アラーの国のフットボール

首位バーレーンの不安な日々と日本の影


海島健さん

海島健さん (1)

2008/06/13 23:14


 W杯アジア3次予選で日本がバンコクでタイ代表と対戦する6月14日、バーレーン-オマーンの湾岸ダービーも6時間ほど後にバーレーンのマナマでキックオフされる。4試合を終えた時点で勝ち点が、バーレーン10、日本7、オマーン4、タイ1となっており、首位バーレーンが圧倒的に有利なのは明らかだ。

 12日付けのアル・ワサット紙のスポーツ版1面では、湾岸各国のサッカー評論家4人がダービーの行方などを語っている。オマーン代表は07年7月のアジア杯以降だけでも監督交代が2回あり、依然、低迷期にあることや、現在の両チームの勝ち点の差が6ということで、残り2試合での逆転は難しいのは当然。どの識者も「バーレーンの方がずっとチャンスが多い」としている。

 その中の1人モハメッド・アル・ジョカル(UAE)は、「過去のオマーン代表のガルフ杯準優勝などは(当時オマーン代表監督だった)マチャラの功績。今回もまたマチャラがいるバーレーン代表をいい結果に導くだろう」と述べている。

 もっとも、現在はバーレーン代表を率いているマチャラは「私はオマーンに(通算)4年いて、オマーン代表を築いてきた。素晴らしい選手がいることはよく分かっている。代表監督も新しくなり、どの選手も自分を新監督にアピールしようと必死になっている。次の対戦はタフになるよ」とまずは自信過剰をたしなめている。こうした謙虚な姿勢が名将の名将たるゆえんなのだろうが、ある程度、本音と思われる部分もある。第2戦、ホームで日本を破って一気に波に乗ったバーレーンだが、第4戦で、ほぼ死に体のタイと引き分けた影響が予想以上に重くのしかかっている。

 「勝ち点10でまだ最終予選進出が決まらないとは信じがたい。(前戦のホームでのタイ戦引き分けで)状況は少し難しくなった。われわれの組は特別なんだ。オマーンか日本、どちらからも勝ち点1を取るのは思ったほど簡単ではない」とのぼやきも出始めている。

 バーレーンは最終戦は埼玉で日本と戦うが、中村俊輔、松井大輔など欧州組の合流などで3月の対戦時とはチーム編成がかなり変わったことはこちらでも知られており、いかに前回マナマで日本から大金星を挙げたとはいえ、日本のホームで勝ち点1を取るのも難しいであろうことはファンを含めよく分かっている。

 一方、オマーンの6戦目はホームでタイを迎え撃つ。おそらくはこの時点で最終予選進出の望みがなくなっている可能性の高いタイとのマスカットでの戦いは、オマーンにとっては勝ち点3は計算しやすいものになりそうだ。

 そうなると、バーレーンとしては5戦目のオマーン戦で確実に決めておかないといけない。バーレーンは引き分け以上で最終予選進出が決まるが、仮に6時間前に日本がタイに勝っていたとしたら(その可能性は高いだろう)、その時点で勝ち点4のオマーンは勝たなければジ・エンドとなるため、アウェーでの戦いとはいえ、リスク覚悟で点を取りにくる。調子の差はあるものの地力の差はそれほど大きくはない両チームのこと、何が起こっても不思議ではない。オマーンのアザニ監督はマチャラがオマーン監督時代にアシスタントコーチをしていた人物で師弟対決となり、お互いに手の内は知りつくしているというのも、崖っぷちのオマーンに有利に働くかもしれない。

 結局は第4戦できっちりとタイに勝って勝ち点12で最終予選進出を決めておかなかったこと、日本がオマーンを下してとどめを刺しておかなかったという結果は、バーレーンにとって最悪のシナリオとなったということだ。

 第3、4戦のタイ代表との対戦は1勝1分けで乗り切ったもののゲーム内容も悪く「タイ代表ごときにこれではこの先思いやられる」というバーレーンサポーターのイライラも募っているようで、ゲーム展開によってはバーレーン人が自国代表選手に罵声を浴びせる場面も出てくるのが怖いところだと筆者は恐れている。

 余裕がありそうで実は追い詰められてもいるバーレーン。3次予選を通して、筆者がずっと追いかけ続けたバーレーンとオマーンがこのようなガチンコ勝負をすることになるとは、喜ばしい限りである。個人的には日本代表とバーレーン代表がそろって最終予選進出を望んでいるのだが、果たしてオマーン代表の大逆転があるのか? あるとしたら落ちてしまうのは、バーレーン代表なのかそれとも…。
 

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コメント (12)

海島健さん

海島健さん (1)

2008/06/15 04:37

バーレーンーオマーン、引き分けに終わりました。

日本とバーレーンがめでたく最終予選にこまをすすめます。

22日の日本ーバーレーン戦は(親善試合)になりますが、おそらくバーレーンは主力を休ませるでしょう。サポーターも協会も1位通過にはそれほどこだわらないものと思います。

プーアールさん

プーアールさん (0)

2008/06/16 11:59

日本とバーレーンが予想通りに3次予選を突破しましたね。
埼玉での最終戦は、意地でも勝ちにいく日本と消化試合として臨むバーレーンのスタンスの違いが色濃く出そうですね。

ただし、最終予選の抽選が完全なフリードローではなく、条件付きのドローになるのではという噂も聞きますので、この順位争いは意外と大きな意味を持ってくる可能性もあるのかもしれません。

その他の中東勢もイラク対カタールを除いては、イラン・サウジ・UAE・バーレーンとほぼ決定でしょうから、また貴重な中東情報を楽しみにしております。

海島健さん

海島健さん (1)

2008/06/16 19:11

フーアールさんへ

いつもご愛読ありがとうございます。

イラクーカタール、注目しています。湾岸在住のイラク人がドバイにどっと押し寄せるでしょうから、かなり早く行かないと入場できないでしょうね。

プーアールさん

プーアールさん (0)

2008/06/20 21:19

海島さん

本日、バーレーンチームが来日しましたが、予想通りにフバイルとサルミーンはメンバーに入っておりませんでした。

海島さんの仰るとおりで、彼らにとっては消化試合のようです。

これは、中東の他の国と同様にバーレーン人が無駄な労力に価値観を見出さないからですか?
それとも、負けるリスクに対して予防線を張るという意味もあるのでしょうか?

海島健さん

海島健さん (1)

2008/06/20 22:17

フーアールさんへ


バーレーンの主力は所属クラブでも代表でも休むことなくずっときましたので疲労もかなりたまっております。

9月3日に始まる最終予選、それの準備のためのオーストリア合宿が7月15-31日に組まれてもいます。休めるときには休ませガス抜きをしておくのは有効でしょう。彼らにとって(お休み)は一番のごほうびです。

イエローカード所持者も無理に出したりはせず、2日のスタメンはかなり(フレッシュ)な顔ぶれになるのではないでしょうか。

フーアールさんも指摘されていますが、(休めるときは休もう)、(手を抜けるところはぬこう)という姿勢はバーレーンの日常生活でもかなり頻繁にみられ、筆者もよく泣かされます。(笑)

夏などは本当に暑いので合理的ではあります。

プーアールさん

プーアールさん (0)

2008/06/20 22:51

海島さん

早速のお返事ありがとうございます。

なるほど、暑い国ほど合理的と言いますからね。
ただ、ほとんどの場合で、合理的とルーズが同義語のようですが。。。^^;

岡田ジャパンも勝利至上のアマチュアリズムを捨てて、怪我人を休ませ、サブメンバーを用いてのオプション考察的な実戦テストとして臨んでほしいものですが。
気候の良い国ほどリアリストの仮面を被ったイデアリストが多いもので、これまた困ったものです。。。^^;

海島健さん

海島健さん (1)

2008/06/21 23:30


アル・ワサットの記事ですが、
「3次予選はまだ完全に終わったわけではない。日本はリベンジにもえており、全力で挑んでくる。(ぼこぼこの大敗などをしないように?)充分気をひきしめるべきである」とでていました。あくまでもこれは少数意見です。

アジア最終予選を見据えると真剣勝負でないのがちょっともったいないですね、やはり。

海島健さん

海島健さん (1)

2008/06/22 16:35

6月21日の現地紙ですが、

「たった17人の選手で東京観光ののりで日本へいったようだが、誰がこんなことをきめたのか。」
「バーレーンリーグですら17人体制ということはありえないのに、、、」などとでていました。

まじめなタイプの識者には怒りと焦りがあるようですが、一般ファンはどこふく風といったかんじです。

プーアールさん

プーアールさん (0)

2008/06/22 22:20

海島さん

先程、1-0で日本が勝ちました。
アル・ワサットの記事どおり、日本はリベンジに燃えて全力で挑んでいきましたが、90分間で得点する事ができずにロスタイムにバーレーンGKのまさかの目測ミスで、からくも勝ちを拾いました。

マカラは大事を成す直前でいつも不運に見舞われますが、日本のワイドな攻撃をよく研究したポジショニングとプレスは効果的であり、彼の控えチームを用いたコンセプティブなテストは成功したと言ってよいでしょう。

また、大雨の中での試合でしたが、スリッピーなコンディションを活かしていたのはバーレーンチームの方でした。

他国のスカウティングからすると、『日本恐れるに足らず。バーレーン要注意。』の内容であったと思いますが、興味深いので、またバーレーン国内の戦評も教えてくださいね。

*最終予選抽選の4位枠の決定方法は、サウジと日本が純粋なクジで決めるそうなので、当初の発表の通りに今回の順位は関係ないそうです。

海島健さん

海島健さん (1)

2008/06/23 16:49


フーアールさんへ

(日本のホームで引き分ければ上々)、(結果はどうでもよい)と開き直っていたバーレーン代表。いつもよりずっとリラックスしていましたね。

思い出したのが07年アジア杯でのバーレーンー韓国戦でした。
結果は日本にいいようにころがりましたが、やはり今後にむけて不安です。

湾岸の小国がこういった開きなおりサッカーを日本のホームでした場合、またいらいらさせられるでしょうね。

カタールもイラクに勝ち、UAEとともに最終予選進出を決めました。伸びしろの大きい両国もバーレーン並みに日本を悩ませそうです。

プーアールさん

プーアールさん (0)

2008/06/23 22:35

海島さん

他国でホーム戦を開催しなければならない政情の中で、イラクは最後まで頑張りましたね。
残念ながら、日本と最終予選であたる事は無くなりましたが、『不屈の闘志』で恐れられたイラクチームは最後まで意地を見せたのでしょうね。

また、ホームでシリア相手にギリギリの敗戦を演じるUAEの強さは、よく理解できません。^^;
良し悪しが大きいチームなのでしょうね。

27日の最終予選のグループ別け抽選が楽しみですね。

海島健さん

海島健さん (1)

2008/06/24 16:33

フーアールさん

イラクーカタールの「壮絶な戦い」を次回コラムでとりあげます。お楽しみに!!



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