読むJ-POP 2009

ユニコーン再結成!・帰ってきた本気の遊び人。


田家秀樹さん

田家秀樹さん (0)

2009/02/08 22:58

 そう、ユニコーンである。何と16年ぶりの再結成である。2月4日にシングル「WAO!」が発売され、18日にはアルバム「シャンブル」も出ることになっている。新作をひっさげての再結成が、ここ数年続いている大物バンドの再結成とは若干ニュアンスが違っているような気がしているのは僕だけではないだろう。

 何よりも違うのが、彼らが単に懐かしがって集まったのではないということがある。シングル「WAO!」には、30分近いドキュメントとメンバー全員のインタビューコメントのDVDがついている。そこには、今回の再結成のいきさつがかなり正直な言葉で語られている。

 つまり、新作ありきだった。そもそもの発端となったのは一昨年にスタッフが結婚した際に、ドラムの川西幸一を除く4人が集まって演奏したところから始まっている。その時の感触を元に、キーボードの阿部義晴が、川西幸一に「5人で新作を作らないか」と持ちかけたという。

 ユニコーンの解散は93年。最後のツアーとなった「4946」ツアーを終えた約一ヶ月後に深夜放送の「オールナイトニッポン」で解散を発表した。その年の2月に音楽的な方向性の違いを理由にグループを脱退したのが川西幸一だった。当時で言えば西川幸一である。

 これまでも、再結成に一番消極的だったのが川西幸一だったというのは、そういう背景もあるのだろう。「WAO!」のDVDの中でも「再結成は嫌いだった」と発言している。そんな彼をその気にさせたのが阿部義晴の「新作を作ろう」だった。

 阿部義晴自身も「あの頃は良かった」は好きじゃない、と言っている。僕が「BAYFM」で毎週日曜日(9時~12時)までやっている生放送「MIND OF MUSIC・今だから音楽」に寄せてくれたメンバーのメッセージにもそんな内容があった。

 再結成を決める前にまず曲を持ち寄ろう、レコーデイングをしよう。まずそこから始めたというのが、凡百の再結成と違うところだろう。集まって音を出して懐かしいね、ということでそのままツアーに出るというパターンを取らなかった。

 ベースのEBI、こと堀内一史は「5曲くらい録ってから不安になってきて、やっぱりなしにしよう、という夢を見た」と話している。つまり、そのくらい創作的な再会だったことになる。何しろ、そうやって持ち寄った曲は40曲に上ったというのである。

「再結成というより16年ぶりの新作」と奥田民生が発言している。  
それは、同窓会ではない。奥田民生はもとより、阿部義晴は氣志團のプロデユーサーだ。川西幸一は、かつてのバンドブーム時代の戦友たちといくつものバンドを結成、、堀内一史とギターの手島いさむも現役である。

 ユニコーンは、当時のバンドブームの中でも独自の存在だった。時代的にTHE BOOMやジュンスカと一緒に語られることが多く、音楽雑誌なども、そういう並びが多かった。アイドル人気のバンドと言って良いだろう。実際、コンサートは9割方女の子だった。

 でも、やっていることはとんでもなく高度な遊びを満載していた。それも、殊更にひけらかすのでも、背伸びをしたりするのでもない。洋楽のフレーズやテイストをちりばめつつ、思いきり遊んで見せる。それは一筋縄では行かない個性派集団だった。

 ナンセンスという概念は、ある意味では日本人に一番苦手なものではないだろうか。子供の頃から「そんなに遊んでいてはいけません」と叱られ、勤勉実直こそが美徳とされた原日本人にはない、ナンセンスなユーモア。それがユニコーンだった。

 何でもいい。今聞いても新鮮なアルバム「服部」は、ジャケットは実在の鳶職人のオジサンの顔だったし、タイトルは阿部義晴の出身地、山形が輩出した有名人の名前だった。しかもメンバーは誰も面識がない。ほとんど意味もない遊び、である。

 しかも一曲目の「ハッタリ」は、収録曲をオーケストラによるクラシックアレンジのメドレーだった。「ハッタリ」である。人を喰ったような仕掛けに満ちていて、演奏は確か。ジャズもロックも取り込んでしまえる演奏力の持ち主たちだ。しかも全員曲も書く。

 彼らをアイドルバンドにしたのは、10代の女の子たちの柔軟性によるところが多い。面白い、かわいいという一点で、どんなハードロックをやろうと、難解なプログレッシブロックを取り入れようと、コンサートは黄色い歓声で埋まった。

 新作アルバム「シャンブル」も、健在、と言うにはあまりあるユニコーンシップに貫かれている。全15曲のうち、奥田民生と阿部義晴が4曲、EBIが3曲、川西幸一が2曲、手島いさむが1曲。奥田と川西合作が1曲と分かれ、それぞれヴォーカルも取っている。

 こちらの反応を見透かしたような曲調や終わり方。意味と無意味の間でおいでおいでをするような言葉の遊び。それでいてどの曲にもツボを心得た心地よさと音楽への愛情が込められている。大人の遊びというのはこういうことなのだろうなと思わせてくれる。

 そういう意味で言えば、今の方がインパクトがあるようにも思う。何をやっても良いという自由さこそが彼らの魅力だったとしたら、許されないことだらけなのが今だろう。阿部義晴は「今のシーンは面白みがない」とも発言していた。

 最後の「4946」ツアーは、いきなり当時のジュリ扇まで登場するという破天荒なものだった。あれから16年。3月からのツアーは阿部義晴の出身地、山形からスタートする。最終日は、16年前も最後の街となった沖縄で終了する。東京は5月19,20日が武道館だ。

 今年の元旦、ユニコーンから年賀状が来ていた。これは何だ、と思ったのはこういうことだった。帰って来た“本気のアソビ人”たち。どんな自由奔放なステージを見せてくれるのか。単に一回限りの再結成ではなさそうだ。思いきり遊んで見せてほしい。 


 

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コメント (1)

ヨシ様さん

ヨシ様さん (97)

2009/02/09 00:51

 私は広島の音楽に影響を受けてきました。

 フォーク村の吉田拓郎、吉田拓郎に才能を見出された原田真二・浜田省吾、フォーク村後期の出身の村下孝蔵。それに矢沢永吉・西城秀樹・世良公則・吉川晃司らのロックンローラー、そして奥田民生・ポルノグラフテイ・島谷ひとみそしてパヒューム

 九州や大阪も人材を出していますが、地方都市といってもいい広島からどうしてトップミュージシャンを出す土壌があるのかが不思議でなりません。

 奥田氏の音楽は吉田拓郎の影響を受けていると思っていますが、二人は広島皆実高校の先輩・後輩になるんですね。

 私はギター弾きが好きなのでその線から音楽を聴くことが多いのですが、Charがホストを務める番組に出演し、ギタリストとしても豊かな才能があることに驚きました。

 ユニコーン再結成は90年代に青春を謳歌した世代にはぐっと来ます。今後の活躍に期待です。



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