30球団ルーキー・ウオッチング

トロピカーナ・フィールド(タンパベイ・デビルレイズの本拠地)


友成那智さん

友成那智さん (0)

2007/08/02 18:13

◆球場データ

所在地:フロリダ州セントピーターズバーグ
オープン:1990年3月3日(大リーグ最初の公式戦は98年3月31日)
球場様式:人工芝の鉄骨式ドーム球場(多目的)
球場のタイプ:ニュートラルパーク
<ホームからの距離>

 

<フェアテリトリーの面積>
9755平方メートル(10万5000平方フィート)
<ファウルテリトリーの広さ>
平均レベル

収容人員:3万8437人
芝:人工芝(新型のフィールドターフ=今シーズンの開幕前に張り替え)
ダグアウト:ホームチーム一塁側、ビジター三塁側
外野フェンスの高さ:センターのみ2・9メートル(9・5フィート)、それ以外は3・5メートル(11・5フィート)
<ドームの構造>
雨傘状の金属製の梁でテフロン加工されたファイバーグラス製の屋根を支える構造
<ドームの特徴>
(1)天井が内野から外野の方に向かって低くなっている。
(2)巨大な屋根のすぐ下に同心円状に4つの巨大なリング(円形の梁)が取り付けられており、それに設置された照明で場内を照らす仕組みになっているが、リングは二塁ベースの地点では地上68・6メートルの高さがあるものの、外野に向かって天井が低くなっているため、センターのフェンスがあるあたりでは地上からリングまでの高さが25・9メートルしかない。そのため、打球がよくリングに当たる。また、照明がリングの各所に分散して設置されているため、フライが照明に入ることがよくある。
<形の特徴>
(1)外野フェンスのレイアウトがトリッキーな形状に作られている
(2)フェアテリトリーの左半分(レフト側)が、右半分(ライト側)より10%以上広い

◆有利なタイプ・不利なタイプ

(◎=とくに有利、○=有利、△=不利、▲とくに不利)
<有利なタイプ>
◎スモールボールに対応できる選手(カール・クロフォード、岩村明憲)要因:人工芝
○俊足の外野手(カール・クロフォード)要因:人工芝に助けられた二塁打、三塁打を少なくできる
○人工芝球場の守備に慣れた選手(岩村明憲)
○ナックルボーラー(ティム・ウェイクフィールド)要因:風の影響を受けない
○この球場のクッションボールや照明のクセを心得ている外野手
<不利なタイプ>
△右のフライボールヒッター(ジョニー・ゴームス、デルモン・ヤング、ホルへ・カントゥ)要因:深いセンター、広いレフト
△急造外野手、この球場でのプレー経験の少ない外野手-要因:フライを見失うリスクが高い、トリッキーにはねるクッションボール
△経験の浅い内野手(ベン・ゾブリスト、ジョシュ・ウィルソン)要因:塁間のパスやライン際の部分がアンツーカーではなく土のグラウンドになっているためイレギュラーしやすい
△ヒザの悪い選手(ロッコ・バルデッリ)要因:人工芝

◆データが示す球場傾向

トロピカーナ・フィールドにおけるここ3年間の打撃データ(04~06年、大リーグ全30球場の平均値との比較。例:得点+4%は得点が全30球場の平均値より4%多いことを意味します)
04年  得点-9%  本塁打+1%  安打-6% 二塁打-10%
05年  得点-2%  本塁打-12% 安打+0% 二塁打-12%
06年  得点+4%  本塁打+16% 安打-3% 二塁打-9%
(ESPN com. MLB-ballpark factorの数字をもとに作成)
データから読み取れること
・二塁打が出にくい以外、大きな特徴はない

◆ホームチームの野球スタイル

デビルレイズの野球スタイル:スモールボール
何よりもスピードが要求される人工芝球場を本拠地にしていることに加え、予算的な制約が大きい球団であるため(年俸総額はメジャー最低)、脚力のある若手を主体にした機動力で勝つ野球を志向している。ジョー・マドン監督はスモールボールの本家本元=エンゼルスで長い間ベンチコーチをしていた典型的なスモールボールの監督。ただ、投手力があまりにも弱体でスモールボールがいきる1点を争う展開にならないことが多い。

◆トロピカーナ・フィールドにまつわるエピソード

(1)大リーグチームを待っている間に時代遅れになってしまった球場
トロピカーナ・フィールドは他のプロスポーツにも使用できるように設計された人工芝の多目的スタジアムだが、建設された際の目論見はあくまでも、それを誘い水にして大リーグ球団を誘致することにあった。そのため、収容人員や設備も大リーグのゲームを主たる目的として建設され90年3月に建物は完成した。

しかし球場は完成したものの、フロリダに移転してくるはずだったホワイトソックスが、地元の強烈な巻き返しで新球場建設が決まり、移転話は流れてしまった。92年にはジャイアンツが移転する話がまとまりかけたが、これも地元も巻き返しにあって流れてしまった。その結果、この球場は98年にデビルレイズがエキスパンションで誕生するまで大リーグのゲームに使用されることはなかった。

その間に人工芝のドーム球場はすっかり時代遅れになり、ファンからソッポを向かれるスポットになってしまった。デビルレイズも、時代の流れが「古き良き時代の球場」を志向しているのを見て、シンメトリーに作られていたトロピカーナ・フィールドの形状を、オールドファンに人気のあるブルックリン・ドジャースの本拠地だったエベッツ・フィールドの形状を真似たものに作り変えたが、その程度の改造では客を呼ぶことはできず、チームの成績低迷が続いていることもあって、トロピカーナ・フィールドは集客面でここ数年、ブービー賞、ないしブービーメーカーという状態が続いている。

気が重いのは、ツインズが09年を最後にメトロドームから天然芝の新球場に移転することだ。そうなると開閉式の屋根を持たない旧式のドーム球場はここだけになってしまう。デビルレイズの低迷が続き、地元では新球場建設の話も起きていないので、客をこの球場に呼ぶにはデビルレイズに強くなってもらうしかなさそうだ。

(2)低迷デビルレイズに新風を吹き込む人工芝にピッタリの岩村明憲
デビルレイズは選手の年俸総額が2400万ドルというメジャー1の貧乏球団。ヤンキースの8分の1にも満たない金額で全選手のサラリーを賄っている。そうした苦しい財政事情の中で、デビルレイズが昨オフ、岩村明憲のポスティングに455万ドルを投じて交渉権を獲得し、3年契約で入団させたのは、いろいろな面でトロピカーナ・フィールドにピッタリのプレーヤーだと高く評価していたからだ。

打撃面では広角に打ち分けるラインドライブヒッター。守備面では打球に対する反応が早い強肩の三塁手、走塁面では盗塁を30以上期待できる俊足で、ベースランニングもピカイチ。こうした長所は人工芝球場には不可欠の要素だ。その評価に狂いはなく、岩村は今季、公式戦が始まると同時にその人工芝仕様の能力を遺憾なく発揮し、目を見張る働きを見せた。それが評価され、今ではリードオフマンに定着、未完の大器がそろった若いチームを引っ張っている。すでにクロフォードとの強力な1、2番コンビが出来上がっており、今後、低迷が続くチームのけん引車として大いに機能しそうだ。

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