30球団ルーキー・ウオッチング

USセルラー・フィールド(シカゴ・ホワイトソックスの本拠地)


友成那智さん

友成那智さん (0)

2007/09/03 16:32

◆球場データ

所在地:シカゴのサウスサイド
オープン:1991年4月18日
球場名の変遷:開場から2000年までは「新コミスキーパーク」。04年に命名権が企業に売却され現在の名称に
球場様式:オープンエア、天然芝球場の野球専用球場
球場のタイプ:ややヒッターズパーク
<ホームからの距離>

<フェアテリトリーの面積>
推定で9600平方メートル(10万3000平方フィート)やや狭い
<ファウルテリトリーの広さ>
平均レベル

収容人員:4万615人
芝:天然芝-ケンタッキー・ブルーグラス系を主体に8種類の芝をブレンド。メンテナンスが行き届いているため芝の状態が大変いい
芝の長さ:平均レベル(ゴロの転がりの速さも平均レベル)
ダグアウト:ホームチーム三塁側、ビジター一塁側
外野フェンスの高さ:2・4メートル
<自然条件の特異性>
(1)1年を通して風が強く、風向きがよく変わる(風に乗ったホームランが出やすい)
(2)春と夏の寒暖差が大きく、気温が上がる7、8月は打球が伸びる
<形の特徴>
・左中間、右中間に膨らみがなく外野が狭い

◆有利なタイプ・不利なタイプ

(◎=とくに有利、○=有利、△=不利、▲とくに不利)
<有利なタイプ>
◎プルヒッター(ポール・コネルコ、ホアン・ウリーベ、A.J.ピアジンスキー、05年までのフランク・トーマス)要因:左中間と右中間が浅い、ホームラン風が吹きやすい○グラウンドボールピッチャー(ボビー・ジェンクス、ジョン・ガーランド、04年の高津臣吾)要因:ホームからのリスクが減る、芝の状態がいいためゴロのイレギュラーが少ない
○ホームラン狙いに走らない打者(井口資仁)要因:凡フライが減り、打率がよくなる。逆方向への長打が増える
○守備範囲が広い内野手(井口資仁、ジョー・クリーディ)要因:グラウンドボールピッチャーが多い
<不利になるタイプ>
▲好打者と勝負したがる投手(マーク・バーリー)要因:失投がホームランになる
▲フライボールピッチャー(ギャビン・フロイド、06年のニール・コッツ)要因:ホームランのリスクが増す
△グラウンドボールヒッター(スコット・ポドセドニク、パブロ・オズーナ)要因:グラウンドの状態がいいため内野安打や内野の間をゴロで抜ける安打が減る

◆データが示す球場傾向

USセルラー・フィールドにおけるここ3年間の打撃データ(04~06年、大リーグ30球場の平均値との比較。例:得点+14%は得点が全30球場の平均より14%多いことを意味します)
04年  得点+14%  本塁打+40%  安打+10%  二塁打-2%
05年  得点+4%   本塁打+38%  安打-2%   二塁打-8%
06年  得点+5%   本塁打+31%  安打+1%   二塁打-9%
(ESPN com. MLB-ballpark factorの数字をもとに作成)データから読み取れること
・本塁打が大変出やすい

◆ホームチームの野球スタイル

ホワイトソックスの野球スタイル:現在はビッグボール
ワールドシリーズを制した05年はホームランに頼らず、投手力と機動力で勝つケースが多かったが、06年からランナーを溜めて一発で得点するビッグボール志向に戻っている

◆USセルラー・フィールドにまつわるエピソード

(1)ホームランの誘惑の多い球場で2番打者の役割を優先した井口資仁
この球場でいちばん活躍した日本人選手は何といっても井口資仁だ。井口は04年の開幕から今年の7月末まで2シーズ半在籍し、2番打者で起用されるケースが多かったが、とくに見事な活躍を働きを見せたのが1年目の05年のシーズンだった。この年、ホワイトソックスは86年ぶりのワールドシリーズ制覇を成し遂げたが、ギーエン監督はその年を振り返って「俺にとってのMVPはタダヒート(井口)だった」と井口の働きを絶賛していた。

 ギーエン監督が井口を絶賛したのは、長打力があるにもかかわらず2番打者としてチームバッティングに徹していたからだ。それまでのホワイトソックスは開幕前は毎年のように地区優勝の筆頭と言われながら、そこそこの成績に終わっていたのは、本拠地球場で本塁打が出やすいため、打線に名を連ねる打者がことごとくホームラン狙いの打撃に走り、ホームランを打ち散らかして負けるパターンが多かったからだ。それがわかっているギーエン監督がもっとも欲したのがチームバッティングに徹する打者だった。就任1年目の04年は役割を担える打者がいなかった。しかし05年には井口が加入してそれが可能になったのである。「俺にとってのMVPはタダヒート」という発言には、そういった背景があるのだ。

 井口がチームバッティング優先でやっているため打撃成績を犠牲にしていることはチームメートもよくわかっていて、A.J.ピアジンスキーは、毎週出演しているラジオのホワイトソックス関連番組で井口のことを「彼はホームランを25本打てるバッター」と評している。

(2)ゴロ打たせの名人として脚光を浴びた高津臣吾
井口より一足先にホワイトソックスに入団してこの球場の人気者になったのが高津臣吾だ。ホワイトソックスが高津と契約したのは日本のセーブ記録保持者であるうえ、沈むチェンジアップ(日本でシンカーと言っているボール)を武器にするグラウンドボールピッチャーであることがホワイトソックス向きと評価されたためだ。この読みはズバリ当たり、04年のシーズンが開幕すると高津は遅い速球とかなり遅い沈むチェンジアップのコンビネーションで打者にボテボテのゴロを引っ掛けさせ、注目される存在になった。しかも、速球派のクローザー、ビリー・コッチが炎上続きで用をなさないため、ファンやメディアから高津をクローザーにという声が沸騰し、高津は開幕から2カ月たったあたりからクローザーを任されるようになった。

 通常クローザーは快速球と切れ味鋭い必殺変化球を持っていることが条件とされるが、高津は、それとは正反対に、ハエの止まるような速球と、人を食ったような超遅い沈むチェンジアップで打者を手玉に取る。しかも投球フォームもかなり変則的で、サイドハンドともアンダーハンドともつかないアングルから、遅すぎて打てないボールを涼しい顔で投げ込んで繰る。この風変わりなヒーローの出現にシカゴ・サウスサイドのファンは熱狂した。

 05年になると、高津は相手から研究されタイミングをうまく外せず打ち込まれることが多くなった。そのため、クローザーとしては短命に終わったが、ファンに与えたインパクトは大きく、35歳での大リーグ挑戦は大成功だったと言っていいだろう。

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コメント (4)

☻れェいんボぅ☆さん

☻れェいんボぅ☆さん (0)

2007/09/04 16:25

友成さん、はじめまして!

昨年9月に初めて海外旅行をし、USセルラーで2試合観戦してきました☆
(ホワイトソックスvsマリナーズです)

今回、ついにコラムにUSセルラーが取り上げられていて、嬉しくなりました♪
初めての大リーグ観戦だったのですが、球場の雰囲気やグラウンドとの近さに驚いたのが蘇ってきました。

これからも楽しみにしていますので、執筆頑張ってください!!

keiさん

keiさん (0)

2007/09/10 04:28

高津、好きだったー(今も頑張ってますけど)。ただ、メジャーで2年続けての活躍というのは難しいものなんでしょうね。岡島、来年も活躍できるでしょうか……。

れェいんボぅ☆さんの写真、いいですねー♪すごい低いアングルから撮れるものなんですね。私も来年、場所は未定ですが現地でメジャーの試合を観戦予定です!

友成那智さん

友成那智さん (0)

2007/09/13 16:55

れェいんボぅ☆さんへ
お写真ありがとうございます。USセルラーフィールドでマリナーズ戦を二つご覧になったとのこと。井口はいなくなったけど、まだ強かった時期のマリナーズを見られてよかったじゃないですか。れェインボぅ☆さんの写真を見てもわかるとおり、芝生がきれいですね。記事には書きませんでしたが、この球場はロジャー・ボサードという、いろんな意味でたくさんの伝説を残してきたグランドキーパー長がいて、芝のメンテの良さはメジャー1という評判です。90年代以降に出来た球場の多くは、このグランドキーパーが品種選定や育成の指導に当たったと聞いています。この人の父親もここの(オールド・コミスキーパーク時代の)グランドキーパーですが、親子で、グラウンドにホワイトソックスが有利になるような様々な仕掛けをして味方を助け、オーナーから「優秀なグラウンドキーパーは3割打者に匹敵する」と絶賛されています。たくさんやっていますが、どんな仕掛けをやっていたか調べて見たらどうですか?この球場にたいする見方が変わるかもしれません(笑) トモくん

友成那智さん

友成那智さん (0)

2007/09/13 17:23

keiさんへ
高津はボールが多ければ遅くなるほど威力を発揮する常識では考えられないタイプのクローザーなので、マニアックなファンに大受けでした。ただ、覚えられちゃうと、とたんに苦しくなっちゃいましたね。その点岡島はカウントを稼ぐ速球にけっこう威力があるので、カーブと手首を外側にひねるスプリッター(本院はチェンジアップと言っていますね)と組み合わせれば、今年は出来すぎにしても、来期以降もしばらくは2点台後半ぐらいの防御率を出せるんじゃないでしょうか。フェンウェイパークのところでも書きましたが、あの「左投手の地獄」といわれる球場が本拠地のレッドソックスで(大き目のレフトフライがみんな二塁打か本塁打になるのですから!)。ですから一点台の防御率は奇跡的なことです、3.00以内の防御率を出すことだって賞賛に値することだと思っています(この15年間レッドソックスでは3.00以内の防御率を出した左のリリーフ投手は一人もいなかったのですから)。パペルボンは肩がいつぶっ壊れるかわからないうえ、クローザーの期待がかかっていたハンセンがぜんぜん成長しないので、来年は2,3カ月クロザー岡島を見られる可能性もあるように思いますよ。
球場見物は来年限りで、新球場に移転するヤンキースタジアムとシェイスタジアムはどうですか。足の便がいいのが嬉しいです。 トモくん



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