大塚仁さん (9)
2008/06/30 18:14
前回とセットの話題です。 FA改革交渉が「決着」した際、選手会がNPBに対して出した声明です。新聞では「合意ではない」などと いう選手会顧問弁護士の談話が載っていたと思いますが、決着したんじゃないの?という素朴な疑問は、以下を読めば何となく解決できるのではと思います。 ----- 日本プロフェッショナル野球組織 選手関係委員会委員長 清武英利殿 平成20年6月25日 日本プロ野球選手会 会長 宮本慎也 当会のFA・保留制度改革に関する対応について 謹啓 平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。 さて、当会は、貴組織から提示のあったFA・保留制度に関する修正案(以下「本件修正案」)に関連し、今後の貴組織とのFA・保留制度改革に関する対応等について協議を行いました。 その結果、今回は、本件修正案に合意はしないものの、当面は早急に訴訟等の強硬手段は取らず、2年後の制度修正に向けた交渉に期待するという判断に至りましたので、本書面をもちまして、以下の通りご説明します。 そもそも当会は、平成19年7月に開催した臨時大会において、現状のFA・保留制度が改善されないのであれば、訴訟等の法的手段も辞さない旨の決議を行いました。しかし、その後、貴組織からFA・保留制度に関しては実質的にはじめてといっても良いような本格的な本件修正案が提示されました。 この点、本件修正案は、FA期間の短縮が不十分であることに加え、補償金撤廃や年俸(参加報酬)調停制度の問題が解決されていないなど、それ自体として当会が納得し合意することのできる内容ではありませんでした。 しかしながら、本件修正案は、以下の点で、FA・保留制度改革が動き出した、との評価ができるものでした。 ①貴組織から初めてFA・保留制度に関する具体的な譲歩案が提示された点 ②大卒選手らに初めて「7シーズン」というFA期間が盛り込まれた点(ただし、新人選手以後の選手に限定されたものであるため到底満足はできません) ③2年後に向けた再検討の機会が用意されており、その際に上記「7シーズン」という期間について、現役選手にも適用が拡大されることについて議題として取り上げることとなった点 ④2年後に向けた再検討の際に、その時の状況を勘案して不都合点の修正交渉が可能であるとされた点 当会としては、12球団は各々の利害の一致を図ることが困難であるにもかかわらず、本件修正案の提示があったことを、FA・保留制度改革が動き出したと評価し、実現への一定の前進と理解しました。その結果、今回早急に訴訟等の法的手段をとることはしないという判断に至りました。そして、本件修正案には改善すべきと考えられる点が多々あるために合意はできないものの、改善点についてはまずは2年後に向けた交渉に期待することしました。 なお、当会は、改善すべきと考えられる多くの部分についてさらなる条件交渉を行い小さな前進を得るということを選択しませんでした。今回の交渉では、本件修正案から大きな前進はのぞめない状況であると判断しましたが、得られるかもしれない小さな前進をもって合意をするということではなく、本件修正案で予想される多くの問題について、実際の問題発生をベースに、2年後に向けた交渉でより多くの前進を実現することを優先させたということです。そして、今後の制度の改善をさらに進めていくことを考えて、当会からも譲歩できるところは譲歩するということとし、移籍期限や新規獲得期限の1か月延長その他の貴組織からの要望についても暫定的に譲歩いたしました。また、今後も可能な範囲で協議に応じていく所存です。 そのような意味で、今後は制度をさらに大きく動かしていくことを期待しており、2年後に向けた交渉にのぞんで行きたいと考えております。なお、明らかな問題点については2年後を待たずに修正を要望するということもありうることを付言いたします。 謹白 ----- 上記の文書は選手会の顧問弁護士が作成したものと思われます。「合意」「納得」などという言葉を極力避けるのが弁護士であり、「あのとき合意したじゃないか」と既成事実化されるのを防ぐのも大事なことらしいです。 それでも今回の交渉がひと段落し、新しいドラフト・FA制度が動き出すことは事実です。球界が良くなるように新制度が運用されることを祈るばかりです。
コメントはまだありません。
トラックバックは受け付けていません。