アラーの国のフットボール

橋を隔てた2つの国の明暗、さあ湾岸対決


海島健さん

海島健さん (2)

2009/06/21 23:02

 W杯アジア予選の最終節(6月17日)、バー レーンはホームでウズベキスタンを1-0で下し勝ち点10に到達。グループ3位を確保しアジア5位決定戦に駒を進めた。決勝点を挙げたのはマフモッド・ア ブドゥルラフマン(=リンゴ)で、FKによるもの。2月のタシケントの試合でもロスタイムにリンゴがFKを決めて勝っており、まさにリンゴのおかげで対ウ ズベキスタン2勝となった。ウズベキスタン代表のカシモフ監督もこのFKに対しては、「マンチェスターUのGK(=ファンデルサール)でも今日のあのFK は止められない」と賞賛を惜しまなかった。
 
 試合翌日の見出しは当然のように「リンゴロケット」絶賛、リンゴオンパレードだ。
 「リンゴの足はウズベキスタンの敵」(アクバル・アル・カリージ紙)
 「赤の軍団、リンゴのゴールで飛び立つ。プレーオフ出場権獲得」(アル・アヤム紙)
 「リンゴロケットのおかげでプレーオフの対戦予約をとりつけた」(アル・ワサット紙)
 
  マナマのスタジアムでバーレーン代表の歓喜と安堵を見届けたあと、マクハ(=地元の人の喫茶店)に駆けつけサウジアラビアvs北朝鮮をテレビ観戦。後半開 始に何とか間にあうタイミングで到着し「さて、プレーオフの相手はどこなのだ」とつかの間の高みの見物。すでにゲームが終わった韓国vsイランはドロー だったのでリヤドでのこのゲームが始まる前の時点での3チームは勝ち点11で並び、順位は暫定で以下のようになっていた。
順位  国      勝ち点  得失
2位 北朝鮮     11   +2
3位 イラン     11   +1
4位 サウジアラビア 11    0
 
  と壮絶なもの。サウジアラビアとすれば、勝てばW杯出場、引き分ければプレーオフ、負ければ予選敗退という状況。前回コラム(サウジの巨大ニンジンで北朝 鮮は「今度で終わり」)で紹介したサウジ代表選手の前にぶら下がった巨大ニンジン(各選手5000万円相当のボーナス)ネタはこちらのサポーターにもよく 知られており、興味は「巨大ニンジン効果で、一体何点差をつけて北朝鮮を負かすのか」といったところだった。
 
 同じアラブ勢ということもあり、当然のようにマクハではサウジアラビアへの声援が多かった。が、圧倒的に攻め込みながら北朝鮮の鉄壁の守備に阻まれ引き分けに終わると、意外な結果に驚くとともに「ああーー、サウジアラビアが相手かーー」と、ため息がもれる。

umishima090621 
 まさかのドローにサウジアラビアのメディアは後半での失速(=選手のガス欠)を批判。
  「サウジの酷い試合で北朝鮮にW杯切符を手渡す」(アシュラク・アル・ワサット紙)と逃したW杯自動出場権を悔やむものになっていた。記事では「以前の審 判のミスジャッジの代償をここで払わされている」(=昨年の11月、ホームでの韓国戦などでのものを指している)と述べるなど、批判の矛先をずっと以前の 試合の審判に向けざるを得ない状況だ。
 
 サウジアラビアはW杯アジア最終予選の前半4試合で1勝1分け2敗で勝ち点4、後半4試合は2 勝2分けで勝ち点8という結果だった。結局前半戦で2敗したのが最後まで響いたと見ることができそうだ。第3戦韓国、第4戦北朝鮮と連敗したが、せめて、 どちらかと引き分けて勝ち点1を上積みしていれば、とは誰しもが思うのではないか。W杯予選は「負けないこと」が大事と言われる。わずか8戦で2敗は大き すぎたということだろう。もっともこの日、イランが韓国に勝っていれば、サウジアラビアは北朝鮮と引き分けたら4位で予選落ちが決まったわけで、そう考え れば希望がつながっただけでもよしとせねば、という考えも成り立ちそうだが。
 
 それはともかく、サウジアラビア・サッカー協会は早速今後のプレーオフに向けたスケジュールを発表した。ちょっと長いが紹介してみよう。
◆8月7日-14日 代表合宿(暑さの残る時期の湾岸対決になるのであえて国内か?、12日と14日に親善試合)
◆8月19日 サウジリーグスタート(本来は8月26日スタートのはずが前倒し)
◆8月27日 代表再招集 サウジアラビア東部のダンマン(ここからちょこっと橋を渡ればバーレーン)にて合宿
◆8月30日 親善試合(相手未定)
◆9月5日  バーレーンとのプレーオフ第1戦
◆9月10日 バーレーンとのプレーオフ第2戦
(以下はもしサウジアラビアが勝った場合)
◆10月4日 親善試合(相手未定)
◆10月10日 ニュージーランドとの大陸間プレーオフ第1戦(サウジのホームゲーム)
◆11月4日 合宿スタート
◆11月8日 親善試合
◆11月14日 ニュージーランドとの大陸間プレーオフ第2戦(アウェー)
 
  ちなみにサウジアラビアのビッグクラブである、アル・イテハド(ナイフ・ハザジィやモハメッド・ヌールの所属クラブ)は今夏スペインで行われるピース杯 (7月24日開幕)に出場し、あこがれのRマドリードなどと対戦する予定なのだが、代表選手は代表重視ということでスペイン行きをあきらめろとの通達まで 出される始末だ。ごほうびを含めているであろうこのスペイン遠征に参加できない選手は、さぞかしがっかりだったに違いない。
 
 W杯チケットを手にするまでのスケジュールを聞かされたサウジアラビアの選手たちは改めて逃した魚の大きさを思っただろう。
  一方のバーレーンは前回大会予選に続くプレーオフの「常連」で、マチャラ監督なども3月の日本戦の前あたりから「現実的に3位を狙う」と公言してきて、選 手にもその覚悟がずっとあったのは間違いない。そして、最終節で負ければ3位の座をウズベキスタンに持っていかれる危機を乗り越えてのプレーオフ獲得で歓 喜アンド安堵のバーレーン代表。モチベーションはしっかりしている。
 
 両国ともアジア5位の座をかけた相手が同じ湾岸勢でやりにくいの は同じだ。初出場目指す小国バーレーンvs5大会連続出場目指す湾岸の超大国サウジアラビアは、今回は歓喜のバーレーンvs落胆のサウジアラビアという図 式になり、地力に勝ると一般的に思われるサウジアラビアの苦戦は免れないように、希望的観測込みで思うのだが…。

※写真はW杯出場を決めて喜ぶ北朝鮮の選手(AP)

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コメント (4)

サイトヲさん

サイトヲさん (1)

2009/06/21 23:58

同組の好(バーレーン)か、
かつての住処or仕事場の好(サウジアラビア)か。
現・旧サウジ在留邦人のサッカー好きにとっては
悩ましい組み合わせになってしまいました。
…もっとも、サウジでの不自由な生活やまるではかどらないビジネスに
何度も煮え湯を飲まされてきた在留邦人の中には
「サウジ負けちまえ」とホンキで呪っている方も相当数いそうですけど(苦笑)

yuiyuiさん

yuiyuiさん (0)

2009/06/22 02:04

 サウジ応援してたのに…。
 サウジとバーレーン、どちらも応援したいです。どちらが出てもNZに負けてほしくない。

海島健さん

海島健さん (2)

2009/06/22 14:19



サイトヲさんへ

今回の予選で取り上げる機会の多かったバーレーンとサウジアラビア。奇しくも激突です。

呪っている方もおられますか。
サウジ生活の厳しさの一端を垣間見る気がします。

赤の軍団vs緑の軍団とどこかの会社のカップラーメン戦争の様相ですが、ラマダン中の最高の娯楽になるのは間違いなし

海島健さん

海島健さん (2)

2009/06/22 16:47

yuiyuiさんへ

「バーレーンvsサウジに勝てばW杯出場は90パーセント確実」などという人がこちらでは多いのですが、そんなに簡単かどうか逆に心配です。



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