アラーの国のフットボール

オマーン人の性格の良さが岡田日本の脅威?


海島健さん

海島健さん (0)

2008/05/01 23:37

 「バーレーンは日本に勝ったんだぜ!!」のネタで1カ月以上いじられている。バーレーン人がよく口にするのは「なぜ欧州組を3月26日の試合に呼ばなかったのか」というものだ。筆者が過密日程などのことを説明しても納得する人はほとんどおらず「岡田監督と欧州組は感情的な行き違いがあるんだろ」と言ってくる人が非常に多い。

 納得してもらえなくても「まあ、最終予選はバーレーンと日本でいこうね」で会話を締めることが多いのだが、人によっては「バーレーンはね、オマーンと行きたいんだよ」などと、思わず本音と思われることを口にする人もいる。

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 バーレーンとオマーンは金満のイメージが強いGCC諸国の中でも、サッカーにかけられる予算が最も低い部類に属する。ガルフ杯などでこの両国が最下位争いをするのは当然と思われていた時代が長く続いていた。そういった意味でこの両国がお互いにある種の連帯意識(単にGCCの同胞といった以上の感情)を持っていたとしても不思議ではない。

 そして、両国とも湾岸の強国にモマれながら成長を続け、カタールやクウェートのプロリーグに自国のトップクラスの選手を送りこむようになった現状も非常によく似ている。
 
 そういえば、いつも教育省でお世話になっているナビール氏(バーレーン人)も以前こんなことを言っていた。「オマーン人はね『アラブ世界3大性格のいい民族』の1つなんだよ」と。残る2つはスーダン人ともともと住んでいたUAEの人々(ベトウィンなどを指しているようだ)とのことである。 
 
 そう言われて思い出すことがある。W杯ドイツ大会1次予選、マスカットでのゲームだ。筆者もマスカットのスルタン・カブース・スタジアムにてこのオマーン-日本戦を見たのだが、日本人に割り当てられた席は正面スタンドの一番いいところだったのである。中東では、アウェーチームのサポーターは地元民の20倍近い入場料を払いながらゴール裏の席に押しやられるのは割りとよくあること。ごみや飲み物、はては石などが飛んできたことも中東の某国ではあったので、このホスピタリティーはちょっと例外的ともいえる。

 それはともかく、こちら湾岸ではオマーン人の性格の良さをほめる人は多く、07年UAEガルフ杯でオマーン代表が湾岸の多くの人から応援されたのも、サッカーのプレースタイルはもとより、こういったことと無縁ではないのだと思う。

 さて、今後のW杯3次予選のスケジュールであるが、ちょっと心配だ。

 日本の最終戦は(6戦目)ホームでのバーレーン戦であるが、仮にバーレーンが予選突破を決めた状態でこの試合に臨んだとしても、手を抜かずに戦う公算がかなり高そうだ。1つは上に述べたような理由からGCCの大切な仲間であるオマーンに仁義を果たすため。もう1つは、先日の日本戦勝利後にバーレーン代表監督のミラン・マチャラが「欧州組抜きの、以前に比べればかなりレベルの下がった日本代表に勝ってもそれほどうれしくはない」などと発言していることから、欧州組のきちんと合流した日本代表との次の対戦こそ重要なのだという考え方がありそうなためだ(最終予選を見据えたチームの戦略としても当然のことではあるが)。   
 
 一方のオマーン代表は最終戦がマスカットでのタイ戦で、現在まで2試合で勝ち点0のタイ代表は、この6戦目には予選突破の可能性がすでになくなっているかもしれない。しかも日本代表の5戦目のタイ戦は、タイ代表の得意とするのタイのホームでの試合を残しているのである。

 こんなことをごちゃごちゃ心配しなくても、直接のライバルであるオマーン代表を3、4戦目の6月2日のホームゲーム、続く6月7日のアウェーゲームで勝ち越せばいいのであるが、オマーン代表が強豪国相手に見せ付ける底力を考えると、1勝1敗(おのおのがホームで勝つ)や2引き分けといったシナリオが十分考えられるだけに…。

 こういった心配は中東にいる筆者だけのものではないようで「日本サッカー関係者は(オマーンは強い。日本は大丈夫か)と悲観的な声が圧倒的でして、こういうピンチになると日本人は考え方が弱くなりますね」と、ある日本にいるサッカー記者の方からもメールをいただいた。

 以上考えた悲観的なことは、筆者の場合はバーレーン人たちが最近よく口にする言葉にかなり影響を受けている。すなわち、「オレたちバーレーンはオマーンと日本相手に2連勝。今度のタイとの2連戦では楽々2連勝で予選突破はもう確実さ。はっはっはっ」というものである。

 筆者はこういったことを言われると「君たちバーレーンは07年アジア杯で韓国に勝ってインドネシアに足元をすくわれたのを忘れたのかい?」とクギをさしているのだが、聞く耳を持つ人はほとんどいない。そう、バーレーン代表がタイ代表にアップセットを食らう可能性も考慮に入れて、もう少し楽観的にいきましょう。調子こいているときのバーレーンはそういう「アブナイ」チームであることをお忘れなく。

※写真はW杯アジア3次予選バーレーン-日本で、ヘディングで競り合うMF阿部勇樹(右)とイスマイール(撮影・宇治久裕)

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