アラーの国のフットボール

ここまで進化しているバーレーン代表


海島健さん

海島健さん (2)

2008/03/04 21:50

 日本代表にとってW杯アジア3次予選の2戦目(3月26日)、対戦相手バーレーン代表とは04年から05年にかけて3度(中国アジア杯準決勝とW杯ドイツ大会最終予選のホームアンドアウェー)も対戦しており「またあのチームか」あるいは「バーレーンなら負けないだろう」と感じる方も多いのではないか。

 ただ、05年6月3日の最後の対戦(W杯ドイツ大会最終予選・マナマ)から3年近い月日が流れており、日本代表がかなり変わったように、バーレーン代表も大きく進化している。進化の原動力は主に2つあると筆者は考えている。

 まずは北京五輪世代の台頭が挙げられる。前回対戦時のバーレーン代表は、DFババやDFアドナン、FWアラー・フバイルといった(バーレーンの黄金世代と言われる)アテネ五輪世代が中核となっていた。このアテネ五輪世代は日本の五輪代表・山本ジャパンを最後まで苦しめたことを記憶している方も多いだろう。このような強力な世代は「バーレーン・サッカー史上最初で最後に違いない」と言われていた。だからこそ、W杯ドイツ大会の大陸間プレーオフでトリニダード・トバゴに敗れた時の失望は非常に大きかった。

 だが、バーレーンサッカー協会(BFA)は次の北京五輪世代の強化を、ナイジェリアやチャド、モロッコ出身の優秀な選手にバーレーン国籍を取得させるという手段で進めた。これはBFA史上かつてないほど大規模に行われ、生粋のバーレーン人がチャンスを奪われるという理由から国内のサッカーファンの反発も大きかった。この北京五輪世代の競争は一気に激しくなり、韓国五輪代表と出場権を最後まで争うほどになった。

日本-バーレーン 

  W杯南アフリカ大会アジア3次予選の初戦オマーン戦、敵地で歴史的な勝利を飾った時も、この北京五輪世代が4人もスタメンで出場していた。A代表もこの世代の取り込みは、かなりうまくいっている。

 もう1つ前回と大きく違うことがある。それはバーレーン代表候補選手をバーレーンリーグ王者、アル・ムハラクというチームに集め、このチームを土台にバーレーン代表を作っていることだ。アル・ムハラクなどといっても、日本での知名度はほとんどないと思うが、このチームはバーレーン国内ではアル・リファとならぶ強豪(ここ2年は連続でリーグ制覇、最近の10シーズン中6回の優勝を誇る)チームで、06年のAFC杯(レバノン、ヨルダン、オマーン、バーレーン、マレーシア、シンガポールといった国のリーグチャンピオンなどが集まる大会で欧州のUEFA杯のようなもの?)で準優勝を果たしており、アジアCLに出場しても全くおかしくない実力を有している。ちなみに、前述したアフリカ出身のバーレーン国籍取得選手のほとんどがこのチームに所属しており、バーレーン王室もこのチームを強力にサポートしていると言われている。

 アル・ムハラクの基本システムはバーレーン代表と同じ4-4-2。2月29日の国内リーグの大一番、アル・リファ戦のスタメンで代表クラス選手は、FWアブドラ・ダキール、両ウイングのMFマフモッド・アブドルラフマンとMFオマル(チャド出身)、ダブルボランチがドサリ(カタールのアル・コールから復帰)とサルミーン(カタールのアル・アラビより復帰)、左SBのファウジ(モロッコ出身)、GKのマフモッド・ジャファとずらり7人もそろい、ユニホームも代表と同じ赤なのでまるでバーレーン代表がクラブチームと壮行試合でもしているかのようである。

 実際のバーレーン代表もこのアル・ムハラクのメンバーに海外組のカタール組とクウェート組(と国内の他チームの選手)を乗せる形がここ最近のゲームでは非常に目立つが、アラブ世界にはこのやり方で代表が大成功した例があることに気づく。

 エジプト代表とアル・アハリだ。2大会連続でアフリカ杯王者になったエジプト代表が、クラブW杯でもおなじみになったアル・アハリから多くのメンバーが選出されているのは有名な話だ(こちらはアル・アハリ+欧州組と豪華ではありますが、国の権力者がサポートしているのも似ております)。

 BFAがこのエジプト代表をどれほど参考にしているかは定かではない。しかし、こういった形で代表チームを作っていくのは現在のバーレーンにとっては、とてもいいことではないかと思う。
 04年に中国でのアジア杯でベスト4に入り、アジアサッカー界を驚かせた後、バーレーンの代表選手の多くはカタールリーグに渡っていった。これは選手にとってはサクセスストーリーなのであるが、同時にBFAにとっては代表選手の招集がままならないという事態も引き起こした。当時のスタメンのほとんど(11人中8~9人)がカタールリーグ所属で、トリニダード・トバゴとの大陸間プレーオフ敗退の大きな原因もここにあったと言われる。前回はそういった新しい、厳しい状況のなかでのW杯ドイツ大会のアジア最終予選での日本(やイラン、北朝鮮)との戦いだったのであり、この時の反省といった意味合いも感じられる。

 以上の2点、北京五輪世代の突き上げ(=強引ともいえる必死の強化策)と海外組のみに頼らない国内のビッグクラブを基礎にした代表チームつくり。これらは同組のライバルのオマーン代表にはあまり見られない。オマーンの新聞には相変わらず「カタール組の合流が遅れてチーム作りが進まない」といった論調を見かけることからも明らかだ。そう考えると先日のオマーン戦の歴史的勝利も、たまたまバーレーンが好調だったという以上のものを筆者は感じるのだが、いかがであろう。

 バーレーン代表は、前回最後に日本代表と対戦した05年6月よりスケールアップし、チームも好調そのものだ。あえて物足りない(=穴が埋まっていない)点をあげれば、CKの精度が今ひとつなことであろうか。代表引退したFWタラル・ユーセフの穴である。

 今回の日本との対戦に関しては、こちらのサッカーファンは期待を込めつつも冷静な感じがする。アル・ムハラクのファンである知人のオモラン氏は「東アジア選手権チラッと見た(こちらでも放映された)けど、日本代表イマイチだったね。まあ、あれはA代表じゃなくて、今回の対戦でも欧州組いっぱい呼ぶんでしょう、かなわないよな~」と言っていた。

 こちらでは日本代表に関しては「アジアナンバー1のチーム」という言葉が枕詞のようについて新聞などで報道され続けており、ファンの間でもリスペクトは健在である。

 04年~05年で3度対戦してすべて日本がバーレーンに勝ったことから、日本では「比較的楽な相手」と考える向きもあるようだが、それほど簡単なものではないと思う。日本代表はあの時と比べて実力は上向いたのか、下降線なのか。筆者にははっきり分からないが、少なくとも04年~05年当時よりバーレーンが進化しているのは間違いないと思う。

 最後にこちら中東では「欧州ブランド崇拝」も根強いので、日本代表は欧州組は躊躇(ちゅうちょ)せずにいっぱい呼んでほしいものだ。バーレーンに対する威嚇効果は絶大であることは保証しましょう。

 ※写真は2004年アジア杯準決勝の日本-バーレーン(撮影・撮影・西尾就之)

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コメント (4)

DERUPIさん

DERUPIさん (0)

2008/03/07 00:54

バーレーンは最近力を付けてきているのですか。
逆に日本は岡田監督に代わってから、パッとしないのでちょっと不安です。

海島健さん

海島健さん (2)

2008/03/07 18:58

DERUPIさんへ

今回のバーレーンー日本戦は欧州組の召集が微妙なようですね。今回は国内組主体で乗り切り、6月の4連戦で欧州組が本格的に合流し、大きくチームを変えるのでしょうか。

好調のバーレーンにとっては大金星のチャンスなのかもしれません。

海島健さん

海島健さん (2)

2008/03/07 19:55

そのバーレーンリーグですが、3月7日ー9日(第12節)、3月14日ー15日(第13節)の延期が決まった模様。日本戦まではリーグ戦を行わないようです!!

はたして、目的はなんでしょうか??

海島健さん

海島健さん (2)

2008/03/22 18:57

21日のバーレーン代表ーイラン代表戦

アル・ムハラク組は休ませつつも、アリ・ダエイ監督率いるイラン代表をしたたかに1-0で撃破。



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