読むJ-POP 2009

いきものがかり・今が旬のポップミュージック


田家秀樹さん

田家秀樹さん (0)

2009/01/16 12:16

 2008年は新人に恵まれた年だった。いわゆる”当たり年”というヤツである。
 確かに、Superflやキマグレンなど、ファーストアルバムがいきなりチャートの一位を獲得してしまった例もある。Peffumeのようにあれよあれよという間に武道館公演まで成功させてしまった。いちど注目されて流れを掴んでしまえばあとは一気という形が出来上がっているかのようだ。

 それと言うのも明らかに時代の変わり目に差し掛かっているせいもあるだろう。
 去年のサザンオールスターズの無期限活動休止に代表されるように、この10年、20年を牽引していた大御所たちが、方向転換を模索し始めてということもある。そして、何よりも80年代以降に生まれてきた世代が、着実に力を付けてきたということが大きいと思う。

 2009年最初のオリコンチャートのアルバムチャートの一位は、去年のクリスマスイブに発売になった、いきものがかりの3枚目のアルバム「My Song Your Song」だった。前作の「ライフアルバム」が二位だったから、初めての一位ということになる。三位に入っていたのは同じ日に出たGIRL NEXT DOORのデビューアルバムだった。

 いきものがかりは、2006年にデビューした時に、次世代を担うアーテイストしてFM番組でも何度か特集をしたことのある推奨株だ。ちなみに同じ頃にそうした存在として取り上げたのはRADWIMPSと秦基博がいる。次世代バンドの溢れるばかりの感性を備えたRADWIMPSとシンガーソングライターとしての自分のスタイルを作り上げていた秦基博。ポップグループとしてのメロデイセンスを伺わせていたいきものがかり、という三組だった。

 もう説明の必要もないのだろうが、彼らは、リーダーの水野良樹とギター・ハモニカの山下穂高が小中高の同級生で、ヴォーカルの吉岡聖恵は、二人の同級生の妹という関係だ。バンド名は水野と山下が生き物係をしていたというところからついた。地元は神奈川県の厚木・海老名である。路上ライブで人気になっていたところから始まっている。

 彼らの最大の強みは、そのバランスだろう。 新作アルバムは13曲。内訳は水野良樹と山下穂高が6曲ずつ。初めて曲を書いたという吉岡聖恵が一曲。水野良樹の曲は、デビュー以来のシングルのA面がすべて彼の曲であるように、親しみやすい屈託の無さと、どこかに甘酸っぱい青春の匂いがするポップな曲が多く、対照的に山下穂高の書く曲には、内省的な人生観や心理描写を織り込まれていたりする。

 二人の作風をポップス派の水野とロックやフォークなど、オルタナ系の山下という対比も出来る。吉岡のはつらつとひたむきなボーカルがみずみずしさを与えてゆく。二人が書くメロデイも彼女が歌うことでいきものがかりの歌として再生されてゆく。新作アルバムに彼女の曲が採用されたのも、「初めて書いたからではなく、二人にはない世界を描いていたから」と明言するなど、単に仲良し3人組に留まらないプロとしての姿勢も持ち合わせている。

 彼らに強く惹かれたのは、シングルのカップリング曲にユーミンや太田裕美、プリンセス・プリンセスなどのカバーを入れていたこともあった。それも6枚目からは自分たちのオリジナルだけにするなど、当初から活動のビジョンのような意図を感じさせていたこともある。単に、路上で注目されてデビューした幸運な3人ではない、ポップス確信派という印象があった。

 彼らは「去年は、そこまで意図していなかったようなことまでが次々にうまくはまっていった」と言う。何しろシングル盤が5枚、オリジナルアルバムが2枚である。ジャニーズ系のアイドルでもそこまで多いリリースはなかった。というより、彼らはそこまで音楽に特化していないと言った方が良いかも知れない。去年、最も音楽に没頭していたグループと言って過言ではないかもしれない。それでも、「まだ達成感は全くない」とも言った。

 今回のインタビューで何よりも頼もしかったのは、水野良樹が「一位になりたい。ポップミュージックは聴かれてナンボですから」と断言したことだった。前作のアルバムタイトルには、彼らのインデイーズ時代や地元での生活を投影したような等身大感が感じられた。新作アルバムは、そうではない。すでに自分たちの歌が、自分たちの手を離れて、聞き手のものになってゆくことを前提としている。それこそがポップミュージックなのだと思う。

 水野良樹と山下穂高は1982年生まれ、今年27歳になる。20代での最初の充実期が、その年でもある。今年は、初めてのホールツアーがデビュー以来最多本数で組まれている。一つ一つが自分たちの栄養になり肥やしになる。ポップミュージックはその時代の”旬”な音楽なのだとしたら、彼らの今がまさにそんな時期と言って良さそうだ。

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コメント (2)

ヨシ様さん

ヨシ様さん (97)

2009/01/19 17:58

 我が笛吹市からは80年生まれのレミオロメンが登場しました。高校の後輩になるこの3人も上記の面々に負けず頑張って欲しいです。

 2月21日に音速ラインのLIVEに行く予定です。

田家秀樹さん

田家秀樹さん (0)

2009/02/08 22:50

ヨシ様・ありがとうございました。レミオの後輩ですか。山梨はTHE BOOMもいますね。レミオはレコード会社も変わって心機一転。今年も行きそうですね。音速ラインは、福島在住ですね。関東近郊、頑張ってます。



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