読むJ-POP 2009

レミオとシャカラビ・それぞれの2年半。


田家秀樹さん

田家秀樹さん (0)

2008/10/28 12:37

 時間というのは誰にでも同じように与えられている。どんなに経済的に恵まれた人でもそうでない人にも一年は同じように365日としてやってくる。
 
 何で当たり前のようなことを書いているかというと、先日、ほぼ同時期にアルバムを発売したふた組が、同じ時間でありながら、それぞれに興味深い過ごし方をしていたからでもあった。
 
 ひと組は10月22日に5枚目のアルバム「SHAKARABBITS」を発売したSHAKARABITSである。
 彼らのアルバムは去年出た「嘘を混ぜ込んだ真実のスープ」以来、約一年半ぶりになる。ただ、その時はほとんどプロモーションらしいこともしておらず、業界の中でも浸透しないままで終わってしまった。
 
 SHAKARABITTSは、99年に専門学校の音楽仲間で結成された4人組だ。インデーズ時代からライブの熱っぽさとビート系のバンドとは一線を引いたようなスカパンク的なポップロックバンドとして注目されていた。2005年と2006年にはスタンデイングの武道館も成功させている。
 
彼らにインタビューしたのは約3年ぶりだった。その話をすると、彼らは「やっぱり」という納得した表情をしたのだ。どういうことなのかと聞くと、二年以上前からレコード会社との折り合いが悪くなり、新作アルバムも、「出るかどうか分からない中でレコーデイングしていたので、何よりもこうやって発売できたことがうれしい」と言ったのだ。
 
 洋楽の自伝やバイオグラフィー的な読み物には、レコード会社との契約上のトラブルなどでレコーデイングが出来なくなったり、折角作ったもののオクラ入りしたというエピソードに出会うことがある。
 
 彼らは日本ではそれほど多くない事態に直面していた。新作アルバムも、最悪の場合はお蔵入りか、自分たちの自主制作の手売りということまで考えていたのだそうだ。
 
 彼らは、去年、国内だけでなく、好意を持っていたカナダのバンドを日本に招く形で対バンのツアーを行い、その勢いでカナダでの合同ツアーも行ったていた。それもレコード会社の力は一切借りない無所属状態のままだったのだと言った。
 
ヴォーカルのUKIが会場の入り口で物販を売っていたり、ワゴン車に楽器を積み込んで移動するという形は、アマチャア時代にやっていたことであり、初心に帰れたと屈託がなかった。
 
新作アルバムにバンド名を付けたのも、そんな全ての想いを注ぎ込んだ現れのようだった。
 それはまさしく“バンドの絆”以外の何物でもないのだろうと思った。

 もうひと組は一週間後の29日に二年半ぶり4枚目のアルバム「風のクロマ」を発売したばかりのレミオロメンである。彼らに会うのは、まさしく2年半ぶりだった。

 前作のアルバム「HORIZON」は、シングル「粉雪」が入っていたこともあって、オリコンチャートの一位を三週間続ける大ヒットとなった。その時に彼らを知った人が殆どのはずだ。

 レミオロメンは、全員が山梨の小中高の同級生3人組だ。アマチャア時代には地元の神社の母屋を借りて練習していたことでも知られている。彼らが「神社時代」と呼んでいる。

 前作の大ヒットは、彼らを一躍全国区にした。「粉雪」は当時のカラオケの愛唱歌にもなった。そのことが彼らに何をもたらしたのか。それが、インタビューの大きなテーマにもなった。

 もちろんプロとしてやっている限り、「売れたくない」と思っている人はいない。誰もがもっと多くの人に聞かれたい、もっと広く評価されたいと願って当然だろう。

 でも、そのことが、予想もしていなかった反動を招くことも歴史が証明している。中には、そういう瞬間風速の大ヒットだけで終わってしまう人も少なくない。その後は「夢をもう一度」的な回顧に陥ってしまったりする。

 彼らは、「HORIZON」後の自分たちを「どこに行って良いか分からなくなった。このまま勢いに任せてしまおうという地に足のつかない時期もあった」と言った。

 ただ、彼らは勢いに流されなかった。「もう一回音楽と向き合うところから始めようと思った」というのである。実際に、今やらなければいけないのはそういうことじゃないと思うと、予定されていたシングルを中止して曲作りをした時期もあったと言った。

 とは言え、2年半の間に、シングルを4枚、アリーナツアーとホールツアーをそれぞれ行い、合間に夏フェスやライブハウス、フリーライブ、更にライブ映像作品を3枚も出している。

 そんな活動は、バンドに関わることをすべて試してみたと言って良いのだろう。そうやって出たシングルもそれそれに試みていることが違う。彼らの言葉を借りれば「試行錯誤の産物」だった。

 新作アルバム「風のクロマ」は、歌も演奏も過去の3枚とは比較にならないほどに力強く柔軟性に富んでいる。それはライブを重ねてきた成果だろうし、やるべきことが共有できている強さでもあるだろう。

 それぞれの2年半――。
レコード会社などビジネスとの軋轢の中で自分たちの音楽を貫こうとしたSHAKARABITSと、"ヒットの反動“の中で、自分たちを見失うまいとしたレミオロメン。要因こそ違え、求めていたものは同じなのではないかと思った。

 世の中はますます人と人の関わりが希薄になっている。こういう話を聞くと、バンドという人間関係に対して限りない愛着を感じてしまうのだ。
   
 
 

ソーシャルブックマークへ投稿(ソーシャルブックマークとは はてなブックマークに追加 Buzzurlにブックマーク

コメント (1)

ヨシ様さん

ヨシ様さん

2008/11/11 02:19

レミオロメンは地元笛吹市出身なので応援しています。



トラックバック (0)

トラックバックは受け付けていません。