アラーの国のフットボール

札幌ダビの移籍騒動の陰にエメルソン


海島健さん

海島健さん (2)

2008/09/30 16:26

 日本では札幌ダビが、カタールリーグのアルサード移籍問題が話題に上がっているようだ。本当に行くのか行かないのか、アルサードは本当に獲得の意思があるのか、札幌サポーターにすれば大きな問題だろう。「一体どうなっているのか、よく分からない」というのが多くの方の本音ではないだろうか。
 この移籍騒動を獲得するサイドから見ると、様々な状況が見えてくる。そしてダビの移籍の原因に元浦和のエメルソンの動きが大きく影響している、という意外な事実が浮かび上がってくる。

 

umishima080930 


 本題に入る前に、9月27日に行われたカタールリーグ第3節の話から入ろう。
 9月13日に開幕したばかりのカタールリーグ(以下Qリーグ、今季よりカタールスターリーグ=QSLと改称)第3節で早くも強豪同士の激突があった。アルサード(05-06、06-07シーズン連覇)vsアル・ガラーファ(07-08シーズン優勝)だ。

 カタール代表をずらりとそろえ、3次予選で日本代表とも対戦したオマーン代表のモハメッド・ラビアやカリーファ・アイルまで擁するアルサード。対するアル・ガラーファには元G大阪のアラウージョ(こちらではクレメンソン)やイラク代表MFナシャット・アクラムなどがいる。

 だが、この日の対戦は何かが決定的に足りない。両チームとも絶対的エースFWを欠いていたのだ。アルサードはこの3年ほどチームの看板だった、元浦和のエメルソン(ブラジル)とカルロス・テノリオ(エクアドル)の南米2トップが不在。一方のアル・ガラーファもイラク代表ヨーニス・マフモッド(07年アジア杯優勝の立役者で同杯得点王)の姿がない。

 実はこの両チームの3人のFWの周囲が騒がしい。まず、テノリオは大ケガをしており復帰には6カ月かかるとのこと。エメルソンはアルサードのチームスタッフと何事かでもめているとのこと(詳細は知らされておらず、知人のアルサードファンであるアラン氏も知らなかった)。これらのことは試合の前から情報があったので、アルサードの2トップが出ていなくてもそれほど驚くことはない。

 ヨーニス・マフモッドはどうなっているのだ。試合の翌日、カタール系のサイトを調べて驚愕した。27日付けの記事でアル・ガラーファからアルサードへの移籍の方向と出ていたのである。

 アルサード側が南米2トップが使えない(使いずらい)状況になったために急きょ動いたものと思われるが、それにしても究極のライバルチームから06-07シーズンリーグ得点王(27試合19得点)の引き抜きである。分かりやすく言えば、阪神が上原を引き抜いたようなものだろう。カタール代表が(病気療養が理由で)フォサティー監督解任、メツ前UAE代表監督獲得もあっという間であったが、またしても素早い。

 勘のいい読者はお気づきだろうが、札幌のFWダビの獲得を早急にかつ強引に推し進めようとしたのも、アルサード側にこういった背景があったからこそなのだ。そうすると、27日の時点でヨーニス・マフモッドの獲得がほぼ確定したということは、ダビはどうなるのか。仮にアルサードがこの南米2トップの代わりを探していたとすると、ダビにも是非来てほしいことに変わりはないということにならないだろうか。

 実際、このアル・ガラーファ戦では(日本代表の松井が現在所属している)サンテティエンヌから移籍してきたギニア人パスカルがそれまでエメルソンがつけていた10番をつけて出場した。ネットでエメルソンの背番号を調べてみると、空位になっている。メンツを重んじるアラブ世界でこの仕打ちはかなり強烈なメッセージが込められていると見ていいだろう。「戻ってきたければきてもいいが、もう10番はお前ではないのだ」と。アルサード側とエメルソンとの亀裂はかなり大きそうだ。

 さらに、特にここ3年ほどはJリーグ出身ブラジル助っ人がカタールリーグに与えた影響は小さくはないという事実がある。カタールリーグ優勝チームは

02-03シーズン:カタールSC
03-04シーズン:アルサード
04-05シーズン:アル・ガラーファ

 とめまぐるしく移り変わる。そこに登場するのが浦和のエメルソン。05年7月にアルサードと契約を結び、同9月から活躍。前述のFWテノリオと2トップを形成し絶妙なコンビネーションで優勝に貢献。自身は6得点ながら、相棒のテノリオが21点で得点王になった。

 翌06-07シーズンは、エメルソンがゴールを量産(18点で2位、得点王はヨーニス・マフモッド=19点)し、アルサードが2連覇を達成した素晴らしい年になった(この活躍のおかげでエメルソンはフランスのレンヌヘ移籍したのだが、チームにフィットせず、半年ほどでアルサードに復帰したりしている)。

 07-08シーズンに、アル・ガラーファが覇権奪回のために手を伸ばした選手の1人が当時クルゼイロにいたアラウージョ。06年8月に獲得したヨーニス・マフモッドとともに大活躍し、いきなり得点王に輝き、チームも優勝している。

 Jリーグ経由の助っ人を獲得するとリーグタイトルが取れるというジンクスにアルサード幹部が目をつけたかどうかは不明だが、Jで活躍している助っ人のレベルが高く、わりと短い時間でQリーグにフィットした前例を見ているからこそ、今回も札幌ダビの獲得を考えたのだろう。

 いずれにせよ、エメルソンが引き金をひいたともいえる今回のアルサード選手獲得騒動。エメルソンが頭を下げてチームに戻ってくるようなことがあれば、ダビ獲得の必要性は弱まってくるという皮肉な事実もあり、今後の動きに注目したい。

※写真は清水戦でシュートするダビ

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コメント (4)

海島健さん

海島健さん (2)

2008/10/01 17:18

ヨーニス・マフモッドのアル・サードの移籍ですが、怪我が完治していない状態のままで移籍のようです。

ダビ獲得の方向はあまり変わらないかもしれませんね。

海島健さん

海島健さん (2)

2008/10/01 17:22

エメルソンはカタール協会から訴えられていたのですね。(今日の日刊スポーツの記事にでていました)

アル・サードはカタール王室との関係も深いので、その影響で動かざるをえなかったのか?

海島健さん

海島健さん (2)

2008/10/06 16:59

10月3日、カタールSC-アル・サードの試合がありました。

アル・サードの2トップがカタール代表ファルハン・イブラヒムとパスカル(途中からマジッド・モハメッド)でした。

イラク代表のヨーニス・マフモッドが本格合流を果たせば、とりあえずの急場はしのげるという計算なのでしょう。

エメルソンはもどれるならもどればいい、そして半年すればテノリオも復帰するので、大金を積んでまでダビ獲得の必要性があるのかということになってきていた?

海島健さん

海島健さん (2)

2008/11/09 20:25

ヨーニス・マフモッドですが、アル・ガラーファからアル・アラビへのレンタル移籍(08年11月)となったようです。

さすがにライバルのアル・サードに持っていかれるのはまずいと考え直したのでしょうか。



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