アラーの国のフットボール

ヨレヨレのオマーン代表は内部崩壊目前?


海島健さん

海島健さん (1)

2008/05/29 19:16

 中東サッカー情報を皆様にお届けする筆者は、日本のネット情報に目を通しつつ、W杯アジア3次予選で日本代表が対戦するオマーン代表の情報を得ようと、現地紙をのぞいている。5月下旬、韓国合宿に入って地元のクラブなどと親善試合などをこなしているのだが、めっきり記事が少なくなった。以前から韓国合宿は完全非公開と言われていたので、ある程度は覚悟していたのだが「ここまでとは」という感じだ。だが、数少ない情報の中から現在のオマーン代表が抱える問題が見えてくる。

 

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 アラビア語紙「アル・ワタン」5月26日の紙面は韓国での試合について「先日の親善試合の内容は悪くなかった」という簡単なコメントのみで、スタメンなどの詳細には触れていない。触れたくても触れられない、というのが真実に近いかもしれない。何しろ04年アジア杯以降の固定メンバーのうちの1人が招集されているにもかかわらず、まだ姿を現していないのだ。DFモハメッド・ラビア(カタールのアル・サッド所属)という選手で、あの元浦和のエメルソン(ついにカタール国籍を取得し代表入りもした)のチームメートである。関係者が探し回ったところまだカタールにいることが判明した、と同紙は伝えている。
 
 「なぜチームにまだ合流していないのか」との質問に対して、ラビアは3つほど理由をあげたようだ。まず、ちょっとしたケガを抱えていること(故障箇所や程度、治療にかかりそうな時間は言及せず)。2番目には奥さんが病気でカタールを離れられないこと。そして最後に、子供も勉強中であり、(送り迎えなどの)面倒を見なければならないこと。
 「ラビアとチームの間には何か問題があるって事さ」と記事を訳してくれた友人はいう。湾岸では何かができないことの言い訳に家族のことを持ち出すのはよくあることであり、社会的にもかなり広く認められているのではあるが、さすがに代表選手の言い訳としては十分ではない。
 
 実際にオマーン協会サイドはこういった言い訳を信じてはおらず、「来ない本当の理由は何なのだ」と問い詰めている模様。
 
 同じ記事の中で、ラビアのチームメートであるDF(MF)カリーファ・アイルについても書いている。この選手は軽いけがということで横浜でのアウェー戦には無理には帯同させなかったのだが「治療の指示がドクターから出されているのだが、ちゃんと従っていない。これでは日本戦はアウェーもホームも難しいぞ」と記者は頭を抱えている。
 
 それもそのはず、モハメッド・ラビアとカリーファ・アイルは所属クラブのアル・サッドでは、それぞれCBとワンボランチのレギュラー。オマーン代表では4バックでも3バックでも2人が並んでCBを務める息のあった守りの要なのだから。
 
 前回コラム「岡田ジャパンに神風、迷走オマーン代表」の中で、オマーン代表の飛車=バデール・アル・マイマニが落とされたことを紹介した。このままいくと、さらに銀が2枚落ちての戦いを強いられるだけに、心配になるのも無理はない。日本代表に置き換えれば、早々と高原が離脱して、闘莉王を招集したのに姿はなく、鈴木啓太が故障でアウェーには行かない、といった感じだろうか。
 
 同日の「アル・シャビーバ」紙でもハイサム・ハリル氏は「離脱者があまりにも多すぎる。今までの親善試合でもリバス監督の戦術はあまりに守備的でものたりない。しかも弱小チームばかりが相手だ。一方の日本はコートジボワール、パラグアイというビッグネームとのマッチメーク」と述べており、オマーン人の「だめだ、こりゃ!」という悲鳴が聞こえてきそうである。
 
 バデールの離脱がこの2人のDFに影響を与えたのであろうか。3人ともカタールリーグでプレーしているオマーン代表の固定メンバーという点では共通している。GKのアル・ハブシは「マチャラの時代はオマーン代表としての活動が6カ月くらいとれた時期もあったんだけどね、今は…」と言葉を濁す。エースFWのイマド・アル・ホスニも「今までの代表監督でのベストはミラン・マチャラだ」とある記事で言っていたのを見かけたことがある。
 
 現オマーン代表監督ジュリオ・セザール・リバスの求心力のなさがここにきて大きく出ている気がする。固定メンバーの相次ぐ離脱で戦力は大きく落ちることになりそうだ。日本のホームで「とてもじゃないがマスカットでも勝てそうもない」とオマーン代表に思い知らせるのが大切な横浜でのゲームになるが、神風も必要ないほどの楽勝もあるのでは、と思い始めている。

※写真は5月29日に来日したオマーン代表のリバス監督(撮影・中村誠慈)

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