読むJ-POP 2009

ASKAソロ・アジアツアーと鉄腕アトム


田家秀樹さん

田家秀樹さん (0)

2008/09/17 14:45

  ポップミュージックは、その国の文化だ、と言ったのはCHAGE&ASKAのASKAだった。
 もちろん、それに類したことは、他の多くの人も言っているし、自分でも書いたことも少なくない。
 でも、その時に、ASKAの言葉に強い説得力を感じたのは、彼が、アジア各地を初め世界の音楽シーンを実際に体験しているということがあったからだろう。

 CHAGE&ASKAは、アジアでの日本語の音楽を開拓してきた代表的な存在である。90年代の初めに香港・台湾・シンガポール・上海・北京・韓国と回ったアジアツアーは三次までに及んだ。去年、上海で行われたCHAGE&ASKAのコンサートは8年ぶりにもかかわらずチケットは完売。現地のダフ屋が声を枯らしていた。

 しかも、そのコンサートは、その後に控えていた国内ツアーの初日という形を取っていた。国内ツアーで形を整えてから海外というのが一般的な形だとしたら、その全く逆の試み。それは、上海という街での自分たちの音楽の定着対しての自信のように見えた。そして、事実、その通りになった。

”国内のツアーに行くようにアジアでやれるようになりたい”ーー。
 CHAGEとASKAのふたりが口を揃えてそう言ったのは、二回目のアジアツアーが行った時だっただろうか。すでに10年が経っている。その時は夢物語に見えたような場面が、実現していることになる。

 何でこんなことを書いているかというと、10月1日に出るASKAの新曲「UNIーVERSE」のカップリングに、今年の6月のシンガポール公演のライブ録音が入っていたからだ。曲目は、91年のソロ二作目「SCEANEⅡ」の中の「PLEASE」、95年の「NEVEREND」の「月が近づけば少しはましだろう」、97年の「ONE」の中の「草原にソファーをおいて」の3曲。それぞれ年代が違う、ソロの曲だ。

 ASKAは今月の30日からソロツアー「SYMPHONIC TOUR2008”SCEANE”」に出る。シンガポールはそれに先だって行われたシンガポール・タイ・上海という三カ国のツアーの一環だった。去年、CHAGE&ASKAで試みた国内ツアーより先にアジアを回るというアイデアを更に規模を大きくしたことになる。

「UNIーVERSE」は、今、彼が音楽に託していることを集約した曲と言って良いだろう。彼特有の柔らかな曲線を描いたようなスケールの大きいメロデイと、身近な日常と世界を結びつけた詞のファンタジー。”ペットボトルロケット””鉄腕アトム”など、すでに知られている言葉を使いながら環境問題にまで視野を広げてゆく構成力は、熟練の技を感じる。

 今ほど世界が一つの方向を向いている時はないと思う、と彼は言った。温暖化という環境問題への危機感は程度の差こそあれ、今、何とかしなければ、地球にも人間にも未来がないというのは世界共通の認識だろう。彼は、だからこそ音楽なんだと訴える。

 ASKAと話していて、ハッと思ったのが、鉄腕アトムについてだった。彼は「アトムの最後を覚えてますか」と言ったのだ。彼が話をするうちに何となく思い出してきたのだが、アトムは、地球の環境を守るために、核らしきものを抱いて太陽に飛び込んでゆく。あれは、手塚治虫さんの地球の環境に対しての予感であり、核の平和利用についての答えだったんだと今にして思う。

 話が逸れたかも知れない。
 でも、「UNIーVERSE」という曲がなかったらきっとそんなことは忘れてしまっているだろう。「UNIーVERSE」のテーマは”つながり”ということでもある。子供の頃に夢中になった手塚治虫さんの作品も今とつながっているとあらためて思わせてくれた。

 彼の今回のツアーは、オーケストラとのジョイントである。総勢70名がステージに上がるという編成は、CHAGE&ASKAとは180度違う。しかも、オーケストラは、その土地の楽団とコラボレーションするという。シンガポールでもバンコックでも上海でもそうやって地元のオーケストラを起用してきた。特別な音楽教育を受けたわけではないポップミュージックのアーテイストが、それぞれの国の文化エリートでもあるミュージシャンと共演する。それも「UNIーVERSE」の持つ意味だろう。

 カップリングに入っているソロの三曲の一曲「PLEASE」は、もとは光GENJIに書いた曲だ。今でこそ、中島みゆきや氷室京介までがジャニーズ系グループに曲を提供する時代になったが、その原型を作ったのがASKAだろう。相手に迎合しない曲作り。「PLEASE」は、そんな典型とも言える曲だ。オーケストラで聞くと、また違う側面が見えてくる。

 CHAGE&ASKAは、今年はソロ活動の年に当たっている。CHAGEは、10月8日にアルバム「アイシテル」を発売、11月からツアーに出る。ASKAは、この後にアルバム発売を控えているようだ。 

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コメント (4)

ヨシ様さん

ヨシ様さん

2008/09/18 00:01

ASKA氏の精力的活動は他のミュージシャンの刺激にもなりますね。是非ツアーを製鋼させて欲しいです

田家秀樹さん

田家秀樹さん (0)

2008/10/01 17:17

ヨシ様・ありがとうございました。鉄腕アトムの最後、ご存じでしたか?

あんじぇらさん

あんじぇらさん (0)

2008/10/05 22:07

はじめまして、いつも拝見させて頂いております。
「UNI-VERSE」のアトムが、鉄腕アトムのラストシーンを指しているとは、知りませんでした。近年のASKAさんの作品は、特にメッセージ性の高い作品が多いと思います。
ちなみにASKAさんと田家さんの対談、もっと聴いてみたいのですが、田家さんのラジオ番組が愛知では流れないので、残念です。今回のツアーでもシンガーASKA此処にあり!というのを証明してくださると思います。またブログでもいろいろ紹介してくださるとうれしいです。田家さん、宜しくお願いします。

田家秀樹さん

田家秀樹さん (0)

2008/10/11 18:50

あんじぇら様・ありがとうございました。コメントが少ないので読んでいる方がどのくらいいらっしゃるのか不安な気持ちで書いてます(笑)。「UNIーVERSE」の歌詞は深いですよ。彼がどこに行こうとしているのか気になりますね。



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