アラーの国のフットボール

岡田ジャパンに神風、迷走オマーン代表


海島健さん

海島健さん (1)

2008/05/22 19:58

 W杯アジア3次予選の4連戦が近づいてきた。3戦目と4戦目がどの国も同じ相手とのホームアンドアウェーであり、日本代表はオマーン代表と対戦(6月2、7日)する。

 オマーンとは04年に3回も対戦しているが、もう4年以上前のことであり、お互いにメンバーも大幅に入れ替わっており全く参考にならない…と言いたいところなのだが、今回のオマーン代表は04年対戦時のメンバーがほとんどそっくりそのまま残っている。04年アジア杯中国大会での1次リーグでの対戦時でいうと、スタメンの平均年齢が20・6歳という驚異的な若さのA代表で、GKのアル・ハブシ(当時はノルウェーリーグで活躍)以外は全員がアマチュアというチームだったのをご記憶のファンもいるかもしれない。

 オマーンが国の命運を託した若き戦士達は4年の間に次々とカタールやクウェートのプロリーグに渡り、その中でモマれながら成長してきたのである。4年前の対戦ですら、わが日本代表は押され気味だったことを考えると、今回の対戦は不安を感じざるをえない。

 

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 ただ、代表選手が海外でモマれて個々の能力が高くなったのはいいが、その弊害で代表として、まとまった練習や親善試合は難しくなるのは万国共通の悩み。リベリア戦(4月24日)、キルギスタン戦(4月27日)、イエメン戦(5月3日)、シリア戦(5月10日)とゲームをこなしているものの、国内組主体のB代表のようなチームで、日本戦に向けての準備としてはいまひとつであり、日本が2戦目に対戦した(アル・ムハラクという核になる国内チャンピオンチームがある)バーレーン代表とは事情が異なっている。

 そういった意味で海外組がかなり合流して挑んだ5月18日のトルクメニスタン戦は大きな注目を集めた。この日、アジアCLのため招集できなかったDFモハメッド・ラビアとDFカリーファ・アイル(ともにアル・サッド)、MFファウジ・バシール(アル・ガラーファ)と、プレミアリーグがシーズンが終了してこの日はスタンドから観戦していたGKアル・ハブシ(ボルトン)を加えれば、日本との2連戦はやはり前回対戦時とほぼ同じになりそうだ。

 ところが、主力中の主力と言ってもいいMF(FW)のバデール・アル・マイマニが外された。オマーン代表監督がミラン・マチャラ(現バーレーン代表監督)からガブリエル・カルデロンになっても、07年アジア杯などで大活躍(筆者の目の前でもオーストラリア戦でゴール決めてくれた)した選手なのだが、現オマーン代表監督ジュリオ・セザール・リバスはなぜかこのバデールを使いたがらない。監督との感情的な行き違いがあるといわれているが実際はどうなのか。日本ではそれほど例はないと思うが、湾岸の代表チームは、固定して使われている主力クラスの選手が新監督と真っ向から対立するケースは散見される。バーレーンのフバイル兄弟とミラン・マチャラの対立もつい最近のことだ。

 トルクメニスタン戦でも2得点したエースFWイマド・アル・ホスニのインタビュー記事が興味深い。『Oman  Obserber』紙に載ったこの記事で「2トップの相棒として(あるいは4-5-1の1トップとして出場した時のトップ下として)組みたい相手は?」と聞かれると「やはりなんといってもバデール・アル・マイマニ。ポジショニングが素晴らしいし、僕が顔を出しそうな場所に正確なパスを供給できるのもあいつだから」と、代表から外された選手の名前を出した。場合によっては公然とした監督批判とも受け取られかねないが、多くのオマーンサッカーファンの声を代弁してもいることは間違いないだろう。

 オマーンサッカーの大きな魅力の1つがこのイマド・アル・ホスニとバデールの絶妙なコンビネーションなのであり、いわばオマーン代表の飛車、角なのだから当然のことである。イラク代表ならヨーニス・マフモッドとナシャット・アクラムのコンビに相当すると言えば分かりやすいかもしれない。ちなみに、このイラク代表の2選手はともにカタールのアル・ガラーファに所属しており、2人であうんの呼吸を見せての大活躍でリーグタイトルをアル・サッドから奪うのに大きな貢献をした。

 すでに韓国入りし合宿をスタートさせたオマーン代表だが、当然のように選手のリストにバデールの名前はない。

 この「飛車」を落としたことに加えて、親善試合の相手が実力のあまりないFIFAランクの低い国ばかりであり、(リベリア=138位、キルギスタン=134位、イエメン=140位、シリア=97位、トルクメニスタン=148位)、日本対策としては十分ではないといった批判。主力をそろえたトルクメニスタン戦で、2-1の結果に満足な様子の監督にブーイング(「トルクメニスタン相手ならもっと点をとれ」ということ)といった報道もあり、ファンと現監督の距離はかなり離れているようで、「こんなことで日本戦は大丈夫が」といった空気が濃厚だ。「人のいい」オマーン人もさすがにキレてきた?

 飛車、角のそろったオマーン代表の素晴らしいサッカーが見たいものだが、今回に限っては日本代表とオマーン代表とで残り1つのいすを取り合う状況になりそうなので、筆者もニンマリせざるをえない。2位争いの当面のライバルであるオマーンがいろいろともたついている。「誤算」続きの岡田日本にとっては大きな神風(=うれしい誤算)である。

※写真は04年2月W杯1次予選の日本-オマーン(撮影・たえ見朱実)

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