしたら、それに対置するのには、むしろ、誰にでもある日常を歌うことなのではないか、と言ったのだ。</p><p>「ＧＩＦＴ」は「ＨＯＭＥ」の延長線上にあると思う。<br />　金メダルを獲得した特別な瞬間だけでなく、それを支える日常への視線。金色には輝かなかったとしても、それ以上に価値がある時間や関わった人々もいる。そんな視線は「名もなき詩」や「優しい歌」にも流れているものだろう。オリンピックの歌でありながら&rdquo;一番きれいな色は何だろう&rdquo;と歌ってしまう彼らに、しなやかなロックスピリットを感じるのは僕だけだろうか。</p><p>　８月には、去年のツアーのＤＶＤ、９月には更にシングルが予定されている。２００８年夏、彼らは何色に輝いているのだろうか。<br />　　　<br />　<br />　</p>]]>
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      <![CDATA[<p>　　またしてもご無沙汰してしまいました。<br />　別段、体調が悪かったとか、長期に入院していたとかいうことではないので、そこだけは、ご心配無用ということなのですが、だったらもっと頻繁に書け、という突っ込みが入りそうですね。</p><p>　体調が悪かったわけではないのですが、スケジュールはかなりハードで、精神的にも余裕がなくなっていたという方が正確かも知れません。あたまの中が、一つのこと一杯になってしまって、他のことまで回らないというめったにない事態を迎えてしまってます。というより初めてでしょう。生まれて初めて円形脱毛症というのを経験しました。</p><p>　何で、そんな風になっているかというと、私事で何とも恐縮ではありますが、８月から新しい仕事が始まります。中国新聞という地方紙の日曜版で毎週連載の&rdquo;小説&rdquo;が始まります。テーマは「広島フォーク村」です。「小説・広島フォーク村」ということになります。</p><p>　ご存じない方の方が多いでしょうね。今から４０年前、１９６８年の暮れ間近に&rdquo;開村&rdquo;し、１９７１年の春まで存続した、広島のアマチャア・フォークの団体です。フォークソングが、新しい若者の音楽として、日本列島を燎原の火のように広がっていった時代の集団です。その中から吉田拓郎や浜田省吾といったビッグネームが登場してゆきました。</p><p>　そう書くと、そう言えば聞いたことがある、と思われる方もおいでかもしれません。１９７０年の春に出た広島フォーク村のアルバム「古い船をいま動かせるのは古い水夫じゃないだろう」は、吉田拓郎のデビューとなり、同時に、全国に手作りなアマチャアフォーク団体を生み出すきっかけとなりました。まさに７０年代という新しい時代の幕開けでもありました。</p><p>　ただ、広島フォーク村・イコール・吉田拓郎というイメージも強く、それ以外のことは殆ど知られていないし語られていないのも事実でした。その時代の広島の学生や若者達がどんな風に音楽を捕らえて、音楽にどれだけ情熱を燃やしていたか。そんな青春群像を書こうというのが趣旨となっています。</p><p>　広島というのは、広島カープに代表されるように地元意識が強いところです。僕のような東京の人間が書くということに、反発もあるでしょうし、そのためにも綿密な取材をしないと、というのがこの二週間でした。広島へ二回行って、二十人近くに会ったでしょうか。</p><p>　４０年前ですからね。当然、人々の記憶も曖昧になってますし、資料も限られます。地元の商店街組合の事務局に行って、その当時の写真を見せてもらったり、今はなくなってしまっている建物の場所を確認したり、中国放送のライブラリーで、過去のニュース映像を探したり。そんなこんなで慌ただしい時間に追われておりました。</p><p>　そもそもの話しは、去年、小学館から「小説・吉田拓郎・いつも見ていた広島・ダウンダウンズ物語」を出版したことに始まってます。拓郎さんのアマチャア時代のバンドを主人公にした小説は、お陰様で好評を得て、中国新聞から「続編としてフォーク村を書かないか」という話しをもらったところからなんですね。</p><p>　でも、関係者は多いし、もちろん現役の方も少なくありません。ハードルも高そうで、及び腰になっていたんですが、それを踏ん切らせてくれたのが、広島市民球場が今年最後というニュースでもありました。ドームに変わるために今年最後に取り壊しになります。</p><p>　実を言うと、父が戦後ずっと野球記者をしていた、広島担当だった時期が長いんですよ。戦前からの野球好きで、実家の押し入れには、父が集めていた戦前のプロ野球の新聞記事のスクラップもまだあるはずです。中には&rdquo;職業野球発足&rdquo;という記事もあったと思います。昭和１４年かな。</p><p>　戦前から新聞記者をしていて、戦時中は、大政翼賛会というところに統合されていて、つまり、戦争を推進する側にいたわけです。僕も若い頃は、そのことを巡って、議論になったことも少なくありません。彼が、担当をはずれてもずっと広島に肩入れしていたのは、そんな体験もあったのかなと最近、思ったりします。もうなくなってしまいましたが。</p><p>　そういう意味では、広島という街は、僕にとってゆかりのある街とも言えるわけです。しかも、親父が担当をしていた頃は、広島カープがどん底で、市民球場の前にカンパを求める酒樽が置かれていたという時代です。そんな球場がなくなる年に、広島の新聞で、広島の若者について連載出来るのも何かの縁かもしれないと思ったからでもありました。</p><p>　と、過去形のように書いてますが、連載はまだ始まってません（笑）。一回目が８月３日。年内一杯２０回連載です。明後日が一回目の締め切りです。どんな物語になるか、まだ見えてません。<br />　私事ばかり書き連ねてしまいましたが、こんな回も、めったにないと思っていただけるとうれしいです。<br />「小説・広島フォーク村」ーー。<br />　どんな話しになるでしょうか。<br />　</p>]]>
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      <![CDATA[<p>　　ちょっと間を置いてしまった感じだったのですが、こんなに久々になっていたんですね。失礼しました。<br />　何せ、６月後半は原稿だ取材だで東京にいない日も多く、毎日、今日は何曜日だか分からなくなるくらいに慌ただしく、一日を無事に終わることで精一杯というその日暮らしを続けておりました。</p><p>　で、先週から今週にかけて行っていたのが沖縄でした。<br />　暑かったですねえ。<br />　梅雨明けの沖縄は、太陽の方も満を持していた感じがあるのでしょうか。風通しも良いし気温自体はそんなに上がっている感じはしないんですけど、日差しが強い。単に蒸し暑く不快なだけの東京とは違いますけど、やっぱり、暑いことこの上なかったです。</p><p>　沖縄は、２８日に行われた「うたの日カーニバル２００８」というイベントの取材と現場からのＦＭラジオ生中継でした。<br />　場所は、那覇から東へ３０分ほど行った西原町のマリンパーク多目的広場。海沿いの芝生の公園は野外コンサートのためにあるような快適な空間でした。僕は今年最初の野外になるんですけど、気持ちよかったですねえ。もちろん暑かったですが、しつこいか（笑）。</p><p>　&rdquo;うたの日&rdquo;というのはＢＥＧＩＮが手音頭をとって２００１年から始まったものです。最初はライブハウスで、年々規模が大きくなってきて、去年は、西原の反対側、沖縄西海岸の宜野湾市の海浜公園で、今年は東海岸の西原町。場所が変わった理由は、横浜ベイスターズがキャンプに使っている宜野湾市の野球場が高校野球の予選に使われることになり、交通渋滞などを加味して、ということでした。</p><p>　イベントの趣旨は&rdquo;うたに感謝する&rdquo;ということなんですね。<br />　沖縄では戦時中、歌は禁じられていたのだそうです。歌舞音曲の禁止というヤツですね。何かあると真っ先にそういう対象になるのが、音楽や演劇でもありますけど、戦時中の沖縄はまさにそうだったんですね。</p><p>　それでも沖縄の人達は、歌を捨てることなく、自分たちの置かれた苦境や難関を乗り越え、励まし続けてきた。ＢＥＧＩＮが言うには「今の沖縄があるのは戦争があったから、ではなくうたがあったから」ということになります。第一回が行われたのは６月２３日、沖縄戦が終結した日。慰霊の日、と呼ばれる日。回を重ねる中で、去年からは誰もが参加出来るフリーコンサートになり、それにともなって開催も土曜日になった、というのがこれまでの経緯でした。</p><p>　出演は、ＢＥＧＩＮ、さだまさしさん、遠藤賢司さん、かりゆし５８号、やなわらばー、大城クラウデイアさん、琉球チムドン楽団、津波信一さん、という顔ぶれ。さださんは、長崎で２０年間チャリテイのコンサートを続け、そこにＢＥＧＩＮが呼ばれて出たことがこのイベントにつながっているとかで、「借金してでも続けろ」という激とともに手練れとしか言いようがないパフォーマンスを見せていました。</p><p>　&rdquo;うたの日&rdquo;というのは、今、東京でも開かれていて、その中心になっているのが、渋谷のライブハウス、ＢＹＧ。ＢＥＧＩＮが東京の拠点として活動していた場所でもあります。東京で行われる&rdquo;うたの日&rdquo;に出演していたのが遠藤賢司さん。還暦とは思えないパンキッシュな弾き語りと会場一周ランニングに、沖縄の人達は眼を丸くしていました。</p><p>　かりゆし５８号は、沖縄出身で、一度は東京に出たものの、Ｕターンしたメンバーで結成されたバンドです。かりゆしというのは沖縄の言葉で祝い事。５８は、沖縄の大動脈５８号線のことです。外連味のない真っ直ぐなライブは好感を持ちました。</p><p>　石垣島出身のやなわらばーは、幼なじみの女の子二人組。大城クラウデイアさんは、ＴＨＥ　ＢＯＯＭの宮沢和史さんのライブでもおなじみです。琉球チムドン楽団は、元デイアマンテスというバンドのリーダーが中心。ローカリテイ豊かな演奏は、かなり濃かったです。</p><p>　こういうイベントは、東京ではなかなか見る機会がありません。&rdquo;売れている音楽&rdquo;としてではなく&rdquo;生活に密着した音楽&rdquo;とでも言いましょうか。ＢＥＧＩＮは、それでいで&rdquo;売れている音楽&rdquo;としてもヒット曲を持っているわけですから、貴重な存在でしょう。</p><p>　ＢＥＧＩＮは６月２５日に新曲「僕らのこの素晴らしき世界」を出したばかりです。沖縄の海についてこれだけシリアスなロマンを歌えるのも彼らならではでしょう。かつて蹂躙されたことのある人達だからこそ歌えること。それが大上段にならないファンタジーになっています。</p><p>　７月２３日はセルフカバーアルバム「一五一会２」が出ます。彼らはその中で&rdquo;ヤファイアンミュージック&rdquo;という言葉を使ってました。日本でもハワイでも沖縄でもあるチャンプルーミュージック。琉球音楽はハワイアンと共通するものもあります。沖縄民謡という枠を超えたグローバルな心地良さ。今年の夏には是非、というところです。</p><p>　そんなわけで、もう７月です。<br />　今年の夏、どんな音楽と出会えるか。<br />　なかなかさい先の良い沖縄でありました。　　<br />　&nbsp;</p>]]>
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      <![CDATA[<p>　　いささか大げさな言い方をすると、今年最大の教訓になるのかもしれない。<br />　Ｓｕｐｅｆｌｙのファーストアルバム「Ｓｕｐｅｒｆｌｙ」が５月２６日と６月２日付けのオリコンアルバムチャートで二週間連続して一位を獲得した時に、そう思った。<br />　自分の知識や経験は、さほど当てにならないばかりか、真っさらな判断の邪魔になることもあると思い知らされたという感じだろうか。</p><p>　すでにテレビなどでも紹介されているように、Ｓｕｐｅｒｆｌｙは、女性ヴォーカリスト、越智志帆のソロユニットである。元々は愛媛県の大学のサークル仲間で結成されたバンドで、２００７年４月のメジャデビュー時にはギターの多保孝一と二人がクレジットされていた。去年の１１月以降は彼が作曲に専念、彼女一人のユニットになっている。</p><p>　Ｓｕｐｅｒｆｌｙという名前は７０年代のアメリカのニューソウルの旗手だったカーテイス・メイフィールドの曲のタイトルであり、７２年に公開された同名の映画の題名でもある。黒人ばかりで作り上げた音楽映画としても歴史に残っている作品だ。</p><p>　彼女の音楽は、あのジャケットが全てを物語っていると言って良い。<br />　ロングヘヤーとバンダナに蝶のアクセント、カラフルなイラストとフォークロア的なファッション。まさしく６０年代後半から７０年代にかけてのヒッピーファッションそのものだろう。彼女のヴォーカルも７０年に２７才でこの世を去ったロッククイーン、ジャニス・ジョプリンを思わせた。</p><p>　ヒッピーにしろ、ジャニスにしろ、そういう意味では、リアルタイムで経験してきた。６０年代のロック黄金時代は、僕らの青春だったと言って過言ではない。でも、４０年近く前であることには変わりがない。初めて彼女のＣＤを聴いたときの戸惑いは、いきなりそれだけの時間を飛び越えて、あの頃の音楽が表れたという感じだったのだ。</p><p>　だったら、素直に支持すれば良かったのに、というのが今の&rdquo;内なる声&rdquo;になる。それが教訓という堅苦しい言葉にもつながっている。何というんだろう、戸惑ってしまったという感じだろうか。<br />　こうやって書いていて、何を言い訳がましくと自分でも思うのだが、そんな風に残ってしまっているのだから仕方がない。</p><p>　これがまた微妙な表現なのだけれど、「君はあの頃の何を知っているの」的な反応とも違う。音楽に知識は必要じゃないと思うし、たくさん知っているからと言って、それが優劣につながるわけでもない。話しが逸れるかもしれないが、最近流行の&rdquo;検定&rdquo;とやらも好きではない。何を知っているかではなく何を感じるかが問題なのだとも思う。</p><p>　あまりに&rdquo;あの時代&rdquo;だったことの戸惑い。例えば、同じようにラブサイケデリコに６０年代や７０年代の音楽の影響を見た時とは少し違った。なぜなら、彼らには&rdquo;時間の経過&rdquo;が横たわっていたからだ。レコーデイングの方法とか、技術的なこともあるのかもしれない。Ｓｕｐｅｒｆｌｙは、いきなり&rdquo;あの頃&rdquo;だった。</p><p>　下世話な言い方をすれば、昔つきあっていた女の子がいきなり現れてあっけらかんと「元気？」とか言われた感じに近いかも知れない。「元気だよ」とは言ってみたものの、どこかにぎこちなさは免れず、自分の年令や今の妻のことを思い浮かべてしまってドギマギしている感じだろうか。</p><p>　かと言ってなつかしいと片付けてしまうには、勢いがあった。まぶしいくらいにエネルギッシュだった。何だこれは、と思っている間にあっと言う間にブレイクしてしまった。そういう意味では、世の中の方が、先入観も予断もなく受け入れたという最高の例となってしまった。それが冒頭の反省につながっている。</p><p>　アルバムの中に「１９６９」という曲があった。１９６９年を歌ったものだ。東大の安田講堂が機動隊によって制圧され、全国の大学がロックアウトされていった激動の年。ベトナム戦争が泥沼化していたアメリカではウッドストックのロックフェスにに４０万人が集まった年。イギリスでは、ビートルズの実質最後のアルバム「ＡＢＢＥＹ　ＲＯＡＤ」が発売になった年だ。ラブ＆ピース。２０世紀後半で、最も劇的だった年ーー。</p><p>　越智志帆は１９８４年生まれ。当時のことは知る由もない年令にあたる。でも、歌の中では、あの頃に対しての憧れにも似た想いを歌っている。<br />　ロックミュージックにおける温故知新ということなのだろうか。</p><p>　何が彼女をそんなに惹きつけるのか、彼女だけでなく、今の若者たちが、あの頃をどう見ているのか。彼らがＳｕｐｅｒｆｌｙの音楽をどう受け止めているのか、改めて確かめてみようと思っている。</p><p>　とは言っても、これだけいきなりブレイクしてしまうと、なかなか取材の機会もままらないというのが現実ではあるのだろうけれど。少なくとも今年前半で最大の&quot;事件&rdquo;と言って良さそうだ。</p><p><br />　　</p><p>　<br />　</p>]]>
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    <dc:date>2008-06-10T23:23:05+09:00</dc:date>
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      <![CDATA[<p>　　まさかサザンの活動休止が引き金になってしまったのではないだろうが、思いがけない発表が相次いでいる。<br />　その一つが、矢沢永吉の「ライブ休止宣言」だった。去年の武道館１００回を区切りに、今年は、ライブを休んで充電するという発表は、彼が、鉄人でもスーパーマンでもないことを改めて思わせた。<br />　そろそろ６０才になろうという年齢で２時間以上全身で歌い続け、ステージを走り回ることがどのくらい重労働なのかは、誰もが想像できるはずだ。</p><p>　しかも、彼の場合、ライブが一日だけではない。今でも二連チャン、時には三連チャンもある。数年前までは、それが当たり前というくらいのハードなスケジュールを組んでいた。毎年、９月には、そういう予定が入っているということがどれだけプレッシャーになるか、それは本人にしか分からないだろう。<br />　６０才を前にした小休止。今年一年間ゆっくり身体を休めて、来年、還暦を迎える年に元気な姿を見せる。<br />　それは、賢明な選択だったように思う。</p><p>　日本の音楽シーンがかつてない時代に入っているという話しは、このコラムでも何度となく触れてきた。<br />　つまり、ロックに定年はあるのか、という、これまでは冗談に過ぎなかった事態に直面しているということでもある。<br />　若者文化のシンボルだったロック。その牽引車的存在が、還暦になる。それは本人たちですら予測もしなかったことだろう。</p><p>　７０年代は&rdquo;４０才&rdquo;が壁だった。<br />「ジョンレノンが死んだ４０才までは歌い続ける」というセリフが、決意表明だった。それが「５０才」になり、その年齢をとうに過ぎ、目の前には&rdquo;還暦&rdquo;が立ちはだかっていた。矢沢永吉が、初めて「じっくり考えてみたい」と思ったのも、そんな年齢とは無縁でないように思う。</p><p>　ただ、今回、書こうとしているのは、矢沢永吉のことではない。<br />　同じように「ライブ活動休止」を宣言したラルク・アン・シエルについてである。<br />　５月３１日、東京ドームに足を運んだ。<br />　三回公演の初日である。<br />　彼らは、このツアーの後、２０１１年までライブ活動を休止すると宣言した。</p><p>　ラルク・アン・シエルは、今年、上海・台湾・香港・韓国・フランスという海外のツアーを敢行、更に東京ドームと大阪ドームを加えた総動員数は約３２万人、ワールドツアーという呼び名にふさわしい規模となった。<br />　アジアツアーは、すでにＣＨＡＧＥ＆ＡＳＫＡや浜崎あゆみが成功させているものの、パリでの数千人規模の有料ライブというのは誰もなしえなかった快挙だろう。</p><p>　東京ドームの席が隣となった知り合いの音楽雑誌編集者は、写真集製作のためにパリに行っており、７０００人収容の大会場でのライブは感動的だった、と話していた。フランスだけではなく、ヨーロッパ各地、あるいは南米辺りからも参加している人がいたらしい。&rdquo;らしい&rdquo;という伝聞でしか語れないのは威張れたものではないのだけれど、何せ、パリである。仕事の合間を抜けて、と言うわけには行かない。</p><p>　ラルクは、去年のツアーを見て、エンターテインメント色が強まっているのに驚いた。同じ時代を生きてきたＧＬＡＹが、シンプルなロックに特化しようとしているのと対照的だった。<br />　今回のツアーはそうではなかったのだ。ステージと客席のガチコンコ対決、とでも言おうか。アンコールでのお祭り的な演出はあったものの、全編にほとばしっていたのは、全員が持てる力を出し切ろうとする気迫であり、何かに挑むような激しさだったのだ。</p><p>　それが海外の経験から来たことは間違いないのだと思う。言葉の通じない国でどこまで説得力を持つか。すでにニューヨークやアジアでのライブ経験がある彼らが、あそこまでむき出しな演奏を見せたのは、それだけパリの刺激が大きかったことなのだろうと思った。</p><p>　彼らが２０１１年までのライブ活動休止を発表したのは、ツアー中だ。そのことをいつ決めたのかは定かではないが、東京ドームのライブを見て、その決断がうなづけるような気がしたのだ。<br />　これ以上のテンションのライブは当分やりえないという判断だったのではないかと思った。緊急事態を前にしたからこそなし得た結束、とでも言おうか。一つのピークを感じさせるライブでもあったからだ。</p><p>　彼らは２０１１年に結成２０周年を迎える。それまでは創作活動とソロ活動に専念するというのは、ライブに対しての一つの答えを出してしまったように思えた。<br />　功なり名を遂げたバンドやアーテイストにとって最大の難関はモチベーションの維持だろう。９０年代に登場したロックバンドの中で、いち早く２０周年を迎える。彼らのエネルギーはそこに向いているのかもしれない。</p><p>　富も名声も手にした人達が、どうやって音楽への熱を持って走り続けるか。<br />　サザンにせよ矢沢永吉にせよ、活動休止というのはそのための決断でもあるだろう。<br />　今度彼らがどういう形で僕らの前に登場するのか、楽しみにしたいと思う。<br />　と、同時に、彼らの後を受け継ぐ次の世代が、どこまで成長するか。<br />　問題はそちらなのではないだろうか。<br />　<br />　<br />　　<br />　<br />　</p><p>　</p><p>　</p>]]>
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      <![CDATA[<p>　　それは何気なく目にした数字だった。<br />　きっと、新聞などでもほとんど報じられることはなかったんではないだろうか。されていたとしても、それほど大きな扱いではなかったことは間違いないと思う。<br />　それは&rdquo;武道館１００回コンサート達成&rdquo;という記事だ。<br />　そう言われて真っ先に思い浮かぶのは、矢沢永吉だろう。<br />　去年の１２月１６日、史上初めて１００回目の武道館コンサートを成功させた。そのことは切手の図案にまでなっている。</p><p>　今、触れているのは彼ではない。<br />　去年の大晦日に１００回目を記録した藤井フミヤである。チェッカーズ時代から数えて１００回目がその日だった。<br />　つまり、二人目である。<br />　矢沢永吉の１００回目から遅れること約二週間。その差が長いのか短いのか分からないが、ともかく二週間違いで、扱い方にそれだけの大きな差が出たことになる。</p><p>　確かに、矢沢永吉は、最初からソロとしての１００回であり、藤井フミヤは、チェッカーズ時代が半分近くを占めている。記録の純粋性から言えば、当然、矢沢永吉の方に軍配が上がるのだろうけれど、バンドとソロと半々という記録もまた貴重だと言えないだろうか。</p><p>　先週２１日、藤井フミヤのベストアルバム「１５｜２５」が発売になった。<br />　２５分の１５。つまり、１９８３年にチェッカーズでデビューしてから２５年という区切りであると同時に、９３年に「ＴＲＵＥ　ＬＯＶＥ」でソロデビューしてから１５年という両方の意味がある。収録されている楽曲は、ソロになってからのものだ。ニュアンスとしては、ソロヒストリーと言って良いだろう。</p><p>　藤井フミヤと矢沢永吉の間には、浅からぬ因縁の関係がある。<br />　彼が久留米に住んでいた中学生の時に、テレビで見たキャロルの解散コンサートがバンドへの興味の第一歩だった。<br />　ソロデビュー１０周年にあたった２００３年には「Ｍｙ　Ｃａｒｏｌ」というカバーアルバムを制作、キャロルの解散コンサートが行われた日比谷の野音でカバーライブまで行っている。<br />　そういう意味で言えば、矢沢栄吉に次いで二人目というのは、願ってもない勲章ということになるのではないだろうか。</p><p>　ただ、同じようにバンドからソロになった過程でも、二人の間には、若干の違いもある。<br />　それは、ソロとしての出発点の違いだろう。キャロルの解散コンサートは、日比谷の野音だった。チェッカーズは武道館である。解散コンサートを終えて、更にその年の「紅白歌合戦」にも出場、惜しまれながら幕を閉じた。</p><p>　７０年代の突出した存在だったキャロルと８０年代から９０年代にかけて、ロックが普通の若者たちの音楽として定着していった時代の牽引車だったチェッカーズ。矢沢永吉は、すでに知られているように熱狂的な男性ファンに支えられてきた。バンドからソロという同じ過程を経つつ、それぞれ違ったフィールドを開拓していった両者のワンツーフィニッシュ。藤井フミヤ武道館１００回は、そんなことを思わせた。</p><p>　二人の間には、もう一つ共通点がある。<br />　それは、ソロになってバンド時代を凌いだということだろう。<br />　矢沢永吉がソロになってから初の武道館公演を行った、ということはすでに触れた。レコードのセールスにしてもそうだ。キャロル時代にはなかったシングルチャート一位を記録するのは１９７８年の「時間よ止まれ」だった。<br />　藤井フミヤのソロデビューシングル「ＴＲＵＥ　ＬＯＶＥ」は、バンド時代にはなかった２００万枚の大ヒットとなった。<br />　過去の栄光にすがらない。二人はそういう意味でも共通していると言えないだろうか。</p><p>　藤井フミヤがベスト盤的なアルバムを出すのは、９８年の「ＳＩＮＧＬＥＳ」と、３年目、９５年に出た「ＳＴＡＮＤＡＲＤ」と二枚。この１０年間はなかったことになる。最近の例で言えば少ない方だろう。早ければ３年、５年も経てばベスト盤が出る最近の傾向では、異例の部類に入る。</p><p>　彼の言葉を借りれば「オリジナルがどんどん出来るから必要がなかった」。つまり、オリジナルこそがアーテイストの本来の有りようというスタイルを持ち続けている一人ということになるだろうか。「１５｜２５」は、ともに区切りの良い数字だったからこそ、だろう。<br />　代表的なシングルを順に網羅したＤＩＳＣ１とファンからのリクエストに準じたＤＩＳＣ２とに分かれている。ステージで人気のあった曲やシングル以外の曲、ＤＩＳＣ２では、そんな一面を聞くことが出来る。</p><p>　今年４６才。デジタルとアナログ、ロックとテクノ、ダンスとバラード。毎回アプローチを変えたクリエイテブな音作り。それでいてメジャーシーンのポピュラリテイを失わない。それは彼の独自なポジションだろう。<br />　わずか二週間遅れの武道館１００回達成ーー。<br />　二人の記録は今後、どんな風に積み重なってゆくのだろうか。</p><p>　<br />　　</p>]]>
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    <dc:date>2008-05-25T17:57:22+09:00</dc:date>
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      <![CDATA[<p><strong>&nbsp;　　実を言うと、日曜日に「日刊スポーツ」から電話をもらうまで、「活動休止」について知らなかった。<br />　こんなことは、恥ずべきことであり、わざわざ書くようなことではないのだけれど、ある意味では、そのくらい唐突だったと思って欲しい。<br />　確かに１９日に今後のサザンの活動に関しての発表があるという話しは聞いていたのだが、それも、アルバムの企画やスペシャルイベントなどの&rdquo;記念行事&rdquo;的なものについてなんだろうという程度の認識に過ぎなかった。</strong></p><p><strong>　でも、桑田佳祐にとっては、&rdquo;３０周年&rdquo;という区切りが、そんな風に一種の既定路線に受け止められということが一番避けたかったことでもあるように思う。<br />　バンドが３０年間続いてきたということの重みや価値、他に、彼らに匹敵するキャリアのバンドはＴＨＥ　ＡＬＦＥＥくらいしか存在しないという事実。それがどういうことなのかを一番知っているのが、彼でもあるわけで、単なる&rdquo;通過儀礼&rdquo;的な扱いに終わってしまうのが耐えられなかったということもあるのかもしれない。</strong></p><p><strong>　バンドが持続するのは、たやすくない。<br />　それは一重に、人間の集まりだという点に尽きる。メンバーそれぞれの成長、音楽的な関心やスキル。興味のありよう、そして、私生活も含むライフスタイルの変化。それらを全て包括した形でバンドが存在するからでもある。</strong></p><p><strong>　もちろん、私生活や生活面についてはノータッチ、相互不可侵という距離感は可能でも、音楽面に関してはそうは行かない。ステージやスタジオで音を出した時の不協和音的なきしみは、バンドが音楽集団である限り避けようがない。バンドに解散がつきものなのは、そういうことでもある。</strong></p><p><strong>　ただ、休止宣言が、唐突にも思えたのは、彼らが、そうしたハードルや曲がり角は、とうの昔に超えてきたという思いこみがこちらにあったせいでもあるのだろう。<br />　過去にも、活動休止は、何度もある。８０年代に桑田佳祐が組んだＫＵＷＡＴＡＢＡＮＤは、まさにそんな時期の産物であり、ソロ活動もそうだ。そうやって積み重ねてきた３０年でもあった。</strong></p><p><strong>　サザンの３０年が、他のどんなバンドにもない、ソロアーテイストを含めてもも他に例のない軌跡となっているのは、若い頃よりも大人になってから数字も伸ばしていることだろう。<br />　たいていの成功したバンドは、デビュー数年で、実績を残し、それ以降は、緩やかな降下線を描くか、その延長線上にある。そして、その輝きの&rdquo;余熱&rdquo;の上で大人になってゆくというケースが殆どと言って良い。</strong></p><p><strong>　サザンは、そうではない。<br />　デビュー当時のコミックバンド的イメージを「いとしのエリー」で打ち消して、音楽的評価を手にしたように、９０年代に入ってからの方が、セールスも増えている。<br />　つまり、未だに&rdquo;ピーク&rdquo;を迎えてないバンドという意味でも例外的存在となっている。</strong></p><p><strong>　その理由が、桑田佳祐の切磋琢磨ぶりにあるというのは誰もが認めるはずだ。<br />　かつて、３０００本安打を達成した張本勲選手の「これだけの努力を人は運といい」という名言がある。桑田佳祐にすれば「これだけの努力を人は才といい」ということになるかもしれない。洋の東西を問わず、音楽に対しての飽くなき情熱と探求心は、才能と言ってしまうに余りあるだろう。</strong></p><p><strong>　だからこそ、なのだと思う。<br />　彼が発表したメッセージには、他のメンバーに対して「サザンをあてにしないで」という言葉も含んでいた。更に、自分の&rdquo;モチベーション&rdquo;という言葉もあった。<br />　彼が一人で背負い込み、格闘してきたことと、バンド内部のバランスの歪みーー。</strong></p><p><strong>　彼らは５０代に入ったばかりだ。<br />　これから５年、１０年とミュージシャン活動を続けてゆくとしたら、このままで良いのか。バンドの中に、もう一度、そうした緊張感を取り戻したいという側面もあったに違いない。<br />　それは、一種の親心的な突き放し方でもあるように思う。</strong></p><p><strong>　とはいうものの、休止であって解散ではないと名言していることははっきりと見ておかないといけないだろう。<br />　それは雑誌の休刊が廃刊であるのとは意味が違うように思うのだ。<br />　サザンを誰よりも愛しているのも誇らしく思っているのも彼だろう。そして、サザンが、ソロ活動とは違う意味でファンに愛されてきたからこそということも含めてだ。<br />　活動休止は、裏を返せば、永久存続宣言のようにも聞こえた。</strong></p><p><strong>　バンドをもし、家族に例えるとしたら、誰もがいつも仲良しなわけでもない。時には、しばらく顔を見たくない時期もあったりすることもある。だからと言って、絆が切れてしまうわけでもない。盆暮れに集まって世間話をすることもあるだろう。<br />　それが出来るのもサザンというバンドならではなのではないだろうか。</strong></p><p><strong>　バンドを休止して、自分の音楽活動に専念する。今回の宣言は、彼自身が、自分の音楽生活の退路を断ったという決意表明でもあるように思う。<br />　デビュー３０周年ーー。<br />　今年のイベントが、全く違う意味を持ってきた。</strong></p><strong><p><br />　　</p><p>　</p></strong>]]>
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    <dc:date>2008-05-21T00:24:02+09:00</dc:date>
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