読むJ-POP 2009

阿部真央と福原美穂・デビューアルバムの二人


田家秀樹さん

田家秀樹さん (0)

2009/02/02 10:34

 きっと時代の変わり目ということなのだろう。続々と新しい才能が登場してきている。中でも目下、音楽メデイアを色めき立たせている二人の女性について書いてみたいと思う。二人とも1月にデビューアルバムを出したばかりである。ただ、音楽のタイプははっきりと違う。それでいて、アルバム発売前にすでに全国のFM局での推薦曲である“パワープレイ”を軒並み獲得している。

 一人は先日19歳になったばかりのシンガーソングライター、阿部真央である。1月21日にアルバム「ふりぃ」でデビューした。オリコンのアルバムチャートでは17位にランクされていた。デビューアルバムの順位としては相当なものだろう。アルバムが出た時はまだ18歳だった。 

 彼女がデビューするきっかけになったのはヤマハが全国で展開しているテイーンズミュージックフェステイバルの大分大会で優勝してからだ。全国大会で奨励賞を受けてでビューのきっかけとなった。テイーンズミュージックフェステイバルは、Aikoや椎名林檎などがプロになるきっかけになっているイベントとしても知られている、

 シンガーソングライターの最大の魅力は、そのアーテイストの書く言葉とその人自身の生きざまの相関関係だろう。その人にしか描けない心象風景や人間模様。阿部真央にはすでにその形が出来上がっている。更に付け加えれば、その腰の据わった歌いっぷりも魅力だ。

 筆者が担当しているFMNACK5の「J-POPマガジン」にはニューカマーコーナーというパートがあり、本人が自己紹介コメントを送ってくれる。わずか数分のコメントでありながら、中にはそれだけでその人の片鱗を感じさせてくれるものがあったりするのだが、彼女がまさにそうだった。

 シンガーソングライターの多くが、人よりも強い感受性の持ち主であることがあ多い。そして、そうした人のかなりの割合で、同世代の中での協調性や同一性を持てないままに学生生活を送っていることは、80年代の尾崎豊の例を出すまでもない。彼女がまさにそうした高校生活を送っていた。

 学校ではほとんど友人も出来ないままに音楽に没頭するという生活。彼女は、そんな日々の中で自分を支えていたのが曲を作ることだった、と言った。そして、自らを“アーテイスト人生”という言葉を使っていた。それもたまたま口にしたというのではない。敢えてそう言ったという確信に満ちた口調でだった。

 思い込みが何かを作る。時として過信こそが創造の母だとしたら、彼女にはすでにそうした何かは宿っているのだろう。アルバムにつづられている10代の心の動きが、そのまま創作の糧になっていることが分かる。思っていることが作品になる。それこそシンガーソングライターの最大の条件だと思う。

 もう一人は阿部真央から一週間後の28日にデビューアルバムj「RAINBOW」でデビューした福原美穂だ。北海道出身の21歳。アルバムの中には自分で詞曲を書いたものもある。シンガーソングライターと言っても良いだろう。

 しかし、彼女が熱い視線を集めているのは楽曲の創作力というよりもその歌唱力にある。高校の時に札幌のテレビ局の番組でマライアキャリーの曲を歌ったことがきっかけだったという歌唱力こそが、最大の魅力だろう。日本人離れした、というすでに死後のような形容詞を思い浮かべさせた。

 すでに彼女のプロモーションビデオでは、ロサンジェルスの教会で黒人たちと一緒に歌う姿が使われている。大柄な黒人女性と同化したように身体をゆすって歌う姿は年齢相応には見えないだろう。

 ただ、単に歌唱力という技術的なことだけだったら、それで終わっていたかもしれない。彼女に惹かれたのは、今年になって、再びその教会を訪れた時の彼女自身のブログを読んでからだ。

 周知のようにアメリカは未曽有の経済危機に直面している。当然ながらロサンジェルスもその影響を強く被っており、彼女が去年歌った教会も、その頃とは様相を一変していたのだそうだ。

 教会は宗教的な空間であると同時に、仕事を失ったり住宅を追われた困窮者の救済の場なっていた。彼女も、そうした人たちの炊き出しの場で歌ってほしいと言われたそうだ。日本ではそんな場面に遭遇したことのない彼女にとって、初めて経験する厳しい光景だったことは言うまでもない。

 生活と戦っている現地の人たちにとって自分の歌はどんな風に聞かれるのか。自分に、そうした場面で歌う資格はあるのだろうか。ブログの中で、そんな自問自答の中で歌った時の身の引き締まるような想いをつづっていた。

 もし、教会で歌うということがプロモーションの一つの仕掛けだったとしても、その場で何を感じて、何を手にしたかということはその人自身の資質を浮き彫りにする。そして、そこで得たものが、その人の音楽生活を裏付けしてゆく。そんなことを感じさせたのだ。

 それを仮に“歌心“というのだとしたら、福原美穂にしても阿部真央にしてもそれを備えていると言って良いのかもしれない。
2000年代もすでに10年目に入った。
 今年は、この先2000年代のシーンを支えて行く人たちが出そろう年でもあるのだと思う。二人の女性アーテイストがその一群にいることは間違いなさそうだ。

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コメント (2)

ヨシ様さん

ヨシ様さん (97)

2009/02/02 18:55

平静10年に宇多田ヒカルや浜崎あゆみといった新しいスターが登場し歌謡界を席巻したように新しい息吹が芽生えるかもしれませんね。

田家秀樹さん

田家秀樹さん (0)

2009/02/08 22:52

ヨシ様・ほんとうにそういう感じですよ。新しい人たちを見ているとこちらもリフレッシュする感じです。



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