小関順二のドラフト最前線

セはヤクルトがナンバーワンの指名をした


小関順二さん

小関順二さん (7)

2007/11/25 01:25

高校生ドラフトも含めてどの球団がよい指名をしたのか、これから2週にわたって検証していくことにする。日本シリーズの勝者、中日に敬意を表してセ・リーグからスタートする。
 石井一久が移籍し、ラミレス、グライシンガーの去就も微妙なヤクルトがドラフトでは精力的な指名をして評価できる。「大学生&社会人ドラフト」(以下、「大・社」)では大場翔太(東洋大)、長谷部康平(愛知工大)とともに「BIG3」と言われた加藤幹典(投手・慶大)を獲得し、「高校生ドラフト」(以下、「高校」)では中田翔(外野手・大阪桐蔭高)、唐川侑己(投手・成田高)とともに「三羽ガラス」と言われた佐藤由規(投手・仙台育英高)を獲得できたのだから評価が高いのは当然である。新人は不確定要素が多いと言われるが、セ・リーグ各球団の新人にくらべ実績を積んだ加藤幹、佐藤由の不確定要素は少ないと言ってもいい。
「大・社」の下位指名に目を向けると、鬼崎裕司(遊撃手・富士重工業)、中尾敏浩(外野手・JR東日本)は高田野球に欠かせない脚力を持ち、ディフェンス面でも社会人屈指と言われるだけの実力の持ち主。新監督の方向性とスカウティングがブレていないことが最も評価できる点である。
 黒田博樹、新井貴浩という投打の柱が抜けた広島は篠田純平(投手・日大)の加入が大きい。春までは日大の先輩、那須野巧(横浜)に似ていると思ったが、秋に見た篠田は力感で那須野を上回り、広島の大先輩、川口和久を彷彿とさせるピッチングを見せつけた。来季のローテーション入りはほぼ間違いなし。2年目の前田健太とともに瀕死の鯉の救世主となることが期待されている。
 ただ、それほどの投手日照りにもかかわらず「高校」では3人のうち2人が、また「大・社」では3人中2人が野手だったのはどういうわけか。それもリードオフマンタイプの内野手が梵英心、東出輝裕、尾形佳紀、松本高明と揃っているのに同タイプの小窪哲也(遊撃手・青山学院大)を3巡目で指名している。広島のフロントは投手より野手のほうが手薄だと本当に考えているのだろうか。
 横浜は全指名選手(育成以外)6人中5人が投手だった。今のチームの現状を見ればそれも納得できる。「大・社」では小林太志(投手・JR東日本)を1巡目、桑原謙太朗(投手・奈良産大)を3巡目で指名している。ともに140キロ台後半のストレートとスライダーを持ち味にする本格派で、小林は球種が少なく、その少ない球種のスライダーとフォークボールに威力があるのでリリーフタイプだと勝手に思っている。退団が決定的なクルーンの後継者とは軽々しく言えないが、リリーフで活躍すればチームの台所事情はだいぶ楽になるはずだし、そういう願いが込められているのかなと思っている。
 上位球団の巨人、中日、阪神は正直、あまり上手な指名をしたとは思っていない。「高校生」では巨人と中日が佐藤由を、阪神が中田を外し、「大・社」では中日が長谷部を、巨人と阪神が大場を外している。ただ、そういう不運を割り引いてもうまくないと思う。巨人なら藤村大介(遊撃手・熊本工)が従来の巨人らしくない指名で好感が持てる。これまでの大味な野球からスモールベースボールへの脱皮が原辰徳監督、伊原春樹コーチなど一部の首脳陣の頭の中にあるのだろう。しかし、オーナーなど首脳陣の中には「テレビ映え」する長距離打者にこだわる面が抜きがたくある。「どんどん補強しろ」とゲキを飛ばした渡辺恒雄会長の言葉がそれを証明している。そういうフロントトップと現場首脳陣との間にあるギャップこそが低く評価した最大の理由である。

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コメント (1)

BKKさん

BKKさん (0)

2007/11/30 19:48

阪神は、平野やフォードというマルチな野手獲得の予定があったとは言え、野手は育成枠だけで大社が投手陣に偏ったことが問題ですか? 小関さんが「うまくない」とおっしゃる理由が知りたいです。



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