30球団ルーキー・ウオッチング

ドルフィン・スタジアム(フロリダ・マーリンズの本拠地)


友成那智さん

友成那智さん (0)

2007/08/27 18:22

◆球場データ

所在地:フロリダ州マイアミ北郊
オープン:1987年8月16日(フットボールのドルフィンズのプレシーズン・マッチ)。大リーグの公式戦はフロリダ・マーリンズが誕生した93年から
球場名の変遷:開場から95年までは「ジョー・ロビー・スタジアム」、96年に命名権が企業に売却され「プロ・プレイヤー・スタジアム」に変わったが、アパレルメーカーのプロ・プレイヤー社が倒産したため、2005年に現在の名称に
球場様式:野球、サッカーにも使用可能なフットボール・スタジアム(天然芝)
球場の使用期間:この球場の所有者であるドルフィンズのハイジンガ・オーナーが2011年以降はマーリンズに使用させることを拒否しているため、マーリンズがこの球場でプレーするのは2010年までとなる。新球場建設の話はまだ具体化していない
球場のタイプ:典型的なピッチャーズパーク
<ホームからの距離>

<フェアテリトリーの面積>
1万700平方メートル(11万5000平方フィート)かなり広い
<ファウルテリトリーの広さ>
やや広め

収容人員:3万6331人
芝:天然芝-ティフウェイ419(改良型のバミューダ芝)を主体にブレンドした暑さに強い芝を使用
芝の長さ:短い(ゴロがもっとも速く抜ける球場の一つ)
ダグアウト:ホームチーム一塁側、ビジター三塁側
外野フェンスの高さ:センター~右中間~ライト、レフトポール際2・4メートル、レフト~左中間(スコアボードがある部分)10メートル
<自然条件の特異性>
・亜熱帯性気候で5月から9月までは雨季になるためゲーム前やゲーム中によく雨が降る<形の特徴>
(1)フットボール競技場を野球でも使えるようにした球場であるため、外野フェンスにまったく膨らみがなく、直線と直線がセンターで直角に交わるような形になっている
(2)センターが極端に深くなっており、センター右後方に三角形の切れ込み(バミューダ・トライアングル)がある
(3)レフト後方からセンター右奥まで62メートルにわたって高さ10メートルのスコアボードが設置され、それがフェンス代わりになっている

◆有利なタイプ・不利なタイプ

(◎=とくに有利、○=有利、△=不利、▲とくに不利)
<有利なタイプ>
◎フライボールピッチャー(アニバル・サンチェス、リニエル・ピント、06年のジョー・ボロウスキー)要因:広い外野、レフト側の高いフェンス
◎新人投手-要因:失投がホームランになりにくい
◎守備範囲の広い強肩のセンター(アルフレード・アメザガ、02年までのプレストン・ウィルソン)要因:深いセンター、三塁打の阻止
◎スモールボールに適した選手(ハンリー・ラミレス、05年までのルイス・カスティーヨ、ホアン・ピエール)要因:球場が広く、打球があまり失速しないため三塁打のチャンス増大、ランニングゲームが多くなるため足が生きる
○強肩の捕手(ミゲール・オリ―ボ、04、05年のポール・ロドゥーカ、03年のイバン・ロドリゲス)要因:ランニングゲームが多くなる
<不利にならないタイプ>
□球場のサイズを超越したパワーを備えた打者(06年以降のミゲール・カブレラ、05年のカルロス・デルガード)
<不利なタイプ>
▲右のフライボールヒッター(ジョシュ・ウィリンガム、アーロン・ブーン)要因:広い外野、高いフェンス
▲急造外野手(ジョシュ・ウィリンガム、05年までのミゲール・カブレラ)要因:広い外野、ライナー性のゴロが失速しない短い芝、トリッキーな外野フェンス
△打球への反応が鈍い内野手(ミゲール・カブレラ、マイク・ジェイコブス)要因:ゴロが失速しない

◆データが示す球場傾向

ドルフィン・スタジアムにおけるここ3年間の打撃データ(04~06年、大リーグ全30球場の平均値との比較。例:得点-10%は得点が平均値より10%少ないことを意味します)
04年 得点-10% 本塁打-1%  安打-5% 二塁打-7%
05年 得点-12% 本塁打-20% 安打-7% 二塁打-14%
06年 得点-10% 本塁打-12% 安打-5% 二塁打-3%
(ESPN com. MLB-ballpark factorの数字をもとに作成)
データから読み取れること
・長打が出にくく、得点が入りにくい打者に不利な球場

◆ホームチームの野球スタイル

マーリンズの野球スタイル:05年まではスモールボールを志向していたが、06年からは、チームをパワーのある若い打者と、球威のあるルーキー投手で固めて、どちらかというとビッグボールに近いスタイルに転換している感がある

◆ドルフィン・スタジアムにまつわるエピソード

球場が広ければレギュラーの大半がルーキーでも勝てる!
大リーグでは球団間の資金力格差が激しい。05年の大赤字覚悟で大型補強を行なって優勝を逸したマーリンズは大赤字解消のため、06年は極端な緊縮財政に転換せざるを得ず、05年のシーズン終了後にミゲール・カブレラとドントレル・ウィリス以外のレギュラー選手を全員トレードで金持ち球団に放出し、見返りにマイナーの有望株を獲得して06年のシーズンに望んだ。その結果、チームの年俸総額は松井秀喜1人の年俸とそれほど変わらない1430万ドルという驚異的に低い水準に下がったものの、野手のレギュラーの8人中6人と先発ローテーション5人のうち4人がルーキーか同程度の選手ということになり、一見するとトリプルAのチームがメジャーで戦っているような感じだった。しかし、このルーキー軍団は序盤こそ1つ勝って2つ負ける状態で苦戦が続いたものの、6月に入って白星先行に転じ、9月にはついに勝率が5割を超えて、一時はワイルドカード争いに加わる健闘を見せた。その牽引車になったのは、10勝以上をマークした4人のルーキー先発投手(ジョシュ・ジョンソン、スコット・オルセン、リッキ―・ノラスコ、アニバル・サンチェス)だった。

4人のルーキー投手が2ケタ勝利をマークしたケースは過去に例がない。このような快挙が生まれたのは、本拠地球場のドルフィン・スタジアムが、ホームランが出にくい広い球状で、失投を恐れずに自分のピッチングをすることができたからだ。とくにそのメリットを享受していたのが、フォーシーム主体のピッチングを見せるアニバル・サンチェスで、9月6日にドルフィン・スタジアムで行なわれたダイヤモンドバックス戦では、ストライクゾーンの高低を目いっぱい有効に使った投球で、ルーキーながらノーヒットノーランを記録している。

 これは貧乏球団でも、広い球場を持てば十分戦えることを示している。広島カープなどはこれを見習って、新球場を思い切り広い球場にすべきだろう。カープが勝てなくなったのは予算面の制約が大きいからだと言われているが、カープの年俸少額は昨年約17億円で最高額のジャイアンツ(約39億円)の半分弱。昨年マーリンズがヤンキースの15分の1の年俸総額で戦っていたことに比べれば、たいしたことのない差だ。カープはそれでなくてもフライボールピッチャーが多いのだから(黒田、永川はその代表格)、広い広い新球場を作るべきだろう。

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