30球団ルーキー・ウオッチング

セーフコフィールド(シアトル・マリナーズの本拠地)


友成那智さん

友成那智さん (0)

2007/07/05 15:51

◆球場データ

所在地:ワシントン州シアトル
オープン:1999年7月15日
球場様式:屋根が開閉式になっている天然芝の野球専用球場
球場のタイプ:典型的なピッチャーズパーク

<ホームからの距離>
レフト線:100・9メートル(331フィート)
左中間の最深部:118・9メートル(390フィート)
センター:123・4メートル(405フィート)
右中間の最深部:118・0メートル(387フィート)
ライト線:99・7メートル(327フィート)
フェアテリトリーの面積:公表データなし。かなり広い印象を受ける
ファウルテリトリーの広さ:平均レベル
収容人員:4万7116人
芝:天然芝-4種類のケンタッキー・ブルーグラスと2種類のペレニアル・ライグラスをブレンドした芝を使用
芝の長さ:平均レベル。手入れがよくイレギュラーバウンドが少ない
ダグアウト:ホームチーム1塁側、ビジター3塁側
外野フェンスの高さ:どの部分も2・4メートル(8フィート)

<自然条件の特異性>
5月中旬くらいまでは空気が湿気を多く含んでいるためボールが飛ばない。とくに夜は冷え込むのでその傾向が顕著

<形の特徴>
(1)外野が広い
(2)左中間、右中間が深い

◆有利なタイプ・不利なタイプ

(◎=特に有利、○=有利、△=不利、▲とくに不利)

<有利なタイプ>
◎フライボールピッチャー(ブランドン・モロウ、ジェイミー・モイヤー、エディ・グァルダード、佐々木主浩)要因:広い外野、打球の飛距離が出ない
◎守備範囲の広い強肩の外野手(イチロー、ホセ・ギーエン、マイク・キャメロン)要因:広い外野
○強肩のキャッチャー(城島健司)要因:ランニングゲームが多くなる
○牽制のうまい投手(長谷川滋利、ジャロッド・ウォシュバーン)要因:ランニングゲームが多くなる
○新人投手-要因:失投が本塁打になりにくい

<不利にならないタイプ>
○逆方向に打つ比率が高い右打者(ブレット・ブーン)要因:風向き
○グラウンドボールヒッターとラインドライブヒッター(イチロー、ラウル・イバニェス、ホセ・ビードロ)要因:打球がフライになりにくい

<不利なタイプ>
▲右のパワーヒッター(エイドリアン・ベルトレイ、06年の城島健司、02、03年のマイク・キャメロン)要因:左中間方向の打球が飛ばない
△引っ張る傾向のある右打者(ホセ・ロペス、ユニエスキー・ベタンコート)
△フライボールヒッター(ベン・ブルサード)要因:広い外野
△肩の弱い外野手(外野を守るときのベン・ブルサード、ラウル・イバニェス、ランディ・ウィン)要因:広い外野

◆データが示すセーフコフィールドの球場傾向

セーフコフィールドにおけるここ3年間の打撃データ(04~06年、大リーグ30球団の平均値との比較。例:得点-17%はチーム得点が全30球団の平均より17%少ないことを意味します)

04年  得点-17% 本塁打+3%  安打-13% 二塁打+3%
05年  得点-3%  本塁打-16% 安打+2%  二塁打-4%
06年  得点-12% 本塁打-11% 安打-10% 二塁打ー9%
(ESPN com. MLB-ballpark factorの数字をもとに作成)
データから読み取れること
(1)本塁打だけでなくシングルや二塁打も出にくい打者に不利な球場
(2)本塁打が増えると得点がかえって減少する傾向がある

◆ホームチームの野球スタイル

マリナーズの野球スタイル:メジャー最多タイの116勝を記録した01年は典型的なスモールボール。ビッグボール志向のハーグローブ監督になってから方向性が見えない状態が続いていたが、突然辞任したたため、またスモールボール志向の強いマクラーレンのもとで機動力をフルに使った野球が見られそうだ。

◆セーフコフィールドにまつわるエピソード

(1)スモールボールに最適な新球場誕生で主役はA-RODからイチローに
セーフコフィールドは当初からピッチャーズパークにする明確な意図を持って作られた球場だった。これには1990年代末のチーム事情が反映している。当時のマリナーズは打線の中軸にケン・グリフィーとアレックス・ロドリゲスを据えてビッグボールで勝つチームだったが、彼らがFA権を取得すれば、資金的につなぎとめておくことは難しい情勢になっていた。そこで新球場に移るのを機に思い切ってスモールボールで勝つチームへの転換を図ったのである。

その方針に沿ってマリナーズはケン・グリフィーをトレードで放出。アレックス・ロドリゲスに対してもFAでチームを出ることを容認する一方で、スモールボールを展開するのに必要な俊足で守備のいい選手(マイク・キャメロン、ブレット・ブーンら)を次々に獲得。とくにA-RODが去ったあと、スモールボールのチームを引っ張る存在になることを期待されて01年に入団したのがイチローだった。
イチローの加入でスモールボールの核弾頭ができたマリナーズはその年、足を絡めた機動力野球を縦横無尽に展開して開幕から首位を独走。モイヤー、アボット、シーリーら先発のフライボールピッチャーが広い球場と外野の守備力に助けられて大活躍したこともあり、メジャー最多タイの116勝(46敗)をマークした。この116勝がスモールボールを追求した成果であることは数字を見れば明らかだ。この年、マリナーズはチーム本塁打がリーグ平均より11本少ない168本だったが、安打数、盗塁数はダントツの1位でメジャー最多の927得点をマークしている。

(2)GMが城島健司を「二塁打量産タイプの打者」と紹介した背景
05年11月にマリナーズ入団が決まったあと、城島はお披露目の記者会見でビル・バベージGMから「彼はギャップヒッターです」と紹介されている。ギャップヒッターというのは右中間、左中間にライナーをはじき返して二塁打を量産するタイプの打者のことだが、日本ではホームランバッターとして輝かしい実績がある城島をあえてそのように紹介したのは、本拠地がセーフコフィールドに移って以来、鳴り物入りで入団した右の強打者がことごとく「打撃崩壊現象」を起こす現象が続いていたからだ。02年のシリーロ、04年のベルトレ、オリーリアなどがその典型的なケースで、彼らは新天地で開幕からいいところを見せようとホームランを狙っていったが、セーフコフィールドは左中間が深いうえ、5月中旬ぐらいまでは空気が湿っていて打球が伸びない。しかもレフトからライトに風が吹くことが多いため、左中間方向の大飛球がなかなかホームランにならない。そうなると彼はさらにスイングに力を入れてフェンスの向こうに運ぼうとするが、結果的にバッティングがばらばらになってしまい不振にあえぐことになる。GMが城島をあえて「二塁打量産タイプ」と紹介したのは、もし「日本のマイク・ピアッツァのような存在」と紹介すれば、城島が本塁打を意識して「第2のベルトレ」になってしまうという読みがあったからだ。

(3)モイヤーが40歳で21勝をマークしたわけ
セーフコフィールドになって一番大きな恩恵を受けた投手はジェイミー・モイヤーだろう。モイヤーはキングドーム時代はボールを低めに集めて、フライよりゴロでアウトを取る比率が高かったが、広いセーフコフィールドで投げるようになってからは、抜群の制球力を利してフライボールピッチャーに変身。外野が広くなったメリットと、外野に守備範囲が驚異的に広いイチローとキャメロンがいるメリットをダブルで享受するようになった。その結果モイヤーは01年、38歳にして初めて20勝投手の仲間入りを果たし、さらに03年には40歳で自己ベストの21勝をマークしている。

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コメント (2)

keiさん

keiさん (0)

2007/07/07 14:34

各チームの戦力補強をあれこれと考えるのは楽しいですが、その際に「本拠地における有利不利」という要素加えるとますます楽しくなりますね。新しい楽しみ方をおしえていただきました。ありがとうございます!
バベージGMの城島に対する発言にも、そんな深い意味があったとは!!
でも、城島は活躍していますけど、マリナーズ自体は低迷が続いていますよね。バベージさんのGMとしての能力はどんなものなんでしょう??

友成那智さん

友成那智さん (0)

2007/07/09 12:22

シーズン前にFOXスポーツのサイトに出ていたGMランキングでは30人中30位でした。
 私も廣済堂の「完全メジャーリーグ選手名鑑2006」や「NHKメジャーリーグガイド2007」で、GM通信簿を作りましたが、ビル・バベージは最低ランクです。
 このGMほど「トレードが下手」で、かつ「FA補強が下手」な人は珍しいです。昨年まではバベージが取ってきた選手で働いているのは城島だけでしたが、今年はビドロがまあまあ、バティスタがいまいちという感じですから、30位から28位ぐらいになるかもしれません。でも、イチローと同じくらいの年俸で獲得したセクソン、ベルトレイ、ウォシュバーンは年俸の半分から三分の一程度の働きだし、ウィーバーも今頃になってようやく防御率が10点台じゃなくなった。それを考えるとまだ30位のままでもいいかなと思いますね。
 無能な割りに保身はうまいのかもしれません。ハーグローブからシーズン中にマクラレンにスイッチしたのはオーナーの会社の意向を受けてすぐに動いた結果でしょうから。でも、カネをこれだけ下手に使うGMには長居して欲しくないですねえ。地元の新聞も、バベージが留任工作をしているようだと皮肉っぽく書いています。(トモくん)



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