30球団ルーキー・ウオッチング

クアーズフィールド(コロラド・ロッキーズの本拠地)


友成那智さん

友成那智さん (0)

2007/07/13 13:30

◆球場データ

所在地:コロラド州デンバー
オープン:1995年4月26日(球団創設3年目にオープン)
球場様式:オープンエアの天然芝球場
球場タイプ:典型的なヒッターズパーク(打者に有利な球場)

<ホームからの距離>

フェアテリトリーの面積:1万870平方メートル(11万7000平方フィート)
※メジャー30球場の中で最大
ファウルテリトリーの広さ:やや狭い。外野のファールテリトリーはほとんどない
収容人員:5万445人
芝:天然芝(ケンタッキー・ブルーグラス系の芝が主体)
芝の長さ:通常レベル(以前は短かめだったが06年から内野の芝を1・9センチ、外野の芝を1・2センチ長くした。それでもゴロが抜けるスピードは他の球場より速い)
ダグアウト:ホームチーム1塁側、ビジターチーム3塁側
外野フェンスの高さ:
レフト~センター~右中間2・4メートル(8フィート)
右中間~ライト4・3メートル(14フィート)

<形の特徴>
(1)外野がたいへん広い。とくに左中間が深い
(2)ライトポール付近のフェンスのみ45度の角度がつけられている(ライト線の三塁打が多くなる原因)

<自然条件の特異性>
(1)標高1600メートルの高地にあるため空気が薄くフライがよく飛ぶ。物理学的には平地で122メートル飛ぶ打球は標高が1600メートル増すと128・0メートルに飛距離が伸びる。それに加えデンバーは乾燥した気候のため気温が上がる夏場は平地より10メートル近く飛距離が伸びる。その反面、ピッチャーは空気抵抗が弱くなるため変化球の曲がりが悪くなり、カーブの曲がりは25%くらい悪くなると言われている
(2)1年中空気が乾燥している(投手は指のかかりが悪くなり、失投が多くなる)
(3)内陸部の高地にあるため4月中旬くらいまで夜の冷え込みが激しい(96年4月にはゲーム中の気温がマイナス8度に落ち込んだことがあった。これはメジャーリーグ記録)

◆有利なタイプ・不利なタイプ

(◎特に有利、○有利、△不利、▲特に不利)

<有利なタイプ>
○すべての打者
◎「中の上」程度のパワーを備えたフライボールヒッター(ギャレット・アトキンス、トッド・ヘルトン、90年代のビニ―・カスティーヤ、ダンテ・ビシェット、04年のジェロミー・バーニッツ)要因:打球が飛ぶ
◎ラインドライブヒッター(松井稼頭央、マット・ホリデー、ジェイミー・キャロル、ラリー・ウォーカー、02年のジェイ・ペイトン)要因:内野と外野の間が広い、打球が失速しない、硬いグラウンド
◎メキシカンリーグ出身の選手(ビニ―・カスティーヤ)要因:高地の野球を熟知
○強肩のライト(ジェロミー・バーニッツ、ラリー・ウォーカー)要因:広い外野

<不利にならないタイプ>
グラウンドボールピッチャー(アーロン・クック、ジェイソン・ジェニングス、ジェイミー・ライト、ホセ・ヒメネス)要因:長打のリスクが少ない
低めに制球できる投手(ジェフ・フランシス、ジョシュ・フォッグ)

<不利になるタイプ>
△すべてのピッチャー
▲フライボールピッチャー(ジェイソン・ハーシュ、ラトロイ・ホーキンス、デニー・ネイグル、スコット・エラートン)要因:大き目のフライがホームランになる
▲カーブピッチャー(ダリル・カイル)要因:カーブが曲がらなくなる
△守備範囲が狭い外野手(ブラッド・ホープ)要因:広い外野
△弱肩の外野手(ホアン・ピエール、ジェイ・ペイトン)要因:広い外野

◆データが示すクアーズフィールドの球場傾向

(1)標高が1600メートル上がるとこれだけ打率が上がる! ロッキーズのホームとロードの打率比較(04~06年)。右の数字はホームとロードの差
04年 ホーム3割0分3厘 ロード2割4分6厘(+5分7厘)
05年 ホーム3割0分0厘 ロード2割3分2厘(+6分6厘)
06年 ホーム2割9分4厘 ロード2割4分7厘(+4分7厘)

(2)クアーズフィールドにおける開場以来の打撃データ(大リーグ30球団の平均値と比較。例:得点+25%は得点が平均より25%多いことを意味します)

98~00年 得点+63% 本塁打+64% 安打+35% 三塁打+48%
   05年 得点+28% 本塁打+29% 安打+12% 三塁打+41%
   06年 得点+15% 本塁打+17% 安打+14% 三塁打+22%
(ESPN com. MLB-ballpark factorの数字をもとに作成)

データから読み取れること
(1)打者に極端に有利
(2)以前は本塁打が乱れ飛ぶ、驚くほど点が入る球場だったが、最近はその傾向が和らいでいる(06年に本塁打が大幅に減少したのは、ロッキーズが試合で使うボールに水分を含ませ重くしたのが原因。他球団の選手からクレームがつき、それが出来なくなって以降、また元のボールがよく飛ぶ球場に戻っている)

◆ホームチームの野球スタイル

ロッキーズの野球スタイル:90年代はホームラン野球。21世紀になってからは脱ホームラン野球を模索しているが方向性が見えない状態が続いている。

◆クアーズフィールドにまつわるエピソード

(1)松井稼頭央がコロラドで甦った背景
クアーズフィールドはホームランバッターにも有利だが、最近のデータを見るとデータを見るとそれ以上に広角にライナーや鋭いゴロを打ち分ける打者(ラインドライブヒッター)に有利という結果が出ている。メッツで2シーズン半、鳴かず飛ばずだった松井稼頭央が昨年夏ロッキーズに来てから常にハイアベレージを維持しているのも、クアーズフィールドではラインドライブヒッターに徹しているからだ。

ラインドライブヒッターが有利なる最大の要因は、球場が広いため外野の定位置が通常よりうしろに下がり、内野と外野の間が広くなることだ。それに加え、高地ではゴロやライナーが平地ほど失速しないことや、固いグラウンドもプラスに作用する。

スイッチヒッターの稼頭央は右打席より左打席で広角にライナーや鋭いゴロを弾き返す傾向があるため、クアーズフィールドでは左打席で打ちまくっており、昨年は左打席打率が4割1分1厘という高さだった。

(2)クアーズフィールドの王者=ビニー・カスティーヤ
メキシコは主要都市の多くが標高の高いところにあるため(首都のメキシコシティは標高2250メートル!)メキシカンリーグ出身の選手は「高地野球」に熟練している。その典型がビニー・カスティーヤだ。

カスティーヤはメキシカンリーグ出身で標高1800メートルにあるサルティーヨのチームで3シーズン、プレーしてからロッキーズと契約したが、持ちまえの鋭いバットスイングで速球(とくに初球)をセンター方向に弾き返すバッティングで95年から99年までのわずか5シーズンで191本塁打、562打点を叩きだす驚異的な活躍を見せた。しかし00年にデビルレイズにFAで移籍してからは本塁打の生産ペースが半減。打率も急落したためデビルレイズを自由契約になり、次のブレーブスでも8番打者に成り下がって余命をつなぐありさまだった。

ところが04年にロッキーズにカムバックすると再び別人のように打ち始め、クアーズフィールドでは大振りをしないシュアなバッティングで打点を量産してよもやの打点王に輝いている。これほど極端なコロラド限定プレーヤーになったのは、自分を若いころから高地野球に適応させてきたからだ。

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