30球団ルーキー・ウオッチング

ヤンキースタジアム(ニューヨーク・ヤンキースの本拠地)


友成那智さん

友成那智さん (0)

2007/07/03 12:04

◆球場データ

所在地:ニューヨーク、ブロンクス区

オープン:1923年4月18日(現在のヤンキースタジアムは1974年に旧スタジアムを解体。同じ場所に2年がかりで新たに作られたもので1976年から使用している)

新球場:2009年のシーズンからは現在すぐ隣に建設中の新球場に移転することが決まっている。

<ホームからフェンスまでの距離>
レフト線:96・9メートル(318フィート)
レフトの定位置後方:115・5メートル(379フィート)
左中間:121・6メートル(399フィート)
センター:124・4メートル(408フィート)
右中間:117・3メートル(385フィート)
ライトの定位置後方:107・6メートル(353フィート)
ライト線:95・7メートル(314フィート)
バックフェンス:25・6メートル(84フィート)
フェアテリトリーの面積:1万498平方メートル(11万3000平方フィート)ア・リーグの球場ではトップクラスの広さ

 

<ファウルテリトリーの広さ>
狭い。外野はほとんどファウルテリトリーがないが、キャッチャー後方は深い。

収容人員:5万7545人
芝:天然芝(メリオンという種類のケンタッキー・ブルーグラスを使用)
芝の長さ:かなり長い
ダグアウト:ホームチーム1塁側、ビジター3塁側
外野フェンスの高さ
レフト:2・4メートル(8フィート)
左中間~センター:2・1メートル(7フィート)
右中間:2・7メートル(9フィート)
ライト:3メートル(10フィート)

<形の特徴、グラウンドの特徴>
(1)左中間が右中間より4・2メートル、レフト定位置後方がライト定位置後方より7・9メートル深い「右浅左深」の形をしている
(2)外野寄りの内野スタンドがライト線、レフト線のすぐ近くまでせり出している。(ライン際を抜ける打球がこれに当たると大きく内側に向きを変えるので二塁打がシングルに終わるケースがよくある)
(3)芝が長い。内野の芝はゴロが内側に切れるように刈ってある

◆有利なタイプ、不利なタイプ

(◎=とくに有利、○=有利、△=不利、▲=とくに不利)

<有利なタイプ>
◎強肩のショート(デレク・ジーター)要因:長い芝。深い左中間→中継バックホーム
◎守備範囲の広いレフト、センター(メルキー・カブレラ、松井秀喜、バッバ・クロズビー)要因:深い左中間
◎左のフライボールピッチャー(マイク・スタントン、97、98年のデービッド・ウェルズ)要因:深い左中間
○強肩のレフト、センター(メルキー・カブレラ、デービッド・ジャスティス)要因:深い左中間
○右のグラウンドボールピッチャー(王建民、ジョン・リーバー)要因:長い芝→安打の減少
○両翼のクッションボールの処理に慣れたライト、レフト(ゲーリー・シェフィールド、松井秀喜)
○左のプルヒッター(ティノ・マルティネス)要因:浅い右中間

<不利にならないタイプ>
○右浅左深の形状を超越したパワーを持つ右の強打者(アレックス・ロドリゲス、ゲーリー・シェフィールド)

<不利になるタイプ>
▲肩の弱いレフト、センター(ジョニー・デイモン、03年以降のバーニー・ウィリアムス、ロンデル・ホワイト)要因:深い左中間
△左中間ないしセンターに打球が行く比率の高い右のフライボールヒッター(右打席のホルへ・ポサダ、アルフォンソ・ソリアーノ、トニー・クラーク)要因:深い左中間
△守備範囲の狭いレフト、センター(03年以降のバーニー・ウィリアムス、01年のチャック・ノブローク)要因:深い左中間

◆データが示すヤンキースタジアムの球場傾向

ヤンキースタジアムにおけるここ3年間の打撃データ(04~06年。全30球場の平均値との比較。例:本塁打+5%、は平均より5%本塁打が多くでたことを意味します)

04年 得点-8%  本塁打+3%  安打-3%  二塁打-11%
05年 得点+5%  本塁打+11% 安打+8%  二塁打-12%
06年 得点-10% 本塁打+7%  安打-7%  二塁打-5%
(ESPN com.MLB-ballpark-factorの数字をもとに作成)

データから言えること
(1)二塁打が出にくい
(2)得点がやや入りにくい
(3)本塁打は平均より幾分多いがヤンキースは強打者揃いなので割り引いて考える必要がある)

◆ホームチームの野球スタイル

ヤンキースの野球スタイル:現在はビッグボール
ここ数年はパワーと選球眼を兼ね備えた打者を揃えてビッグボールを展開しているが、ラインドライブヒッターが主体だった90年代後半はスモールボール色の強い野球を展開。とくにチーム最多の114勝を記録した98年は、盗塁成功数153、ヒットエンドラン敢行数115が示すように機動力をフルに使っていた。トーリ監督はもともとスモールボール志向が強い。ヤンキースタジアムもどちらかというとスモールボール向きだが、ヤンキースは現在、資金力にものをいわせてビッグボールを展開している。

◆ヤンキースタジアムにまつわるエピソード

(1)ヤンキースが「レフトが深くライトが浅い形」にこだわる背景
レフトが深くライトが浅い形状はベーブ・ルース時代の名残だ。ヤンキースタジアムはアメリカに初めて誕生したマンモス球場で、オープン時から5万8000人を収容能力を有していた。この巨大なスタンドを観客で埋めるにはニューヨーク中を熱狂させていたベーブ・ルースにホームランを量産させる必要があった。そのためヤンキースタジアムは「ライト~右中間」が、「レフト~左中間」より10・7~13・7メートルも短かい形に設計された。特筆すべき点は、ベーブ・ルース以後も今日まで一貫して「右浅左深」の形が維持されていることだ。80年台に行なわれた2度の改装で極端な「右浅左深」は現在のマイルドな「右浅左深」になったが、ヤンキースは「右浅左深」の強いこだわりを持っており、09年にオープンする新球場にも現在の形状がそのまま引き継がれることになっている。ここまで「右浅左深」にこだわるのはチームの原点がベーブ・ルース時代にあるという思いが強いからだ。

(2)ジーターの守備の見せ場を作る長い芝が松井秀喜骨折の元凶に
デレク・ジーターの守備の見せ場は何といっても、三遊間を抜けるかに見えた痛烈なゴロを好捕し一塁へのジャンピングスローでアウトにするプレーだ。これを可能にしている最大の要因は足首が隠れるほど長く伸びた芝だ。ここの芝は今ではほとんど使われなくなったメリオンという種類のケンタッキー芝で、長いだけでなく密に生えているため強いゴロもすぐに失速する。しかも、肩に自信があるジーターは、いつも深めに守っているため、ぎりぎりのタイミングでヒット性の当たりをグラブに収めるシーンが多くなるのだ。これによってジーターは3年連続でゴールドグラブ賞に輝くが、長い芝のおかげでとんでもない目にあった選手もいる。松井秀喜だ。
松井は昨年5月のレッドソックス戦で前進してスライディングキャッチを試みた際、グラブが長い芝に引っ掛かって手首を骨折、約4カ月間欠場を余儀なくされた。これはヤンキースタジアムだからこそ起きたアクシデントといっていい。

(3)左のフライボールピッチャーである井川慶には有利に働く可能性が大
レフトが深い形状は、今後、左のフライボールピッチャーである井川慶にもプラスに働く可能性が高い。今のところ井川は大リーグへの同化がスムーズに行かずホーム、ロードとも惨たんたる防御率だが、制球が安定してくれば、ホームランのリスクが減るホームゲームでは高目のフォーシームを効果的に使いながら、落ちるチェンジアップで仕留めるピッチングが見られるだろう。井川は不調時にボールが浮く傾向があるので、その面でもレフトが深いことは大きなプラス要因になりそうだ。

ソーシャルブックマークへ投稿(ソーシャルブックマークとは はてなブックマークに追加 Buzzurlにブックマーク

コメント (4)

おっとっとっとっさん

おっとっとっとっさん (7)

2007/07/05 00:51

 松井の骨折が、ヤンキースタジアム特有の長い芝が一因だったとは。ライトが浅いことへのこだわりは聞いたことがありましたが、メジャーの球場にはまだまだ一般に知られていないこだわりがあるのですね。

友成那智さん

友成那智さん (0)

2007/07/05 18:01

どの球場にも「こだわり」や、ハッキリした有利不利が設定されているのが面白いところです。「こだわり」に逆らった補強をするチームは勝てません。優秀なGMは自分の球場の「こだわり」がどんなタイプの選手ぬ有利になるか、よく分析していて、理に叶った補強をしています。日本では球場要因という発想がないので「イチローがレッドソックスにFAでいく可能性がある」といったことを平気で書く人がいますが、あのようなビッグボール球場にスモールボールの象徴であるイチローがマッチするかどうか、考えるまでもないことです。(トモくん)

おっとっとっとっさん

おっとっとっとっさん (7)

2007/07/05 19:39

 なるほど、そうなんですね。となると、イチローは…。ヤンキースは今はビッグボールですが、それはあくまでそういう選手をお金でそろえたのであり、球場はスモールボール向きということですから、やっぱり…。秋に向けて、楽しみ方が増えました。

友成那智さん

友成那智さん (0)

2007/07/09 11:52

イチローの去就が注目されていますが、ドジャース、パドレスといった広い球場でたっているスモールボールのチームがイチローの代理人にアプローチを開始しているようです。でも、マリナーズはマクラレン新監督にスイッチして在留させる体制を整えてきているので…。今後の動向に注目しましょう。(トモくん)



トラックバック (0)

トラックバックは受け付けていません。