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      <![CDATA[<p>高尾山を２５ＫＧ背負って歩いた<br />　　～～こけて左膝をまた痛めてしまった～～<br />　　　＜アンラッキーは４度続く＞<br />Ｄ０９０３１７</p><p>　木登り名人が、弟子が低いところまで下りてきた時に「気をつけろ」と注意した。もっと高いところの方が危険なはずだが「安心しあっと木に事故は起きる」と、諭したという。<br />　（引用）～軒たけばかりになりて「あやまちすな。心して降りよ」と言葉をかけ侍りしを、「かばかりになりては、飛び降るとも降りなん。如何にかく言ふぞ」と申し侍りしかば、「その事に候ふ。目くるめき枝危きほどは、己れが恐れ侍れば申さず。あやまちは安き所になりて、必ず仕る事に候ふ」～<br />　おなじみ、吉田兼好の「木登り」である。<br />　異論はないが、少し異論がある。<br />　このおやじ冒険ジャーなど、いつ、どこででもミスをして、けがをする。転落する。それを見て、孫は「お、オッコチー」と叫んで大はしゃぎする。<br />　だから、「もう大丈夫」というところでおやまちをしやすいのではなく、本当はそれが単に目立つだけのことではないだろうか。「あ、あんな所で転んでる」と。</p><p>　とはいえ、山などでは「実に言い得たり」と思うことがしばしばだ。<br />　今日もそうだった。</p><p><img src="/files/70851f3b83caf7674ac62c32b9bb5efb.jpg?community_id=412" border="0" height="319" alt="" width="380" /></p><p>　東京人にとって格好のピクニックコース、高尾山へ行った。<br />　昨秋に左足を骨折、いまだにひざがちゃんと曲げられない。結局、周囲の筋肉を強化しながら自然回復の時を待つしかなかろうというのが、友人たちの忠告だ。<br />　よし、周囲の筋肉を強化しよう。ひざのリハビリのつもりで、ポリタンをかついで出かけた。高尾山口の駅で水を入れて、しめて重量２５ＫＧ。これを背負って上ればかなりの強化トレになる。<br />　すでに正月に、これをやった。高尾山頂から城山へ出て、そこから相模湖へ下りる。<br />　休日は人が多いので、一方登山路は結構狭いので、人の迷惑になりかねない。平日は強化しほうだいだ（笑い）。あまり汗をかかないように、ゆっくりを心がけた。<br />　山はもう春だ。花が咲き初め、道のぬかるみも収まりはじめ、婦人軍の声がにぎやかだ。</p><p><img src="/files/a857e764e3fa87ca47c10763b1d9e44d.jpg?community_id=412" border="0" height="323" alt="" width="327" /><br />　ひざをへんな角度で曲げないように気をつけながら、体幹、というより体軸をきつく意識し、そこにＰわーを集めながらもそこからパワーを外に発散する感覚を求めながら、慎重に上った。<br />　山頂まで焼く１時間４０分、城山まで通算３時間弱。<br />　そこで昼飯にした。</p><p>　まずいことがあった。<br />　正月に来たときよりも、路のコンディションがよいので、４０分近くも速い。<br />　ひざが治り始めているのだ。<br />　人間、ここで抑えが効かなくなる。<br />　タイムなど関係ないのに、つい「正月より１時間速く下りれば、さぞおれはうれしいだろう」と、勝手に推測し、求めてもいないのに、つい自分と競争を始める。<br />　若い頃は、標準タイムの何割で上り下りした、などというのが、自己満足のものさしだった。恥ずかしいことだ。ところが、人間いくつになっても、こういうコンペティッションについ引き込まれる。信じていないのについきになる「占い」と同じだ。<br />　下り、飛ばしてしまった。<br />　それこそ「あと一息」、というところで木の根に躓いて、転んだ。やっぱり、やった。吉田兼好は偉い。患部の左ひざが、グニッといって、おかしく曲がる。おやじ真っ青だ。たいして痛くはないが、もし歩けなかったらどうしようと、寝ころんだまましばし動けない。心配で動けない。そろそろと足を動かし、軽いひざの（新たな）ねんざとわかるまで、冷や汗がたらたらと出た。<br />　サポーターを取り出してまきつけ、なんとかそのまま下りた。</p><p>&nbsp;<img src="/files/a56a4fff72ce1704b761a08f14d35721.jpg?community_id=412" border="0" height="254" alt="" width="377" /></p><p>　悪いことは３度続く。<br />　吉田兼好はそうはいわなかったが、おやじはそう信じている。<br />　案の定。通算４時間でなんとか相模湖畔の国道に出たが、 バスは出た後、次は５０分待ちだった。相模湖駅まで３０分、左足を引きずりながら歩いた。普段はバスなど恋しくないが、今日は乗って帰りたかった。<br />　駅に着いた。<br />　相模湖駅で停電があって、ダイヤが乱れています。<br />　そういう表示が出ていて、けれど代替え輸送を手配するようすもなく、結局夕暮れの駅まで１時間。とんでもなく遅れてきた「間引き運転普通電車」を待った。<br />　これで３つ。</p><p>　実は４つめもあった。<br />　ひざを痛めたので、欧米の選手が使う塗り薬を下山の途中で塗ったのだが、これが強烈なハッカの匂いを伴って、乗り込んだ電車の中でぷんぷん。花粉症気味の人の鼻を刺激するらしく、あっちこっちでクシュン、クシャン。おわれおやじは下を向き、雨具で太ももを覆って、少しでも脚部に塗り込んだ薬が発散しないよう、必死の防戦。でもこう言うときに限って、電車は混むし、。むんむんと車内ににおいが立ちこめる。<br />　一電車遅らせてもことは同じだ。<br />　じっと、突き刺すような視線、いぶかるような視線に耐えるしかない。<br />　ああ、地獄の中央線。</p><p>　山でも冒険はできる。海でもできる。でも、電車の中でもできるとは、知らなかったよ。<br />　トホホ。乗り合わせた皆様、ごめんなさい。</p>]]>
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      <![CDATA[<p>真夜中、満月の阿寒湖を歩いたが、ヒグマににらまれて？　＜野生に返そう、北方領域＞</p><p>湖上の夜が更けていく。<br />まるでその音が聞こえるような湖上の静けさだ。<br />ときおり北東から風が吹き付けるが、寒くはない。<br />すでに３月、北海道とはいえ、こういう暖かい夜もあるのだろう。気温は氷点下３、４度だろう。<br />鼻水が凍らない！<br />さぞ☆がきれいだろう、空から北斗七星が降ってくるのでは？　などと期待していたが、<br />それは裏切られた。<br />満月である。<br />明るくて、中空の☆は全く見えない。<br />真上から照明器具で照らされているような感じである。<br />全面凍結。<br />湖の真ん中に、白い道ができている。<br />スノーモービルが踏み固めた道だ。<br />こちこちに凍っているが、表面には薄く雪がのっているので、歩きやすい。<br />スノシューも不要だ。<br />まっすぐな白い、広い道が北西の対岸まで伸びている。<br />まるでアラスカのアイスロードのようだ。<br />日本最強の細工リスト、戸田正人さんが数年前に北極圏まで自転車で個人ＴＴ（タイムトライアル）をやったが、その時の話を思い出す。石油を積んだトラックとでも行き会いそうだ。<img src="/files/755163b013416449933b6a26f4102803.jpg?community_id=412" border="0" height="375" alt="" width="500" /></p><p>釧路から車で５０分。真冬の阿寒湖に行く機会があった。<br />昨年の夏、アイヌの丸太船（カヌー）に試乗させてもらおうと、数日間滞在した。<br />温泉街だが、近年は新しい「滞在型のアウトドアの基点」として注目されている。<br />雄阿寒、雌阿寒のけっこう歯ごたえのある山、湖、そして森。<br />阿寒の魅力は奥深い。<br />では真冬はどうだ？　スノシューであつこち出かけたらきっとおもしろい。いやそれだけではもったいあない。夜も☆を見たり、小動物の足跡を探しに森の中に入ったら、きっと家族ぐるみで楽しめるーー<br />そんな提案を、地元の観光協会にした。<br />「では冬にも来てみてください」。そう言われて、招かれた。<br />都会人が偉そうにアイデアを出すのは、滑稽でもある。<br />阿寒ではすでに毎晩８時１０分から花火を打ち上げて、氷上ナイトショーをやっていた。<br />凍てつく夜だが、「零下何１０度でさあ」と、いい土産話になる。<br />大自然を遊び尽くすには、相当の根性が必要だ。</p><p>けれど、夜中に湖を渡る、というアウトドア企画は、まだやっていないと聞いた。<br />「危ないですよ、とにかくどこに湯壺があるか、わからない。落ちたらそれまで、氷の下に潜り込んだら助けようがないですから」。<br />地元の人に諭された。<br />「どうぞ、おやんなさい」と言われたら、面倒くさくなってやめるのが普通だ。<br />「やめなさい」と言われれば、「ようし、おれがやってやる」という気持ちになる。<br />「なんで阿寒湖があかんのや」。この辺りが冷静さを欠く「おやじ冒険」の核心部。<br />だから、夕ご飯のあと、友人たちがホテルのバーに出かけた後で、旅支度。<br />こっそりと裏口から出て、目の前の湖上に出た。<br />出て、すぐ後悔した。<br />湖畔は凍っていて、つるつる滑る。<br />滑る上に、どこが「安全な湖上の通り道」か、その辺りは無数に足跡やスノシュー跡が入り乱れて、判然としない。うろうろしていたら、明らかに「危険、通るな」を意味する旗が立っている箇所にぶつかった。夜目にも、川のような、光りかたの異なる流れが見える。<br />「ここにはまりこんだら氷が裂けるのだろう」と思うから、迂回する。その迂回路が長い。<br />昼間なら簡単に「こっち」「あっち」が分かるが、夜は変な反射があるから、判断に迷う。怖いばかりで決断ができない。</p><p>地元で言う「湯壺」とは。<br />阿寒湖畔には豊かな温泉が湧き出している。<br />それが、時として湖の中からも噴き出す。氷も溶ける。逆にそこで釣りができる。<br />問題は、「湯壺は移動するし、土地勘がないといきなりでっくわして、落ちることがある」ことだ。<br />いくら湯壺とはいえ、落ちたら「ああ、いい湯だな」とはいかない。<br />実は、アラスカのマッキンレーに植村直己さんが挑戦したとき、クレバスに落ちるのを防ぐために、青竹を日本から持ち込み、腰に結わえて歩いた話を以前に聞いた。<br />物干しさおを探したのだが、見つからなかった。</p><p>いつまでもうろうろしているわけにはいかない。夜が明ける。<br />おっかなびっくり、そろそろと「川」？を渡った。怖かった。<br />けれど、いったん「湖上ハイウエー」にでてしまえば、まさに快感。<br />凍てつく満月を無人の湖上で独り占めである。<br />温泉街の光を遠く後にして、ずんずんと進む。<br />砂漠もすてきだろう、山もいい。でも凍った湖のど真ん中から見上げる月は、またひと味違う。<br />こんな贅沢をした人は、そうはいない。こいつあ、相当に自慢話になる。帰ってから、「どうだい」とひけらかそう。<br />実に、愉しい湖上ウオークだ。<br />それが。</p><p>対岸まであと３００Ｍを切ったろうか。<br />スタートしてから５０分、４ＫＭ近くあるいてきた。<br />湖北西部の岸、西に切れ込んだ入り江の淵にさしかかったとき、<br />「誰かに監視されている」<br />という、あの特有の感覚が突然体の中にわき上がった。<br />こんな夜中だ、人はいない。動物はいるだろうが、ヒグマはいないーーはずだ。<br />クマは夜も動き回るが、今は冬眠中だ。<br />では何だろう。何かに見つめられている。にらまれている。<br />そういう本能の信号が、突然そこで強くなった。<br />「なにだか分からないが、、やばい。止まろう」。<br />だれだって「対岸まで行った」と言いたい。どうせなら、きりのいい自慢をしたい。そういう「自我」の欲望と、「帰れ」という本能の直感が自分の体内でぶつかっている。<br />おやじは、引き返した。賢いからではない。憶病で、実は小心者だからだ。夜中に湖上を歩くなんて事も、実際は昼間にそれとなく何度も状況を確認し、馬鹿っぱなしの合間に、地元の人からいろいろな情報を集めていた。「これなら行ける」と確信したからこそ、凍り付いた湖のど真ん中で満月を楽しんだのだ。恥ずかしいほどの小心者なのである。</p><p>足早に引っ返した。<br />対岸から離れると、心が平静を取り戻した。<br />「ほとんど対岸」までは行ったのだ。むろん、単独だ。<br />たいした冒険だ、と自分も思う。思うと、愉しくなる。月が明るさをさらに増した。途中で、仰向けに寝ころんでみた。なんていい気持ちだ。</p><p>翌日、地元のガイドさんにその話をした。<br />「それはよかったね。このあたり、ヒグマは冬眠しないんだ」。<br />えっ？<br />「阿寒のあたりは大自然がそのままに残っていて、獲物も豊かだ。だから冬眠の必要がない。冬も行動する。夜も動く。ちなみに、一定の縄張りに定住するのがメスと子。オスは長い距離を移動する。移動している最中に余計な刺激を植えれば、腹が減っていなくても反応することはある。湖上では遮蔽物もない。対岸までは行かなくて正解だったでっしょ。そういう直感は大切にしないとね。どこかでヒグマがにらんでいたのかも」。<br />はあ。<br />へなへなとなった。</p><p>阿寒湖の北側は、今は保護管理されていて、一般の観光客は通れない。林道が湖畔に沿って走っているが、ゲートが閉められている。阿寒湖は、珍しくも「一周」ができない湖だ。<br />そのことに、おやじは不満だった。「なぜ通さない。一周できない湖なんて、おもしろくない」。<br />しかし、この夜の体験で考えが変わった。<br />湖の北は、人間の領域ではない。野生の王国なのだ。<br />南は、山も森もある。温泉もある。<br />それなら、北側は彼ら野生の王国として、もっと明確に「返して」しまったらどうか。呼び戻そう、北方領土。野生に返そう、（阿寒の）北方領域。<br />阿寒は、一周できない湖として、特徴的なのだ。<br />いずれ、イエローストーンのように、プロのガイドが限られたツアー客を案内するシステムを導入するのも一手だろう。なんでもかでも、人間がすべての地域に入り込む必要はない。<br />阿寒に、勉強させてもらった。<br />阿寒は、大きくて、おもしろい。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p>]]>
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      <![CDATA[<p>　その日岐阜県飛騨地方では平野部でも初雪に見舞われた。高山市高根町野麦の集落から、雪の旧道をたどって２時間。山本茂実著「あゝ野麦峠」で知られる峠（１６７２メートル）に着いた。出稼ぎ先、諏訪の製糸工場で倒れた政井みねさんは、兄に背負われてようやくここまで帰ってきたが「ああ、飛騨が見える」と言い残して、息絶えた。悲劇の舞台、風が白かった。</p><img title="おやじ復活" src="/files/557ce4948ca43025cddfa7f2ea24f387.jpg?community_id=412" border="0" height="332" alt="おやじ復活" width="500" />
<p><strong>　☆えっ冬季封鎖</strong></p>
<p>　かつて江戸街道と呼ばれ、飛騨と信州を結ぶ要路だった旧道は、集落の先で車道から林道に入り、やがて急な山道になった。</p>
<p>　車で行く予定がその日から車道は冬期封鎖。まさに徒歩ホ、歩くしかない。９月末に御嶽山で足首骨折、全治２カ月。後遺症でひざが痛むが弱音は恥だ。明治から昭和の初めまで、飛騨の娘たちは長野県岡谷などの製糸工場へ働きに出た。</p>
<p>　この峠を越えていったのだ。途中の地蔵堂付近はがけが切れ落ち、滑落した者もいた。それを思えば。</p>
<p>　鼻水がぶらぶらと垂れる。吐く息が荒くなる。６２歳のラマーズ法だ。約５キロ、２時間かかった。小さな池が凍っている。粉雪交じりの風が吹き抜けている。</p><img title="峠に着いた" src="/files/0b1312cab572893298b4ef80815fb594.jpg?community_id=412" border="0" height="280" align="left" alt="峠に着いた" width="250" />
<p><strong>　☆小百合さんが</strong></p>
<p>　当時２１歳のみねさんは途中松本での治療も拒否し、ひたすら故郷の飛騨・角川（岐阜県飛騨市河合町）へ帰りたがった。辰次郎さんは仕方なしに妹を背負い、ここまできた。難儀な旅だった。ようやく峠に着くと「ああ、飛騨が見える」と喜び、そして息絶えたという。１９０９年（明４２）１１月２０日午後２時ごろだった。</p>
<p>　ところがいさ峠に立つと、山に遮られて飛騨が見えなかい。同じ日、同じ時刻に同じ場所に立って供養したかったのに。小さな落胆、あれは作り事なのか。</p>
<p>　「いいえ。彼女は心の中で故郷を見たのです」。引き返した後、シーズン中は峠の資料館「野麦峠の館」で館長役を務めている堀野徹さん（６４）を集落に訪ねた。感動は倍になった。</p>
<p>　「目には見えなくても、彼女は心で飛騨の景色をはっきりと見た。これで死ねる、と思ったのでしょう」。兄への感謝の言葉でもあったに違いない。見えなくても見えたと喜んだ乙女心に、そっと手を合わせた。</p>
<p>　堀野徹さん　もっとも展望台まで上れば乗鞍、御嶽の雄大な景色が広がります。６９年には吉永小百合さんがここを歩きにみえました。彼女の映画は実現しませんでしたが、展望台には小百合さんが贈ったという石碑も。また峠のお助け小屋は野麦集落にあった古い宿を解体して再建したものです。７０年の車道開通に合わせ、長野側から大回りして材を運びました。飛騨は昔を大事にしますから。</p>
<p>　時空のひだの奥深く、今は見えない幾多のドラマが胸を打つ。</p>
<img title="古川町に、郷土史に詳しい後藤新八郎さんを訪ねた" src="/files/3f11e8558c2be9ebcf2a32870bb9e644.jpg?community_id=412" border="0" height="268" align="right" alt="古川町に、郷土史に詳しい後藤新八郎さんを訪ねた" width="280" />
<p><strong>　☆町長並み収入</strong></p>
<p>　当時の娘たちは古川（飛騨市）の「八ツ三」旅館などに集まり、集団で信州へ向かった。しかし貧しい娘たちが泣く泣く売られたという見方は必ずしも当たらない。郷土史に詳しい後藤新八郎さん（８１＝元古川町文化財保護審議委員）を静かな町並みに訪ねた。</p>
<p>　後藤新八郎さん　「手元の河合村（１２年当時）の古文書には『前年の出稼工女１１４人、平均賃金年３６円』と。熟練者は百円工女と呼ばれた。病死も多かったが、昭和初期には町長並みの収入を得た者も。飛騨の人間は泣き言を言わず、悪条件もこれが自分の道と心得て、任務には正面から励む。奈良時代に飛騨の匠（たくみ）と称された男衆もそうだった。米の飯を食べ、盆暮れには土産を買って故郷に帰る。喜んで働きにいった娘も多かった」。</p>
<p>　堀野さんも同様の話をされていた。だから一層悲しくもあるのだが、雪道に挑んだ復活冒険は報われた。</p>
<p><strong>　飛騨の心が見えたのだ。</strong>（連載終わり）</p>]]>
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    <dc:date>2008-12-05T11:56:37+09:00</dc:date>
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      <![CDATA[<p>　山では、とんでもないことが起きる。仕事ほどではないにしても、いつどこでどんな目に遭うか分からない。前回リポートした通り、御嶽山（３０６７メートル）中、長野県王滝川源流部の「百間滝」を探索した帰りに、通過中のがけっぷちで大岩が落下。飛びのいて下敷きは免れたものの左足首を骨折した。診断は全治２カ月、ひざも腰も痛い。山をなめた報いだろう、まさに「慢心」創痍（そうい）。以下はその「不始末書」である。</p><img title="御嶽山兵衛谷。この場所ではないが、ほぼ似た状況で岩が落下、一緒に転落。ここからめったにできないサバイバル冒険が始まった（撮影・和合正）" src="/files/f1ef87635e8296cf8cde849906083c3e.jpg?community_id=412" border="0" height="390" alt="御嶽山兵衛谷。この場所ではないが、ほぼ似た状況で岩が落下、一緒に転落。ここからめったにできないサバイバル冒険が始まった（撮影・和合正）" width="500" /> <h3><strong>☆木曽の御嶽山で</strong></h3><p>　「よく命が助かったな」と、幸運をわが事のように喜んでくれた仲間もいれば、松葉づえを見て「それ見たことか」と、ひざをたたいて狂喜する先輩もいた。いずれの場合も、自分が痛い目に遭えば他人は幸せになる。勉強になった。「障害学習」とはこのことだ。</p><p>　滝がひそかなブームである。根が素直だからすぐそれに乗る。乗るけれど、尻馬には乗りたくない。週刊誌やガイド本には絶対に載らないような所へ行きたい。年配登山者おなじみの、いんぎん無礼な魂胆だ。 </p><p>　飛騨一帯の滝を知り尽くした著名な写真家、和合正さん（６７）の案内で往路５時間。標高１９５０メートルに「貴婦人の裸身」のような美滝（幅１５メートル、落差１００メートル）を発見した。想定外の冒険第２幕が待っていたのはその帰路だった。</p><h3><strong>☆篤姫が見たくて</strong></h3><p>　岩のすき間からごうごうという不気味な音がするが、滝そのものは地下に隠れて目には見えない。そういう不思議な滝を和合さんに案内されながら、やがて残りはあと２キロ弱。日暮れが近いがここまでくればひと安心という時だった。</p><p>　高さ約３メートル、兵衛谷本流のがけっぷちである。大岩の横を擦り抜けようとした時に、突然それがぐらりと動いて、落下し始めた。うわっ。寄り切られて土俵下に転落する力士よろしく、おやじも岸に落ちていく。このままではせんべいだ。</p><p>　本能的に横に跳んだが、かわしきれない。１度どすんと落ちてから、直径２メートルほどの岩があいさつもなしにこっちへ転がってくる。なすすべもなく、左足がゆっくりとひかれていくのをじっと見守る情けなさ。</p><p>　和合さんが飛んできて「どえらいこっちゃ、大丈夫か」「大丈夫じゃないです」。脂汗が吹き出して、１０分間ほど心がどこかに蒸発していた。消防を呼ぶかと聞かれて、我に返った。</p><p>　「はってでも下ります」。非常装備は十分だが野宿は嫌いだ。早く帰って篤姫を見たい、孫と遊びたい。そもそも片足骨折ぐらいで「自力で帰還」できない者は、山に入る資格がない。うめきながら下りた。</p><h3><strong>☆オートマで帰京</strong></h3><p>　まともには歩けないが、もともと深い樹林帯と荒れた沢。ほふく前進に違和感はない。和合さんもよく心得て、冷淡なほど振り返らない。いちいち優しくされたら心がくじけて、痛みが倍増したに違いない。帰れなかったに違いない。</p><p>　２時間半で駐車場に着いた。和合さんの肩を抱いて感謝した。オートマをいいことにそのまま車で帰京、翌々日の仕事をすませてから病院に行った。患部はボールのように腫れていた。</p><h3><strong>☆名医のリハビリ<img title="不気味に晴れ上がった左足" src="/files/c119b359e7c01cee6bb90a8db2de4f66.jpg?community_id=412" border="0" height="300" align="right" alt="不気味に晴れ上がった左足" width="231" /></strong></h3><p>　幸運でもあった。沢用のスポンジ状（ネオプレーン）の靴下が衝撃を吸収してくれた。臆病（おくびょう）だからいつも「万が一はどうする」をびくびく考えながら歩いている。それが「あそこに飛びのく」の本能判断を速くした。出掛ける前に「いざという時でも」と、できるだけ仕事を先行しておいたのも、後で助かった。小心者の特性がプラスになった。</p><p>　スポーツ障害の治療で地元で定評の南浦整骨院（東京都三鷹市）に通い、村本和生師（３７）の施術を受けた。治るのを待つだけでなくリハビリにも積極的に取り組む指導を受けた。１０日目につえなしで歩けた。２０日後には固定補助具を付けてジョギングできた。</p><p>　慢心を山にしかられた思いだが、振り返れば密度の高い体験だった。冒険心はもう止められない。治ったら野麦峠に挑戦するぞ。治らなくても挑戦するぞ。</p>]]>
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    <dc:date>2008-11-21T15:06:26+09:00</dc:date>
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      <![CDATA[<p>　凜（りん）として貴婦人のようにつつましく、美しかった。長野県御嶽山（３０６７メートル）の深奥部、王滝川源流の「百間滝」を探索に行った。地元でも存在すら知られていない秘滝だ。写真家の和合正さん（６７＝岐阜県下呂市在住）の案内で深い樹林帯をはい、幾つもの谷を渡って苦闘５時間。ついに見た、幻の滝。これでまた自慢の種が増えたと狂喜した。帰り道で骨折するまでの、あまりにも短い幸せではあった。　道などない。市販のガイド地図を広げたら、明らかに間違った位置にマークが付いている。頼りにならない。先輩の登山家に尋ねたら「えっ、しゃっきんだけ？　おれもそうだよ」。話にならない。飛騨の滝２０００以上を撮り尽くした和合さんですら「この前来たのは５年も昔だ」と、数歩ごとに立ち止まっては辺りを確認していく。</p><p><img title="御嶽山の王滝川源流部、標高１９５０メートル。ついに出合った幻の百間滝。落差１００メートル、きぬ擦れのような水音が永遠の時を刻んでいた（撮影・和合正）" src="/files/9a62ccba7bacee45406b3428a8780330.jpg?community_id=412" border="0" height="500" alt="御嶽山の王滝川源流部、標高１９５０メートル。ついに出合った幻の百間滝。落差１００メートル、きぬ擦れのような水音が永遠の時を刻んでいた（撮影・和合正）" width="332" /></p><h3><strong>☆王滝川の源流部</strong></h3><p>　濁河温泉から兵衛谷に沿って登った。荒れた沢、朽ちた倒木が散乱する樹林帯。大自然の懐深く入り込んだ実感が、畏（おそ）れとともに胸に迫りくる。道のりは５、６キロだが、標高２０００メートルの県境尾根を東の岐阜県側から越えた時は、出発してからはや５時間が過ぎていた。日没を考えると、引き返す刻限だ。その時かすかに滝の音がした。　飛び出したがけの中腹から先が大きく開けて、白い瀑布（ばくふ）が、幅約１５０メートル、落差１００メートル。幻の百間滝だ。</p><h3><strong>☆凛とした美しさ</strong></h3><p>　まるで貴婦人の裸身のようだ。貴婦人の裸体など見たことはないが、きっとこんな風に違いない。気品にあふれ、ありがちな「私が滝よ、有名でしょ」的な俗っぽさがまるでない。飛騨の冷気に凜として流れをさらしている。　俗に大きな滝を百間滝と呼ぶ。途中で枝分かれしたシン谷にも、６０メートルの美しい百間滝がある。　「しかしこの王滝川の場合は、滝の上が伏流になって水がない。だから沢登りの冒険者も来なければ地元の人もこんな奥には用がない。存在を知っている人は、今ではもう数人だろう」。和合さん自身、言い伝えを聞いて２０年前に下流から挑戦したが失敗。数年後に濁河温泉からのルートでようやく発見したそうだ。　まさに秘滝。言葉を失って立ち尽くした。</p><h3><strong>☆きぬ擦れの水音</strong></h3><p><img title="冷気に紅葉が映えていた" src="/files/7ca8cb9814641d56f2c103c1a1e513c5.jpg?community_id=412" border="0" height="235" align="right" alt="冷気に紅葉が映えていた" width="350" />　３年前、一般登山路から標高２７７５メートルの「日本最高所の滝」を探検したときも、秋の終わり、今ごろだった。すでに氷結が始まっていた。この百間滝の水は火山の内側を通ってくるため、水温は５度前後。冬でも変化は少ないそうだ。　人知れず、きぬ擦れのような水音を周囲の紅葉だけに聞かせ聞かせて、永遠を流れ落ちる白い滝。　おやじの方はとんだ俗物だ。滝がひそかなブームになっている折だ。山雑誌にも載らない滝に行き、仲間の鼻をへし折ろうという野心に満ちていた。我に返ると「やったこれで当分自慢ができる」と狂喜した。汗も一気に吹き飛んだ。　帰路。理屈の上では下りだが、足場の悪さは行きと変わらない。日没を気にしながらも、１歩１歩、慎重に下りた。少なくとも本人は、そのつもりだった。</p><h3><strong>☆大岩が落下して</strong></h3><p><img title="濁河温泉から兵衛谷をさかのぼって苦闘５時間" src="/files/f142d7d3a9cd49b4d467b5a7653cf590.jpg?community_id=412" border="0" height="256" align="left" alt="濁河温泉から兵衛谷をさかのぼって苦闘５時間" width="350" />　山の神はそうは思わなかったらしい。「少し懲らしめてやりなさい」と、言ったかどうだか。がけを通過中、手を触れた大岩が突然ぐらりと揺れて、落下し始めた。「そんな、ばかな」と叫びながら、寄り切られて土俵際に転落する力士よろしくおやじも転落。胴体だけは何とかよけたが左足を岩につぶされた。　足首骨折、全治２カ月。山にしかられたのだ。　この話、次回。</p>]]>
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    <dc:date>2008-11-07T12:51:15+09:00</dc:date>
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      <![CDATA[<p>　参加者が互いに支え合う姿が感動的だった。トレールランニングの草分けイベント「長谷川恒男ＣＵＰ　日本山岳耐久レース」第１６回大会が１２、１３日、東京都奥多摩山域で行われた。昨年事故があり、一時は存続が危ぶまれたが、画期的な「選手マーシャル」システムの導入などで相互の安全意識を推進、参加者全員でレースの伝統を守りきった。男女とも１０分以上大会記録を更新する、新しい時代の幕開けともなった。</p>
<img title="鞘口峠で声を掛けると「まだまだこれから」と余裕の笑顔を見せた山本。この時点では３位だった（撮影・後藤新弥）" src="/files/a541ee8a6ed181974d26700a983a873f.jpg?community_id=412" border="0" height="404" alt="鞘口峠で声を掛けると「まだまだこれから」と余裕の笑顔を見せた山本。この時点では３位だった（撮影・後藤新弥）" width="500" />
<h3><strong>☆山本先生初Ｖ</strong></h3>
<p>　あきる野市五日市中グラウンドを１２日午後１時にスタートした７１・５キロ周回コースの競技は、０４年優勝の横山峰弘（３９）が序盤からリード。昨年は足の故障で活動できなかった悔しさを振り払うように潔く飛ばした。これを２３キロ地点では１０分近くも後方にいた０５年勝者の鏑木毅（３９）が急追、後半は日本を代表するこの２人の争いかと思われた。<br />　ところが山梨県韮崎工業高校教員の山本健一（２８）が終始マイペースでぐんぐんと順位を上げた。中間付近、日没を迎えた鞘口峠では余裕たっぷりの表情で３位。「楽しそうですね」と、写真を撮りながらこのおやじが声を掛けると、振り返って「走るの好きだから。まだまだ、これから」と笑って答えてくれた。<br />　情勢はそこから一変。山本は５８キロ地点の最終チェックで首位、下りで一気にスパートした。大会記録を１３分０８秒も更新する７時間３９分１６秒をマーク、４度目の参加で初優勝を飾った。<br />　少年時代から韮崎周辺の南アルプスを走り回っていた。「勝つ自信はなかったが、下りは得意なので、もう絶対に負けないぞと」。前日まで高校では運動会。疲労が残っていたはずだが、言い訳にしなかった。</p>
<img title="大会初代王者の田中正人も背中にマークを付けた選手マーシャルとして参加" src="/files/857bf75de0f8af31b6efbbe09a18cf2e.jpg?community_id=412" border="0" height="359" align="right" alt="大会初代王者の田中正人も背中にマークを付けた選手マーシャルとして参加" width="310" />
<h3><strong>☆会場が沸いた</strong></h3>
<p>　５分後、激しく競り合った鏑木と横山が７時間４４分５５秒で帰ってきた。会場がどっと沸いた。なんというドラマだ。２人は手を取り合っている。「相手がどんなに苦しいか、互いに分かりすぎていた」（鏑木）。<br />　０５年大会のデッドヒート以来、２人は常にトップのライバルで、しかも技術を研究し合ってきた仲だ。力を出し切っての同着（記録上は鏑木は２位）。美しい物を見た。いつまでも、拍手が響いていた。<br />　新記録も、ベテランたちがレースを抑えず、全力挑戦したからこそだった。</p>
<h3><strong>☆安全リーダー</strong></h3>
<p>　昨年、初めての死亡事故が発生した。急成長したトレールランニングブームの安直な側面も問題になった。山を走るのとマラソンは全く違うのだ。レースの存続が危うかった。しかし遺族からの強い要望もあり、都岳連は継続を決意した。<br />　「自力で完走」を目指す大会の根源精神をもっとアピールしようと、東京ハセツネクラブも発足した。<br />　「危険個所にロープを張るなどの対策だけでなく、クマや野犬といった危険も細かに見直した。参加者自身が安全リーダーとして走る選手マーシャルを５０人公募。月１回、半年間の講習会を開いて、養成した」（宮地由文実行委員長）。<br />　ゴルフのエチケットリーダーにも相当する任務だが、安全管理の責任は重い。午前１時、バッグに十文字のマークを付けた、選手マーシャル最初のランナーが帰ってきた。参加３度目の亀山元一（４０）。昨年よりタイムが少し落ちたが、充実した笑顔。「昨年の事故がとても悲しかった。自分にも何かできることがあるはずだという思いで応募した。今日は途中でリタイアする人に道案内をしたり、けがした人の誘導を補助した」。バッグには救助ロープが詰め込まれていた。</p>
<img title="優勝の山本（中央）と同タイムでゴールした鏑木（左）と横山（右）" src="/files/b81ff3ae24d73ce96b18f5e1d1e097f5.jpg?community_id=412" border="0" height="206" align="left" alt="優勝の山本（中央）と同タイムでゴールした鏑木（左）と横山（右）" width="310" />
<h3><strong>☆完走率は８割</strong></h3>
<p>　深夜、１度ゴールした後「最後の曲がり角でゼリーの小袋を振り落としたらしい。ゴミ捨ては恥、失格だ」と、暗闇の中へ駆け戻る選手がいた。人それぞれの、ハセツネ精神。目に見えない絆（きずな）で、参加者は結ばれていた。完走１７４４人、完走率は前年を３％上回る７９％に達した。</p>]]>
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    <dc:date>2008-10-17T12:28:19+09:00</dc:date>
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      <![CDATA[<p>　暗闇の天井がのしかかってくる。ここに閉じ込められたらどうするのだ。ふと恐怖に駆られて不用意にパドルを動かしたら、ヘルメットがガリンと岩を削った。「沈」しそうだ。沖縄県石垣島の宮良（みやら）川を河口からさかのぼり、左岸の洞窟（どうくつ）にカヌーで乗り入れた。地球の内部をのぞき見る異次元体験。怖かったが、なぜか癒やされた。</p><p><img title="地球につぶされたらどうしよう。満潮時しか探検できない宮良川河岸の鍾乳洞に入り込んだ（新谷敦史さん撮影）" src="/files/78690b3af768f2e4d7d7e01ff1366a5f.jpg?community_id=412" border="0" height="237" alt="地球につぶされたらどうしよう。満潮時しか探検できない宮良川河岸の鍾乳洞に入り込んだ（新谷敦史さん撮影）" width="350" /></p><h3><strong>☆ジャングル探検</strong></h3><br /><p>　マングローブの林の中をゆったりとカヌーでさかのぼる。正式にはヒルギという木だ。水の中から生えている。ジャングル探検隊にでもなった気分だ。<br />　「ヒルギは賢い木です。河口近くで水には塩分が多く、いわば木には毒。それを全体に分散せずに、１枚だけに集めるんです」。案内の新谷敦史さん（３６）が言う。確かに所々、黄色い葉が落ちかかっている。塩分を１枚だけに集めては排出するエコなシステムだ。<br />　潔くわが身を犠牲にするあの１枚は、偉い。自分の人生に通じる物がある。毎夕３歳の孫を南浦西保育園に迎えに行き、好きなパチンコマージャンあきらめて、ポニョの歌を一緒に歌って一家の犠牲になるのはこのおやじなのだ。</p><h3><strong>☆満潮だからこそ</strong></h3><br /><p>　島の南東部、県道３９０号の橋の下から宮良川に入った。<br />　約１キロ。迷路のように入り組んだ樹林帯をこぐ。突然、左岸に岩壁が現れた。鍾乳洞だ。カヌーツアーの家族連れが、ぽっかり口を開けた洞窟（どうくつ）をこわごわとのぞき込んでいる。その洞窟へ「入りましょう」と、新谷さんが後ろから押した。いきなり暗闇だ。奥に入ると天井が高い。<br />　「左回りに外に戻れます」。天井がどんどん低くなる。地球のはらわたを内側から見上げる感じは神秘的だが、押しつぶされそうだ。水面から岩の下端まで１メートルもない。無理してくぐる。「満潮だからぎりぎりですね」「頭が削れる、これ以上薄くなったらどうするの！　干潮ならよかったのに」「干潮だと川が干上がってここまで来られないんですんです」。満潮時だけ可能な冒険なのだ。納得したが、いや怖かった。<br />　怖かったが、おびえた後の解放感は格別だった。すかっと心が晴れて、たまったストレスが消えていく。</p><p><img title="河口付近、マングローブの林の中で身障者のスポーツ支援活動をしている三井利仁さんに会った" src="/files/542e9aa04b25db0db37684b389e28c89.jpg?community_id=412" border="0" height="216" alt="河口付近、マングローブの林の中で身障者のスポーツ支援活動をしている三井利仁さんに会った" width="300" /><br /><h3><strong>☆自由に楽しさを</strong></h3><br /><p>　「癒やされたでしょう。ここの水には不思議な力があるんです」。出発点に戻ると、東京から移り住んで３年半、スポーツコーディネーターとして活躍中の三井利仁さん（４４）がいた。<br />　東海大のアメフト選手だった三井さんは、障害者のスポーツ支援をしていたが「行政の支援にはやはり限界があり、障害者の活動を型にはめ込みがち。もっと自由に、障害者自身に楽しさを選択させるべきだ」と、ランズアクティブサポートという独自の組織をここに立ち上げた。<br />　三井さん　「健常者とともに、年に延べ３００人以上の障害者が潜りやカヌーを楽しみにやってくる。車いすの上では頭部をよじり、全身を緊張させている脳性まひの青年が、水中では全身をリラックスさせ、すっと体を伸ばしている。四肢が不自由なのに家族と一緒にボンベを背負って、実に巧みに海中散歩する女性もいる」。水中スクーターを楽しみ脊髄（せきずい）損傷者もいるそうだ。<br />　海はバリアフリーだ。</p><p><img title="障害者にも海は特別な効果があるらしい。ダウン症の青年も楽しげ(ランズアクティブサポート提供）" src="/files/6327477f5cc32ebaacc9b9fbdf8635af.jpg?community_id=412" border="0" height="225" alt="障害者にも海は特別な効果があるらしい。ダウン症の青年も楽しげ(ランズアクティブサポート提供）" width="300" /><br /><h3><strong>☆スポーツ独立国</strong></h3><br /><p>　１１月３０日に自転車の１００キロ走「石垣島アースライド２００８」が初開催される。挑戦的なロングコースが話題になっている。陸上競技の国際技術委員として参加した北京パラリンピックから帰国した三井さんも、このイベントの企画運営者の１人。<br />　「東京ならただの夢が、ここでは実現可能なプロジェクトになる。容易ではないが、地域と仲間の結束は固い」。石垣は、ユニークなスポーツ独立国だ。<br />　そうだ。次は孫と来よう。浜にはギャルもいる。きっと大はしゃぎだ。</p><p><img title="水中車いすもある(ランズアクティブサポート提供）" src="/files/591a4054d3694d1fa849fb49785c32a9.jpg?community_id=412" border="0" height="173" alt="水中車いすもある(ランズアクティブサポート提供）" width="200" /><br />　◇ランズアクティブサポート（電話）０５０・３３５９・２８１７、<a href="http://run2as.com/">http://run2as.com/</a><br /><h3><strong>「石垣島アースライド２００８」参加募集中</strong></h3><br /><p>　▽１１月３０日（日）午前８時スタート。制限７時間▽舟蔵公園～玉取崎展望台（往復約１００キロ）▽募集４００人（中学生以上）▽参加要項は公式サイト<a href="http://www.earth-ride.jp/">www.earth-ride.jp</a>で。<br />　〈主催〉日刊スポーツ新聞社〈後援〉石垣市、石垣市観光協会、石垣市体育協会、八重山自転車競技連盟〈協賛〉日本航空、日本トランスオーシャン航空、ホテルロイヤルマリンパレス、沖縄コカ・コーラ、オリオンビール、シマノ、山本光学、ＡＣＨＩＣＯＣＯ、伊原間サンセットファーム、八重山民族園ほか〈協力〉ウインドフレンド、ランズアクティブサポート、沖縄輪業ほか〈企画〉マルチスポーツ・インターナショナル</p>]]>
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    <dc:date>2008-10-03T13:39:19+09:00</dc:date>
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    <description>&lt;p&gt;&#12288;&#24448;&#24489;&#65297;&#65296;&#65296;&#12461;&#12525;&#12289;&#20449;&#21495;&#12364;&#65297;&#12388;&#12418;&#12394;&#12356;&#12392;&#12356;&#12358;&#12290;&#12381;&#12435;&#12394;&#12467;&#12540;&#12473;&#12364;&#26085;&#26412;&#12391;&#21462;&#12428;&#12427;&#12431;&#12369;&#12364;&#12394;&#12356;&#12289;&#12454;&#12477;&#12384;&#12429;&#12358;&#12392;&#21021;&#12417;&#12399;&#24605;&#12387;&#12383;&#12290;&#65297;&#65297;&#26376;&#65299;&#65296;&#26085;&#12289;&#27798;&#32260;&#30476;&#30707;&#22435;&#23798;&#12391;&#21021;&#12398;&#33258;&#36578;&#36554;&#38263;&#36317;&#38626;&#36208;&#12300;&#30707;&#22435;&#23798;&#12450;&#12540;&#12473;&#12521;&#12452;&#12489;&#65298;&#65296;&#65296;&#65304;&#12301;&#12364;&#34892;&#12431;&#12428;&#12427;&#12290;&#12369;&#12387;&#12371;&#12358;&#36215;&#20239;&#12364;&#12354;&#12427;&#12363;&#12425;&#12362;&#12420;&#12376;&#12395;&#12399;&#28961;&#29702;&#12392;&#25361;&#30330;&#12373;&#12428;&#12390;&#12300;&#12375;&#12419;&#12363;&#12426;&#12365;&#12301;&#35430;&#36208;&#12395;&#12391;&#12363;&#12369;&#12383;&#12290;&#28023;&#23736;&#32218;&#12399;&#32118;&#26223;&#12384;&#12387;&#12383;&#12290;&#12467;&#12540;&#12473;&#12395;&#12399;&#26412;&#24403;&#12395;&#20449;&#21495;&#12364;&#12394;&#12363;&#12387;&#12383;&#12290;&#12369;&#12428;&#12393;&#20449;&#21495;&#12364;&#12394;&#12369;&#12428;&#12400;&#12393;&#12371;&#12391;&#20241;&#12416;&#12398;&#12384;&#12290;&#12362;&#12420;&#12376;&#12398;&#20307;&#12395;&#36196;&#20449;&#21495;&#12364;&#12388;&#12356;&#12383;&#12290;&lt;/p...</description>
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      <![CDATA[<p>　往復１００キロ、信号が１つもないという。そんなコースが日本で取れるわけがない、ウソだろうと初めは思った。１１月３０日、沖縄県石垣島で初の自転車長距離走「石垣島アースライド２００８」が行われる。けっこう起伏があるからおやじには無理と挑発されて「しゃかりき」試走にでかけた。海岸線は絶景だった。コースには本当に信号がなかった。けれど信号がなければどこで休むのだ。おやじの体に赤信号がついた。</p><h3><strong><img title="えっ、これが瀬古の練習コースか！御神崎への往復コース、思わぬ激坂に苦痛と感動" src="/files/f6c314d1ccd6681189e22f723120828e.jpg?community_id=412" border="0" height="332" alt="えっ、これが瀬古の練習コースか！御神崎への往復コース、思わぬ激坂に苦痛と感動" width="500" />&nbsp;</strong></h3><h3><strong>☆手強い坂道</strong></h3><p>　海岸線は初めは平たんで、南風。まだまだ夏だ。ロイヤルマリンパレス前の舟蔵公園をスタートして、名蔵湾に沿ってペースを上げた。コースは県道７９号の往復だが、行きは西端の御神崎を回る。岬へ向きを変えた途端に急坂が始まった。<br />　灯台が見えてくる。２０キロ、約１時間。あそこで休憩だ、とひと息で上ろうとしたら、右折した先が思わぬ激坂。道路が壁のように立ちはだかっている。ありゃっとばかり目いっぱい力んだが、ペダルを踏みっぱなしではギアが変えられない。うめきながら立ち往生。３秒後に横倒しになった。<br />　手ごわかった。今の基準では、自転車の距離１００キロは驚くには当たらない。ところがここは海岸線の坂の傾斜が一定しない。見た目を裏切る。立ちこぎの短期決戦で勝負に出ると、その先も長い坂だったりして、ペースをかき乱される。野性的な海岸線だ。</p><p><img title="豪快なにわか雨も快適なシャワーだ。マシンはアマンダ・カーボン２４インチ車" src="/files/87ac225032508425a6274d02dad260ac.jpg?community_id=412" border="0" height="222" align="right" alt="豪快なにわか雨も快適なシャワーだ。マシンはアマンダ・カーボン２４インチ車" width="300" /></p><h3><strong>☆瀬古が合宿</strong></h3><p>　伊原間サンセットファームを折り返してから５５キロ地点の玉取崎に着くまでに、すでに２時間半。ボトル２本をがぶ飲みした。「坂はきつかったか」。ボランティアで展望台を掃除しているご老人に笑われた。聞けば、この島では老若男女がそれぞれのチームを組んで、７０年ほど前から島内１周駅伝をやっているそうだ。「戦前は牛車や馬で伴走したが道が荒れていた。でも応援がまた楽しくて」。<br />　昔からスポーツが盛んな土地柄だった。「ほれ、マラソンの瀬古（利彦）君もよく練習にきて、灯台近くの急坂を走っていたよ」。えっ。あの激坂は瀬古のコースだったのか！　<br />　じわっと感動。<br />　帰路に就いた。その時、天が割れた。鉄砲球のような雨。「ああ助かった」。気温３０度、晴天のままではゴールまでに干からびそうだった。シャワーの中を突っ走った。やがてすさまじい稲妻と大音響、東京とは異次元の雷に襲われた。兼城公民館で雨宿りした。</p><h3><strong>☆英雄も出た</strong></h3><p>　アースライドはレースではないが、トップの予想は４時間弱、制限時間は７時間。「走り応えがあったでしょう。前半抑え気味に行けば初心者の女性でも完走可能だけど、甘く見ると（笑い）」。ゴール手前、初開催に尽力した八重山自転車競技連盟の長谷川毅彦会長（４９）に会った。<br />　埼玉県出身で元競輪選手（４３期）。引退後は乗らなかったが、３０歳でこの島に来て、「メタボ対策」で再び乗り始めたのが７年前。固定ギアでスパルタンな競輪用に対し「普通のロード車が実に楽しくて、乗り回すのが新鮮だった」。<br />　仲間のクラブ、ウインドフレンドは会員４０人。活動は活発だ。「そう言えば、朝練をしている人３人と擦れ違いました」と言うと「ああ、情報はもう入ってます（笑い）。１人は私の息子、年配の人が新城幸也（２３）選手の父貞美さん（５４）でしょう」。<br />　また「えっ」だ。目下日本最強、９月のツール・ド。リムザム（フランス）でステージ優勝を果たした英雄が島の出身者新城だ。その父親と手を振ってあいさつを交わしてしまったぞ。</p><h3><strong><img title="約６時間でゴール、ロイヤルマリンパレス前のビーチで足をつった" src="/files/caa3e38fd57f276621d4cedc9dcbc928.jpg?community_id=412" border="0" height="199" align="left" alt="約６時間でゴール、ロイヤルマリンパレス前のビーチで足をつった" width="300" />&nbsp;</strong></h3><h3><strong>☆６時間完走</strong></h3><p>　自転車がブーム。１日数百キロも走るグループなど、市民スポーツが新たな冒険領域に入っている。そんなチャレンジ精神を受けて立つのがアースライドだ。<br />　日本航空、日本トランスオーシャン航空と乗り継いで、羽田から５時間前後。<br />　確かに信号のない別天地だった。だから逆に休むきっかけが難しく、最後は体の赤信号が点滅し始めた。ホテル前のビーチに戻った。釣り人、数人。何が釣れますか？　聞いた途端におやじの足がつれた。<br />　でもこの痛みの、分かる人には分かるこの歓喜。<br />　石垣島、完走６時間。思い出、永遠。</p><p>&nbsp;</p><h3><strong>石垣島アースライド２００８</strong></h3><p>　◆１１月３０日（日）８時スタート。制限７時間◆舟蔵公園～玉取崎展望台（往復約１００キロ）◆募集４００人（中学生以上）◆参加要項は公式サイトｗｗｗ．ｅａｒｔｈ－ｒｉｄｅ．ｊｐで</p>]]>
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    <description>&lt;p&gt;&#12288;&#65297;&#27497;&#30331;&#12387;&#12390;&#12399;&#12378;&#12427;&#12378;&#12427;&#12392;&#65298;&#27497;&#19979;&#12364;&#12427;&#12290;&#31260;&#32218;&#65288;&#12426;&#12423;&#12358;&#12379;&#12435;&#65289;&#30452;&#19979;&#12398;&#24613;&#26012;&#38754;&#12289;&#27085;&#34942;&#65288;&#12420;&#12426;&#12406;&#12377;&#12414;&#65289;&#12398;&#12424;&#12358;&#12395;&#29983;&#12356;&#33538;&#12427;&#12463;&#12510;&#12470;&#12469;&#12395;&#34892;&#12367;&#25163;&#12434;&#36974;&#12425;&#12428;&#12383;&#12290;&#24481;&#23997;&#23665;&#40595;&#65288;&#12373;&#12435;&#12429;&#12367;&#65289;&#12289;&#27743;&#25144;&#26178;&#20195;&#12363;&#12425;&#36890;&#34892;&#12364;&#36974;&#26029;&#12373;&#12428;&#12390;&#12356;&#12427;&#39131;&#39464;&#65288;&#23696;&#38428;&#30476;&#65289;&#12392;&#26408;&#26365;&#65288;&#38263;&#37326;&#30476;&#65289;&#12398;&#22269;&#22659;&#32218;&#12434;&#12289;&#29289;&#22909;&#12365;&#12395;&#12418;&#12371;&#12398;&#36275;&#12391;&#31361;&#30772;&#12375;&#12390;&#12415;&#12424;&#12358;&#12392;&#20225;&#12390;&#12383;&#12290;&#22320;&#22259;&#12395;&#12394;&#12356;&#12523;&#12540;&#12488;&#12434;&#27497;&#12367;&#12398;&#12384;&#12290;&#22799;&#20241;&#12415;&#26368;&#24460;&#12398;&#22823;&#20882;&#38522;&#12289;&#32769;&#12356;&#12383;&#34880;&#12364;&#39442;&#12368;&#12290;&#28381;&#12398;&#20889;&#30495;&#23478;&#21644;&#21512;&#27491;&#12373;&#12435;&#65288;&#65303;&#65300;&#65309;&#23696;&#38428;&#30476;&#19979;&#21570;&#24066;&#22312;&#20303;&#65289;&#12392;&#12289;&#23567;&#22338;&#12398;&#26519;&#36947;&#12363;...</description>
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      <![CDATA[<p>　１歩登ってはずるずると２歩下がる。稜線（りょうせん）直下の急斜面、槍衾（やりぶすま）のように生い茂るクマザサに行く手を遮られた。御嶽山麓（さんろく）、江戸時代から通行が遮断されている飛騨（岐阜県）と木曽（長野県）の国境線を、物好きにもこの足で突破してみようと企てた。地図にないルートを歩くのだ。夏休み最後の大冒険、老いた血が騒ぐ。滝の写真家和合正さん（７４＝岐阜県下呂市在住）と、小坂の林道から分け入った。</p>
<img title="木曽と飛騨を分かつ稜線部は標高１４００メートル前後。凶暴なクマザサの陰に１メートル半ほどの掘割跡が続いていた（和合正撮影）" src="/files/a633882406425eca7d27cf9a78756925.jpg?community_id=412" border="0" height="335" alt="木曽と飛騨を分かつ稜線部は標高１４００メートル前後。凶暴なクマザサの陰に１メートル半ほどの掘割跡が続いていた（和合正撮影）" width="500" />
<h3><strong>　☆まるで槍衾地獄</strong></h3>
<p>　間もなく稜線だろうと急斜面を見上げるが、密生したクマザサに視界を封じられて先が読めない。上の方に小さな青い穴が見えた。空だ。希望の穴だ。あと１００メートルもなさそうだ。けれどあの穴は遠い。心臓がばくついている。　「山のアナたの空遠く、か（笑い）。けど、本当に行き着けるだろか」。還暦越えの青年２人が、顔で笑って体で泣いている。トホホ、こんなにつらいとは。　奥多摩だってササぐらい生えているが、ここのクマザサは凶暴だ。茎が太く頑丈で、高さも身長をはるかに上回る。まるでＮＢＡの選手たちに行く手をブロックされているようだ。　しかも雪が重かったのだろう、みな斜面に沿って下を向いている。槍衾。体重でササを押し倒しては半歩、１歩とよじ登るのだが、倒した茎がつるつるで、靴が滑って進まない。足場がないから１歩進んで２歩下がり、さらにまた下がる。　岐阜県下呂市の飛騨山中。小坂から入った大洞の林道終点から「地図にないルート」を登り始めて約２時間。稜線にたどり着いた時は腰からへたり込んだ。</p>
<img title="地図にないルートの突破だ。自分の位置さえ時々分からなくなった" src="/files/39d6180b61bd9a4bfb4c462c11313482.jpg?community_id=412" border="0" height="331" alt="地図にないルートの突破だ。自分の位置さえ時々分からなくなった" width="500" />
<h3><strong>　☆お上に逆らおう</strong></h3>
<p>　日本の中央部にでんと腰をすえているのが御嶽山である。大自然が粗っぽく残されている。特に南西部は秘境。人里と隔絶されて、木曽（長野県）と飛騨（岐阜県）の間は道もない。最近流行の王滝基点の冒険レースもここは通れない。「往来はかねて禁じられていた」。歴史にも精通している和合さんに昨年聞いた。　何、禁じられていた？　お上にたてつくほど愉快なことはない！　それなら２人で突破してみませんか。それが話の発端だった。　地図にないコースを探るのは挑戦的だ。何の価値もないが、一心不乱に「わが道を行く」いや「わが道を創（つく）る」興奮は冒険の根源だ。メダルも賞金もない。そこがいいのだ。　けれど、行けるのか。　地図で見つけた飛騨側の林道に入り込んだ。妙に幅広く、立派である。「森林鉄道の軌道跡や」。和合さんが言う。途中でＭＴＢがパンクした。終点から徒歩。谷を越え、沢をよじて「国境」の尾根を目指した。そしてクマザサの軍勢と正面からぶつかった。進め冒険ジャー！　激しい戦いを、最後は雑兵が制した。</p>
<img title="滝の写真で有名な和合翁と同行。突破したルートを「和後新道」と名付けることに" src="/files/12636788fbd6455bd7a0323390705d5d.jpg?community_id=412" border="0" height="331" alt="滝の写真で有名な和合翁と同行。突破したルートを「和後新道」と名付けることに" width="500" />
<h3><strong>　☆江戸時代のエコ</strong></h3>
<p>　尾根もクマザサに覆われていたが、東側は長野県。少し下れば三浦貯水池へ続く木曽森林鉄道跡の道である。国境突破、感無量だ。　ひと息ついて飯にした時、和合さんが叫んだ。「おお、これや。これが掘割の跡や」。辺りを見直すと、クマザサに隠れながらも、稜線には幅１メートル半ほどの道のようなスペースが東西に続いている。<br />
　<strong>和合さんの話</strong>　大正から昭和にかけて木曽一帯の木は無残に切り出されてしまったが、江戸時代は尾張藩が早くから森林の保護に力を入れていた。環境への意識が強かった。一方飛騨側は天領で、役人の目が厳しかった。副業の木工細工の材を求めて、こっそりとこの辺りに入ってくる者もいた。対抗意識もあったのだろうが、尾張藩では享保年間（１７１６～）鞍掛峠から上俵山にかけての国境稜線に掘割と計９基の土塚を築いて侵入を防いだと郷土史にある。<br />
　これがその名残、大発見だ。尾張藩だって木曽の木を大量に売りたかったに違いない。それを自制してヒノキを守った。掘割は江戸時代のエコの象徴である。</p>
<img title="急ながけも上りは夢中だったが、帰りはロープがないと下れなかった" src="/files/cbd832442c142b338681242fdb5ead35.jpg?community_id=412" border="0" height="331" alt="急ながけも上りは夢中だったが、帰りはロープがないと下れなかった" width="500" />
<h3><strong>　☆帰りはロープ必要</strong></h3>
<p>　飛騨側への帰りはロープが必要だった。沢は後ろ向きでないと危なくて降りることができなかった。「よくこんなところを登ってきましたねえ」「そやなあ。ちゃんとした人はこんな所へ来んでのう」。 　笑い声が谷に響いた。ヒグラシが一瞬鳴きやんだ。静けさが、涼しかった。秋がすぐそこだった。</p>]]>
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    <dc:date>2008-09-05T11:58:51+09:00</dc:date>
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      <![CDATA[<p>　北京も頑張れ、こちらも金メダル。２～９日、カナダのバンクーバーで行われたフライングディスクの世界選手権で、日本の女子ジュニア（１９歳以下）がアルティメット種目でこのクラス初の金メダルを獲得。宇都宮大の天田優美（１９＝あまだ・ゆうみ）が通算５２点で大会最多得点賞を受賞した。日本は来年、台湾の高雄で開かれる「ワールドゲームズ」出場権も獲得。もうマイナーじゃない！<br />　帰国した天田選手に会った。
<img title="ジュニア女子で初の金メダルを獲得" src="/files/af52f876e5d9cecc6dfae50b0482df33.jpg?community_id=412" border="0" height="359" align="left" alt="ジュニア女子で初の金メダルを獲得" width="500" /></p>
<br clear="all" />
<h3><strong>☆個人練習を見学</strong></h3>
<p>　ディスクが、空気を切り裂く。しゅーっという回転音が聞こえるようだ。地面すれすれの低空飛行、すばらしいスピードだ。 <br />　身を翻した天田優美が同じ高さで斜め横から飛び込んだ。まるで獲物を狙うしなやかな獣だ。動から静、跳躍の最終点で時が止まった。ディスクは見事に手の中に収まっていた。　帰国した天田選手の個人練習を見学した。 <br />　世界選手権の得点女王。動きの素早さ以上に、ディスクの高度や角度、速度の変化を感じ取る予測能力が光る。群馬県高崎生まれ。小学校４年からバレーボールをやっていたせいか。　宇都宮大に入学した時、この競技のサークル「チャオズ」に誘われた。 <br />　「自由な躍動が新鮮で、気持ちよさそうに見えた。競技はアメフトやバスケットボールに似ていて、相手陣内でキャッチすれば得点。ゲーム的な楽しさに夢中になった。でもそれ以上に『審判がいない』ことに感動した。全部選手のセルフジャッジで、抗議も許されている。話し合いで決着が付かないときは１プレー戻して再開。これって、スポーツ精神の最も純粋な形だと、感動してしまった」。 <br />　スピリットオブザゲーム。中学では生徒会副会長の正義派、心が触れた。 　昨年このクラスの日本代表に抜てきされた。代表ジュニアは混成チームだが、今大会は強豪米国を下した後、オーストラリアを１７－６で世界を制した。予想以上の成果だった。</p>
<h3><strong>☆７人制交代自由</strong></h3>
<p>　フライングディスクの競技は４０年代、米エール大の学生が、フリスビーという名のパイのパイ焼き皿を投げ合ったことから始まった。ゴルフを含めて現在１０の正式種目があるが、アルティメットは最もエキサイティングなチーム競技だ。 <br />　フィールドは縦１００メートル横３７メートル。プレーヤーは７人だが交代自由で１７点先取制。試合時間は２時間近くなる。スピードと持久力、チームワークが要求される。 <br />　８５年に世界連盟に加盟した日本は９２年大会で女子が初優勝、男子も昨年の世界クラブ選手権で文化シヤッター・バズ・バレッツが初優勝し世界トップに躍進中だ。今大会もほかにアルティメット女子とミックスで銀、男子が銅で総合３位。ガッツ競技でも銀メダル。 <br />　日本フライングディスク協会師岡文男副会長（５４＝上智大学教授） <br />　社会人のクラブだけでなく、天田選手らの若い力が急成長してきたことが何より。４年に１度のワールドゲームズ（計３１競技）への出場権も獲得できた。いずれはアジア大会の正式競技にと、新たな夢も膨らんでいる。
<img title="ディスクのコースを読み切る予測能力と１６５センチ、５０キロのしなやかな動き、それに正義感。天田選手への期待は大きい" src="/files/8a3a38210298b493bbbc8db2c1ed0ed8.jpg?community_id=412" border="0" height="500" align="left" alt="ディスクのコースを読み切る予測能力と１６５センチ、５０キロのしなやかな動き、それに正義感。天田選手への期待は大きい" width="463" /></p>
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<h3><strong>☆五輪競技の道も</strong></h3>
<p>　ワールドゲームズは８１年、強大化した五輪の補完的な意味合いから、五輪競技以外の国際総合大会として始まった。これまでソフトボール、ビーチバレーやトライアスロン、バドミントンなど７競技が、この大会から五輪へ昇格している。いわゆるマイナー競技にとっては最高峰のイベントであり、登竜門でもある。<br /> 　でも、大学では「森林学」を勉強中のヒロインは、ちょっと首をかしげた。 <br />　「いつか五輪競技になったらうれしい。でも私、マイナーってけっこう好きなんです（笑い）。だって注目されなくても、有名人にならなくても一生懸命やるって、それだけですてきじゃないですか」。 <br />　北京五輪の熱狂には一方でスポーツの原点を見失う危うさもあるが、飾りやおごりのない天田選手の言葉におやじ、じんときた。 <br />　「合宿も世界選手権も全部自費。家庭教師のバイトをしても追いつかない。両親に感謝しなくては」。</p>
<h3><strong>☆教えを請うも・・・</strong></h3>
<p>　「ねえ、教えてよ」。練習の合間にねだってみた。<br />　絵にならなかった。なんだか「ポチ、跳んで」まるでフリスビー特訓中の子犬である。世界一のお姉さん、笑いをこらえていた。
<img title="天田選手に習ったが、まるで「ほれ、ポチ!」だ" src="/files/8ec552301473cab695e92e28f7496aef.jpg?community_id=412" border="0" height="397" align="left" alt="天田選手に習ったが、まるで「ほれ、ポチ!」だ" width="500" /></p>
<br clear="all" />
<p>●世界選手権２００８：<a href="http://www.wugc2008.com/">http://www.wugc2008.com</a> <br />●日本フライングディスク協会：<a href="http://www.jfda.jp/">http://www.jfda.jp</a><br />●ワールドゲームズ：<a href="http://www.worldgames2009.com/">http://www.worldgames2009.com</a></p>]]>
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&lt;p&gt;&lt;img ...</description>
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      <![CDATA[　欧米でも大流行の兆しを見せているスポーツが、杖（つえ）を２本突いて野山を歩くノルディックウオーキングだ。若い連中に先を越されてはなるまいぞ。新しい物にはすぐ飛び付くのが還暦おやじの習性なのだ。皇居１周の練習会があるというので参加した。杖を使うならさぞ楽だろうと思ったら、話が逆だった。「よりアスレチックに歩く」ためにポールを使うのだ。大汗を楽しんだ。見上げる空は日本の夏だった。
<p><img title="リズムに乗るとグイッ、グイッが楽しくなってくる。夏空の下、ノルディックウオーキングに挑戦した。左端が梶浦さん" src="/files/a921ecbd09cb62f2bed527a06c7b765d.jpg?community_id=412" border="0" height="312" align="left" alt="リズムに乗るとグイッ、グイッが楽しくなってくる。夏空の下、ノルディックウオーキングに挑戦した。左端が梶浦さん" width="350" /></p>
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<h3><strong>☆歩き方古い</strong></h3>
<p>　杖のことを、正式にはノルディックポールと呼ぶそうだ。<br />　グリップ部分に取り外しができる、ストラップが付いている。手首に通すと時代劇の旅姿で見掛ける「手っ甲」のような感じで、えらく力を入れやすい。おう、これは楽ちんだ。<br />　とことこと突いて歩くとまさに黄門さまの雰囲気が出る。これ疾風のお娟はどこじゃ、お風呂はまだか。<br />　「古いですねえ」とインストラクターの梶浦丈嗣さん（４１＝キャラバン営業部）に笑われた。ギャグが古いのではない、歩き方が古いのだ。「そうやってすがって歩く杖ではないんです。これは楽をするためではなく、上半身も使って積極的に体を使って歩くためのポールです」。<br />　真夏の土曜日午前１０時。皇居の桜田門前の広場に３０人が集まっている。月２回開かれているウオークミーティングだ。初心者が約半数、初めはみな、おやじと同じように体の前で杖を突く。笑いが起きる。「あ、やってるやってる」。</p>
<h3><strong>☆５分で覚え</strong></h3>
<img title="ポールを使って自分を押し出すように歩く。左腕を曲げているが、伸ばすともっと歩きがスムーズになるはずだ" src="/files/bff6a98bd27df910b563953e9cd39975.jpg?community_id=412" border="0" height="220" align="right" alt="ポールを使って自分を押し出すように歩く。左腕を曲げているが、伸ばすともっと歩きがスムーズになるはずだ" width="199" />
<p>　梶浦さんが「５分で覚えますからご心配なく」。親切に教えてくれた。確かに５分でだいたいできた。<br />　初めはポールを後ろにずるずる引きずりながら、ただ大またで歩いていく。手を振りたくなる。手を振る。その時、たとえば右足をかかとから踏み出すと、左手のポールの先端が地面をとらえる。さらに前方に体重をかけて行く時、左手のグリップを強く握って、後ろに押し出す。<br />　この上半身のパワーを使った「押し出し」で、より速く、大きな歩きになるのがすぐ分かる。それ以上にグイッグイッという感覚が、気持ちを前に押し出し始める。アスレチックだ。<br />　ポールを使った独特のストレッチングをした後、左回りで皇居１周５キロのウオークに旅立った。１人だとまだ恥ずかしいが、１列で歩くとジョガーと擦れ違っても会釈する余裕が生まれる。お堀を渡る風が何とも心地よい。<br />　体が自然にコツを覚えるのが面白い。突く時にグリップを強く握り、手を後ろに振った時は放してしまうとリズムがよくなる。腕は伸ばした方がポールさばきがスムーズになる。</p>
<h3><strong>☆腕がつった</strong></h3>
<p>　ところが後半「ペースを上げたい人はどうぞ」と言われて、思いっきり速足したら、なんと腕がつった。最大心拍数の７５％前後（６０歳なら１分間１２０前後）で正味５０分。「５キロなんてたいした距離では」と思っていたが、疲労度はかなり。通常のウオークの５割増しの汗だ。「運動したぞ」という実感がある。ペットボトルを１本半空けた。<br />　日本ノルディックウォーキング協会理事の伊藤義昭（４９）さんの話　これはもともとノルディックスキーの選手たちが夏場のトレーニングとして行っているもので、９７年、フィンランドで一般向けのエクササイズとして公に提唱されました。普通の健康ウオークよりもかなり強度を上げることができるのが特徴。メタボ対策やリハビリのほか、転倒予防ができるシニア向けの安全な運動としても注目されています。海外では都会でも盛んですが、高原や海岸など、比較的平たんなコースを自分のペースで歩くアウトドアスポーツとして発展中です。<br />　腰痛で走れない人も、これなら運動できそうだ。何より安全だ。舗装路ではポールの先端にゴムを装着するから滑ることもない。何より、新しい仲間が増えている。この日も「クラブをつくりました。ぜひご一緒に」と、参加者有志が呼び掛けていた。何より、女性が多い。おやじうれしい。<br />　百名山で転倒防止にストックを持ち歩くのとは、少々分けが違うのだ。<br />　◇ノルディックフィットネスウオーキング案内http://www.nfw.jp/index.html（キャラバン：電話０３・３９４４・２３３１）。</p>]]>
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      <![CDATA[<p>アイスクリームがゆっくりと溶けるように、朝もやが晴れていく。雌阿寒岳（１４９９メートル）が見え始めた。秋辺日出男さん（４８）が手おので作った丸木舟が、湖の上を滑るように進み始めた。大自然の時空間に戻っていくような、不思議な感覚だ。「だいたい人が自然を守ろうなんておこがましいよ。人が自然に守られているんだよ」。コタンのまとめ役をしている秋辺さんが後席でつぶやいた。北海道阿寒湖で、アイヌのカヌーに乗った。 </p><p><img title="もやに包まれた阿寒湖で、秋辺さん（後席）と丸木舟をこいだ。ゆっくりと朝が過ぎていった" src="/files/8392b6571aaf5feda5660d6133fcae17.jpg?community_id=412" border="0" height="333" alt="もやに包まれた阿寒湖で、秋辺さん（後席）と丸木舟をこいだ。ゆっくりと朝が過ぎていった" width="500" />　</p><h3><strong>☆アイヌの伝統<img title="ソロにも挑戦したが、あっちこっちと、進路が勝手に変わり続けた" src="/files/a8a990d6e4acdb70477ff298a982ef22.jpg?community_id=412" border="0" height="145" align="left" alt="ソロにも挑戦したが、あっちこっちと、進路が勝手に変わり続けた" width="200" /></strong></h3>　水上タクシーや遊覧船が走りだす前、寝起きの湖は生まれたままの姿で静まり返っていた。朝６時、秋辺さんが湖畔にやってきた。「乗せてあげるよ。前に座りな。うん、もう少し前。難しくないよ」。濃いひげの奥で、目が笑っている。　カツラの木を手おのやチェーンソーでくりぬいた手作りの舟だ。アイヌ語で「チ（我）オプ（乗る）」。長さ８メートル、幅７０センチ。頼りないほどの細身。乗り込むと案の定ぐらりと揺れた。やめとけば良かったか。　北海道へ行こうと知人に誘われた。阿寒なら静かだよと。そこで手慣れた折り畳みカヤックを託送しておいたのだが、着いてみたら珍しい丸木舟がもやってあった。アイヌの丸木舟だった。乗りたい ！ 　おやじのビョーキが始まった。　水を吸っているから相当重い、転覆すると半沈状態になって起こすのが大変だよと、前夜「阿寒湖観光協会まちづくり推進機構」（ＮＰＯ法人）の人に脅された。それでも乗るかと。「ぜひ」と頼むと、親切に秋辺さんを紹介してくれた。　だから後には引けないが、カヌーは初めて。ましてや丸木舟なんて。「ひっくり返ることは？」「祖父の時代まではこれで漁をしたんだ、大丈夫だよ」。秋辺さんがひょいと飛び乗った。舟は揺れもしなかった。すっと岸を離れた。 <h3></h3><h3><strong>☆櫂にも時間差</strong></h3><img title="湖畔に上陸。秋辺さんは優しくもてなしてくれた" src="/files/b5f0ccab24183e3b720f9ad9b2fac4fb.jpg?community_id=412" border="0" height="170" align="right" alt="湖畔に上陸。秋辺さんは優しくもてなしてくれた" width="300" />　これも手作りの櫂を（かい）を、舟べりに沿ってこぐ。最後に外に押し出すようにしてから引き上げて、また前に差す。でもおやじがこぐと真っすぐ進まない。あわてて櫂を反対側に差し替えるのだが、向きが変わらない。　焦ってバシャバシャやっていると今度は唐突に向きが変わり始めて、よそを向く。コントロール不能、どうすればいいのか分からなくなった。「舟には慣性がある。向きを変えるのにも時間差がある。今やっていることの結果が今すぐ出るとは限らない」。いいことも、悪いこともという示唆を含んだ言葉に聞こえる。　秋辺さんがこぐと舟は素直になった。過去から未来への時空線をこぐような、静かな櫂だ。　長い分、直進性が強い。少し慣れて、いったんスピードに乗ると驚くほど速い。エコブームだが、これ以上に地球に優しい舟はない。心が洗われる。どうだい、阿寒湖１人サミットだ ！ 　それを口にしたらたしなめられた。　「人間が自然を守るという発想がおこがましい。人が自然に守られて、暮らしているんだ。人も木の葉も同じなんだよ。まず大切なのはカムイ（大自然）に対する畏敬（いけい）の念と感謝の気持ちだよ」。　阿寒湖畔のコタン（集落）には現在１１０人が生活している。先ごろ国会で先住民族として認められたが「１６０年かかってやっとスタート地点に来た。まだまだこれからだ」とも。 <h3><strong>☆壮大な景観美</strong></h3><img title="壮大なスケール感と変化に富んだ火山の景観。雌阿寒岳は家族連れにも向く" src="/files/d809b3545c2fa73bc56851246d21ac95.jpg?community_id=412" border="0" height="218" align="left" alt="壮大なスケール感と変化に富んだ火山の景観。雌阿寒岳は家族連れにも向く" width="150" />　カヌーを降りてから、湖から見た雌阿寒岳へ行った。阿寒湖温泉の南西、林道から入るとじきに森林限界を越え、日本離れした火山の景観がすばらしかった。初心者でも楽だった。　次の日は雄阿寒岳（１３７１メートル）に挑戦した。こちらは厳しさがあった。地図や磁石を持たないツアー客には不向きだが、手ごわさこそ山本来の魅力なのだ。さすがに下りは脚が痛くなり、顔で泣いたがひざで笑った。がくがく笑った。　阿寒湖東北岸にはまりもの生息地もある。優れた自然とアイヌの文化。一帯の開発自体が故前田光子氏（前田一歩園財団初代理事長）らの尽力で、当初から「人と自然の共存」を目指してきたものだ。滞在型のネーチャー・リゾートを目指し、町全体が新たなプロジェクトに取り組んでいる。　今回、さすがに丸木舟では対岸までは行けなかった。次は真冬に来よう。スノーシューで湖を渡るのだ。]]>
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    <dc:date>2008-07-18T13:42:31+09:00</dc:date>
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    <description>&lt;p&gt;
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      <![CDATA[<p>
　各地から災害のニュースが連続して飛び込んでくると、自分たちの生命はまず自分たちで守らねば、という気持ちになってくる。おやじも先月６２歳になって少しは冒険にも慎重になり始めたが、実際には平凡な日常生活こそ、危険と背中合わせなのだ。一念発起、地元の消防署へ「普通救命講習」を受けに出掛けた。実技と講習で４時間コース。張り切りすぎて腕が痛いが、これでも人のお役に立てるなら。何だか少し偉くなった気がした。
</p>

<img title="もっと真上から ! 　菊地先生に励まされて懸命の心臓マッサージ。１分間１００回のペースがけっこうきつい（三鷹消防署講習室）" src="/files/25daf76de64f1bbd79fa6084fb354fed.jpg?community_id=412" border="0" height="389" alt="もっと真上から ! 　菊地先生に励まされて懸命の心臓マッサージ。１分間１００回のペースがけっこうきつい（三鷹消防署講習室）" width="500" />

<h3><strong>☆緊張で筋肉疲労</strong></h3>

<p>
<img title="これが受講の証明書。少しは人さまのお役に立てそうだ" src="/files/729035b52f078cebbd036fe70226ec1d.jpg?community_id=412" border="0" height="148" align="right" alt="これが受講の証明書。少しは人さまのお役に立てそうだ" width="250" />
　「はい、続いて胸骨圧迫です」と促されて、重ねた両手をおずおずと人形の胸に置いた。<br />
　心臓はやや左に寄ってはいるが、いわゆる心臓マッサージは胸の真ん中を真上から強く押すのだ。テキストには「胸骨の下半分、左右の乳頭を結んだ線と交わる辺りを」とある。そこに左手の手のひらを当て、右手を重ねて体重をかけた。<br />
　ぐいと押すと胸骨が４分の１ほど沈んで、必然的に指先が胸のほにょほにょした部分に触れる。ゴム製の人形は中性仕様とはいうものの、何か微妙な感触だ。懐かしいというか久しいというべきか。思わず気が散った。<br />
　「もっと強く押して。ひざを近づけた方がやりやすい」。ベテラン指導員、菊地清美さん（６１＝東京救急協会）の声が飛ぶ。「はい、すんません」。１分間１００回のペースで３０回。これは結構汗をかく。<br />
　３０回押したら、人工呼吸を２回。この組み合わせ（所要約２分間）を５セットやるのが心肺蘇生（そせい）の基本になっている。<br />
　単純に聞こえるが、実際にやり始めると練習ですら冷静さを失いがちだ。手順を間違える。緊張から余計な力が入る。筋肉疲労で腕が痛い、誰か助けて！順番待ちで見学中のほかの受講生に笑われた。「あなたが助ける側でしょう」。
</p>

<h3><strong>☆緊急時の心得も</strong></h3>

<p>
<img title="気道異物除去法。このままぐいと引き上げられると&hellip;" src="/files/493ca66bb39f26cac724a5885459f639.jpg?community_id=412" border="0" height="200" align="left" alt="気道異物除去法。このままぐいと引き上げられると&hellip;" width="180" />
　地元の東京消防庁三鷹消防署の案内を見て出掛けたが、一般向けの講習はどの町でも開催されている。受講料１４００円。正直、初めは不安だった。<br />
　７０年代にＭＣＦＡＪ（全日本モーターサイクルクラブ連盟）がオートバイの救急隊を結成した。その救急救命講習会を取材した時はすごかった。<br />
　のどが詰まった時、後ろから腹（へそとみぞおちの中間）に片方のこぶしをあてがい、両手でぐいと引き上げる処置（気道異物除去）がある。「絶対効くから今日はやらないで」と先生が言ってるそばから、張り切りすぎた生徒がぐいっとばかりに傷病者役のライダーを抱え上げた。辺り一面、ゲロゲロと朝食が。<br />
<br />　あれをやるのか。<br /><br />
　やらなかった。安全確保や１１９番通報など、緊急の場合の心得を習った後、ビニールで顔面を覆うマウスピースを使った人工呼吸を実技で演習。「鼻をつかんで息を１秒間吹き込みます」の説明に、おやじ、つい自分の鼻をつまんでしまった。だめだ、こりゃ。
</p>

<h3><strong>☆電気ショックも</strong></h3>

<p>
<img title="「はい、みんな下がって」。最新式の電気ショック器具の扱いも習った" src="/files/74d11ab5499045b6ad5d125c9d603cf8.jpg?community_id=412" border="0" height="256" align="right" alt="「はい、みんな下がって」。最新式の電気ショック器具の扱いも習った" width="300" />
　分かりやすくてためになる４時間ではあった。電気ショックの装置（ＡＥＤ）も扱った。「パッドを張りなさい、傷病者から手を離しなさい、ショックボタンを押しなさい」と自動音声が流れるので難しくない。ちょっとヒーロー気分になってくる。<br />
　この道３５年の秋葉久夫消防司令（５５）に聞いた。心臓停止から３分以内、呼吸停止から１０分以内が死亡率５０％の分岐点という。救急車の現場到着全国平均は６～７分。「救急車の数は限られている。一般市民に少しでも救急救命法が浸透すれば、助かる確率は飛躍的に上がるんです」。テキストにも書いてあった。「他人を救おうとする社会が自分を救う」。人間の原点だ。企業の管理職などに再認識させたい精神だ。<br />
　ところでおやじ自身、これまでも山や路上で倒れた人に、その時点では見よう見まねだった応急処置をしたことが何度かある。人命救助の表彰を受けたこともあるが「今いる場所」を的確に１１９番するのが意外に難しかった。まず落ち着くこと。傷病者を元気づけることの２点が先決だ。 <br />
　正規の講習を受けて、少しは自信がついた。次からはもう少し冷静に対処できそうだが、こればっかりは&hellip;。試す機会が来ないことを祈りたい。
</p>]]>
    </content:encoded>
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    <dc:date>2008-07-04T14:43:07+09:00</dc:date>
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&lt;i...</description>
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      <![CDATA[<p>
　午後６時半、ＪＲ目黒駅前。夕闇の雑踏をぬって、男はキックボクシングの名門、目黒藤本ジムへ足を早めた。２９日、東京・ディファ有明での４年ぶりの試合が迫っている。負けたら引退だ。いや、とっくに引退していておかしくない年なのだ。ケイゾー松葉（本名・松葉京三）、４９歳。プロのキックボクサーとして現役最年長のリングに挑む。練習を見学した。飛び散る汗に武道家の魂を、信念を見た。<br />
<img title="相手を射すくめるようなスパーリングだった。左は練習生の門脇隆選手" src="/files/08342e4de5a4036b2c60a6c158159a92.jpg?community_id=412" border="0" height="342" alt="相手を射すくめるようなスパーリングだった。左は練習生の門脇隆選手" width="500" />
</p>
<p>
<h3><strong>仕事に専心</strong></h3>
<img title="後輩たちのあこがれでもある。目黒藤本ジムで、右側が藤本会長" src="/files/9ba180323756544f7cf5c12a73fe3b67.jpg?community_id=412" border="0" height="199" align="right" alt="後輩たちのあこがれでもある。目黒藤本ジムで、右側が藤本会長" width="300" />
　若い練習生に声を掛けた。「スパーリング、できるか」。相手がうなずくと、呼吸を整えながらバンデージを巻き始めた。真剣な目、乱れぬ手先。月末に迫った真剣勝負は、胸の中ですでに始まっているに違いない。リングに上がる時のテーマ曲「上を向いて歩こう」が、耳の中に鳴り響いているに違いない。「いこうか」。立ち上がった。　長い４年間だった。０４年９月、当時すでに現役最年長として、引退覚悟でリングに上がった。カウンターを受けてＫＯ負けした。　「やめるつもりだったが、この負け方ではという思いもあったし、もっとやれる、こうやれば勝てると、自分の中に、逆に燃え上がるものを感じた」。　警備会社に勤務。試合の後東京・田町の高層ビルの建設現場を任された。責任者役として２年間、仕事に専心した。「どちらも、半端な気持ちではできないから」。その間父が他界、本格的に復帰の準備を始めたのは昨年の秋だった。　「その途端、右のひざをはじめ、各所に故障が出て」年末の復帰戦をキャンセル。「もうだめなのだろうか」。自分に問いただした。
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<h3><strong>準備できた</strong></h3>
<img title="練習最後のメニューは近くの行人坂の急坂をダッシュで駆け上がる" src="/files/09ad13a5ae655320e207b005b188e620.jpg?community_id=412" border="0" height="300" align="left" alt="練習最後のメニューは近くの行人坂の急坂をダッシュで駆け上がる" width="181" />
　堺市の出身で、空手からキックボクシングへ。冒険サイクリストとしても有名だ。８３年から８年間、単身自転車の世界一周に挑戦した。モンブランからサハラ砂漠、星を見て寝た。ある時はストリートファイトで、ある時はぶどう摘みで食費を稼ぐ旅だった。自らは何の名声も求めなかったが、武勇伝は今も語り継がれている。日本アドベンチャー・サイクリストクラブ（ＪＡＣＣ）の所属。　旅の途中にタイで修業。帰国後、沢村忠らを輩出した目黒藤本ジムの門をたたいた。これまで２６戦６勝（５ＫＯ）１５敗５分け、最高位はランク２位。　「本当にもうだめなのか、もう１度自転車で試してやれと思い付いた。前回オセアニアを通らなかったので今年１月、オーストラリアに出掛けた。走れたよ。何だやれるじゃないかと、うれしくなった」。　バイクフライデーという２０ インチ の旅行車をショップ「アマンダ」で調整してもらい、起伏の激しいコースを１日１００キロ以上走った。ニュージーランドを含めて１７００キロを走破。心のウオームアップは終わった。　試合準備のために、仕事も比較的重圧の少ない勤務に変えた。それでも「週６日から７日。練習時間がたっぷりあるわけではない」。時間がなければ警備の持ち場でスクワットをすることも。１日、２０００回。
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<h3><strong>左のミドル</strong></h3>
<img title="必殺の左のミドル" src="/files/cf8268bec0986eab5e8323b1766e260a.jpg?community_id=412" border="0" height="300" align="right" alt="必殺の左のミドル" width="236" /> 
　スパーリングが始まった。左、右、左。強いパンチで追い詰めていく。稲妻のように前蹴りが入った。汗が飛び散って、星くずのように輝いた。半歩踏み込んで「左のミドル」回し蹴り。ケイゾー伝説の必殺技だ。プロを含めた１０数人が、それを見守った。　今度の試合と同じ３分間２ラウンドが終わった。藤本勲会長（６６＝元東洋ミドル級王者）が相手の選手に「どうだった」と聞いた。「なぜか前に出ることができなかった。射すくめられたようで、動けなかった」。そうだろう、とでもいうように会長がうなずいた。ケイゾーは肩で荒い息をして、笑いもしなかった。　「いつもは勝ってやろうと思って試合に臨んだ。今回は勝つという確信がある。でも、ただ勝つだけでは満足できない。武道家として自分に恥じない試合をしたい」。相手を敬う。姑息（こそく）な勝負をしない。勝敗以上にこだわるものを内側に持つ。選手と武道家の違い。目の肥えたファンにはそれが分かる。会場は圧倒されるに違いない。　１９５８年（昭３３）６月３０日生まれ。試合の翌日が５０歳の誕生日だ。「年？　実感ないなあ」と笑った。</p> ]]>
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    <dc:date>2008-06-20T15:31:33+09:00</dc:date>
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    <description>&lt;p&gt;&#12288;&#28779;&#23665;&#12460;&#12473;&#12398;&#24433;&#38911;&#12391;&#31435;&#12385;&#20837;&#12426;&#31105;&#27490;&#21306;&#22495;&#12399;&#12414;&#12384;&#12354;&#12427;&#12364;&#12300;&#12394;&#12354;&#12395;&#12289;&#12371;&#12428;&#12418;&#29983;&#12398;&#22320;&#29699;&#12398;&#24687;&#21561;&#12391;&#12377;&#12363;&#12425;&#12301;&#12392;&#12356;&#12358;&#23798;&#12398;&#20154;&#12398;&#35328;&#33865;&#12364;&#26032;&#39854;&#12384;&#12387;&#12383;&#12290;&#31354;&#36335;&#12418;&#24489;&#27963;&#12375;&#12383;&#12392;&#12356;&#12358;&#12398;&#12391;&#19977;&#23429;&#23798;&#65288;&#26481;&#20140;&#37117;&#65289;&#12408;&#39131;&#12403;&#12289;&#65297;&#21608;&#32004;&#65299;&#65298;&#12461;&#12525;&#12398;&#21608;&#36938;&#36947;&#36335;&#12398;&#12469;&#12452;&#12463;&#12523;&#12484;&#12540;&#12522;&#12531;&#12464;&#12395;&#25361;&#25126;&#12375;&#12383;&#12290;&#65297;&#65300;&#12289;&#65297;&#65301;&#26085;&#12395;&#12399;&#12371;&#12371;&#12391;&#12300;&#12484;&#12540;&#12523;&#12539;&#12489;&#12539;&#12472;&#12515;&#12497;&#12531;&#12301;&#31532;&#65298;&#25126;&#12418;&#34892;&#12431;&#12428;&#12427;&#12290;&#36215;&#20239;&#12398;&#36899;&#32154;&#12289;&#24605;&#12356;&#12398;&#12411;&#12363;&#12495;&#12540;&#12489;&#12394;&#12467;&#12540;&#12473;&#12384;&#12387;&#12383;&#12364;&#12289;&#33258;&#28982;&#12392;&#38360;&#12356;&#12394;&#12364;&#12425;&#12300;&#20849;&#29983;&#12301;&#12434;&#30446;&#25351;&#12377;&#23798;&#12398;&#23039;&#12395;&#21191;&#27671;&#12434;&#12418;&#12425;&#12387;&#12383;&#12290;&lt;/p...</description>
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      <![CDATA[<p>　火山ガスの影響で立ち入り禁止区域はまだあるが「なあに、これも生の地球の息吹ですから」という島の人の言葉が新鮮だった。空路も復活したというので三宅島（東京都）へ飛び、１周約３２キロの周遊道路のサイクルツーリングに挑戦した。１４、１５日にはここで「ツール・ド・ジャパン」第２戦も行われる。起伏の連続、思いのほかハードなコースだったが、自然と闘いながら「共生」を目指す島の姿に勇気をもらった。</p><p><img title="まさに生の地球に出会う島。東側の名所「ひょうたん山」の火口付近を駆け抜けた（長谷川文撮影）" src="/files/aae6cada0d62fde94162f7ba5fe7b0b5.jpg?community_id=412" border="0" height="313" alt="まさに生の地球に出会う島。東側の名所「ひょうたん山」の火口付近を駆け抜けた（長谷川文撮影）" width="500" /><br /><br /><br /><strong>今も続く闘い</strong></p><p><img title="ここがヒルクライムコース。海岸沿いはこう配はきつかった" src="/files/bc5c030bd0c4dbc8b267c98afed75f3b.jpg?community_id=412" border="0" height="265" align="right" alt="ここがヒルクライムコース。海岸沿いはこう配はきつかった" width="350" />　島の南西部、阿古（あこ）地区をスタートして、海岸線を一気に駆け上った。１４、１５日のレースではヒルクライム３・５キロレースの舞台にもなる急坂だ。上るにつれて沖合１０キロ、湘南のえぼし岩に似た三本岳の岩が見えてきた。けれど他に陸地の影はない。「太平洋の島だ」の実感が汗とともに体からわき上がる。<br />　羽田から南南西に１８０キロ、空路３０分余り。伊豆七島のほぼ真ん中にある。<br />　００年、火山活動が活発化して全島避難した。帰島開始は０５年、火山ガスの影響は若干残る。風向きのせいだろう、ピッチを上げて西の海岸線に回り込むと、熱くなったのどにピリッと刺激が来た。スピーカーが、ガスの状況を刻々知らせている。３８００人中２９００人が戻ったが、闘いは今も続いているのだ。<br />　その島を１周する。観光サイクリストにはちょっとした冒険だ。</p><p><br /><strong>こう配と強風</strong></p><p>　１周３２キロ。「何だ、飛ばせば１時間だ」と軽く考えたが、とんでもない。２車線道路は整備も行き届いて走りやすいが、海岸線に沿って小刻みでしたたかなアップダウンが連続する。最大こう配は１０％。向かい風になるとけっこうきつい。<br />　和やかな集落を通ると思えば、荒々しい火砕流跡や、ガスにやられた白い樹林の真横を駆け抜ける。東側の赤場焼噴火跡（通称ひょうたん山）が珍しくて１度戻って走り直すとハワイからの？　強風に、借りてきた名車「アマンダカーボン２４インチ」がぐらついた。<br />　岬を回るごとに景色が変わる。ガスの濃い地区では住めなくなった家屋が災害のつめ跡をさらしているが、南側へ回ると木々の緑が空の青さと競い合い、野鳥の声が豊かに響く。これほど変化に富んだサイクリングは初めてだ。<br />　父親の自転車で見知らぬ町へ遠乗りした、少年の日の興奮がよみがえる。<br />　「三宅島は昔から火山と共生してきた島なんです」。役場で、観光振興課の堀部崇夫主事（２６）が話していた。火山と闘う日もあるが、共にも生きる。手付かずの、生の自然に出会える島だ。</p><p><br /><strong>思わぬ再会が</strong></p><p><img title="以前ダイビングを習った川本さんが、阿古の港で船にペンキを塗っていた" src="/files/84946940057993b3dd904fa5ba936b16.jpg?community_id=412" border="0" height="235" align="left" alt="以前ダイビングを習った川本さんが、阿古の港で船にペンキを塗っていた" width="350" />　阿古の港に立ち寄ると、屈強な男が船体を元気なピンクに色に塗っていた。なんと４年前、おやじがダイビングの手ほどきを受けたスクール「べたなぎ」（電話０４９９４・５・０３６６）のインストラクター河本起世久さん（６０）だった。<br />　「９５年にこの阿古で家屋も手作りでスクールを開いたが、全島避難で仕方なく伊豆に移った。ようやく戻ってみればアルミ部分がガスにやられて、家も半壊。一からやり直しになった。でも今は島にもお客さんがどんどん戻り始めている。火山の顔色ばかりうかがってはいられないからね（笑い）」。今は週末は伊豆、平日は島を行き来する。</p><p><br /><br /><strong>懐かしい昭和</strong></p><p><img title="夕日を浴びながら、名勝メガネ岩" src="/files/72d6903fffe4c44cbe571dab54377ec7.jpg?community_id=412" border="0" height="255" align="right" alt="夕日を浴びながら、名勝メガネ岩" width="350" />　三宅村の平野祐康村長（６０）は言う。「大資本を導入して劇的な復興を目指すのも一手ですが、むやみに急がず、我々は島の内側からわき出る力を大切にしながら再興したい」。たくましい島だ。戦後の一時期、昭和の日本にあふれていた復興精神に通じる強さだ。おやじ世代には懐かしい。<br />　勇気をもらって、名勝「めがね岩」の海岸へもうひと走り。大きな大きな夕日が直接海に落ちるのを楽しんだ後、民宿「かまかわ」（電話０４９９４・５・０１４３）で汗を流した。風呂のよしず越しに、おかみさん手作りの小さな畑を見た。砂地に、サトイモとネギ。それもまた「あのころ」の昭和の風景だ。<br />　ＣＧなどでは描ききれない、生の懐かしさ。時間が「いらっしゃい」と会釈しながら、ゆっくりと過ぎていく。帰りは竹芝まで６時間、のんびりと船で帰りたくなった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p>]]>
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    <description>&lt;p&gt;&#12288;&#31070;&#22856;&#24029;&#30476;&#19977;&#28006;&#21322;&#23798;&#12398;&#20304;&#23798;&#12510;&#12522;&#12540;&#12490;&#12408;&#20986;&#25499;&#12369;&#12383;&#12290;&#26032;&#22411;&#12398;&#33337;&#22806;&#27231;&#12434;&#12486;&#12473;&#12488;&#12377;&#12427;&#12363;&#12425;&#20055;&#12426;&#12395;&#12371;&#12394;&#12356;&#12363;&#12392;&#12289;&#35480;&#12431;&#12428;&#12383;&#12398;&#12384;&#12290;&#33337;&#37204;&#12356;&#12364;&#24598;&#12367;&#12390;&#23611;&#36796;&#12415;&#12375;&#12383;&#12425;&#12300;&#25805;&#32294;&#12373;&#12379;&#12390;&#12354;&#12370;&#12427;&#12290;&#33337;&#38263;&#12364;&#12356;&#12427;&#22580;&#21512;&#12399;&#12289;&#33256;&#26178;&#12395;&#20132;&#20195;&#12375;&#12390;&#36939;&#36578;&#12391;&#12365;&#12427;&#12398;&#12384;&#12301;&#12290;&#12360;&#12360;&#12387;&#12289;&#20813;&#35377;&#12394;&#12375;&#12391;&#12418;&#12356;&#12356;&#12387;&#12390;&#26412;&#24403;&#12363;&#65311;&#12288;&#26412;&#24403;&#12384;&#12387;&#12383;&#12290;&#65301;&#65296;&#39340;&#21147;&#12456;&#12531;&#12472;&#12531;&#12398;&#20184;&#12356;&#12383;&#12514;&#12540;&#12479;&#12540;&#12508;&#12540;&#12488;&#12434;&#12289;&#29983;&#12414;&#12428;&#12390;&#21021;&#12417;&#12390;&#25805;&#32294;&#12375;&#12383;&#12290;&#12362;&#12420;&#12376;&#12289;&#33337;&#38263;&#12395;&#12394;&#12387;&#12383;&#12398;&#12384;&#12290;&lt;/p&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;&#21152;&#36895;&#12377;&#12428;&#12400;&#23433;&#23450;&lt;/st...</description>
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      <![CDATA[<p>　神奈川県三浦半島の佐島マリーナへ出掛けた。新型の船外機をテストするから乗りにこないかと、誘われたのだ。船酔いが怖くて尻込みしたら「操縦させてあげる。船長がいる場合は、臨時に交代して運転できるのだ」。ええっ、免許なしでもいいって本当か？　本当だった。５０馬力エンジンの付いたモーターボートを、生まれて初めて操縦した。おやじ、船長になったのだ。</p><p><strong>加速すれば安定</strong><br />　こわごわアクセルのレバーを押し上げたら、グイーンと船が動きだした。波がドドーンとばかりにぶつかってくる。尻がどかんと突き上げられた。よさないか腰が痛い、年寄りをいじめるものじゃない。つぶやきながらさらに加速すると、船の先端が持ち上がった。持ち上がったまま船底が波とけんかし始める。<br />　ちょっと裕次郎っぽい気分、でも怖い。バランスを崩したら転倒しかねない雰囲気だ。思わず顔がこわばった。<br />　「いいんですか、これで」と、左隣に陣取った平岩昭宏船長（３０＝湘南サニーサイドマリーナ）に聞いた。船長、ふふっと笑って「これでは不安定ですね」。どうすれば？　「もっと加速すればいいんです」。エッ？　「今１分間３０００回転でエンジンが回っているでしょう？　タコメーターで確認してください。この回転域ではこのボートは先端が上がります。けれど４０００回転（時速約３５キロ）を超えると先端が下がってくるんです。安定します」。<br />　おっかなびっくり、座り直して覚悟を決めた。一気に回転を上げた。ブオーンと、５０馬力ホンダ製船外機（ＢＦ５０）の軽快なエンジン音が尻の後ろで響き始める。スポーツカーのようだ。と、前上がりになっていた船が、すっと水平近くに姿勢を戻し初めて、小気味よいほどハンドルさばきが楽になった。ヤッホーイ！<img title="写真右側が平岩船長、おやじ１人ではしゃぎすぎたか" src="/files/233e83e0d224509a3233fe4063329334.jpg?community_id=412" border="0" height="269" align="right" alt="写真右側が平岩船長、おやじ１人ではしゃぎすぎたか" width="500" /><br /></p><p><strong>ホンダ製船外機</strong></p><p>　海中部分の形状設計の妙なのだろう、水しぶきは意外に跳ね上がらないが豪快だ。大きなカーブから急旋回。００７の映画にもこんな場面があったっけ。<br />　自慢ではないが、船舶を運転する免許を持っていないのだ。モーターボートなんてのは金持ちの専売特許という時代を生きてきた。それを操縦するなんて夢の夢だと思っていたが、長生きはするのものだ。<br />　沖合で平岩さんから操船の手ほどきを受けた。緊急用のキルスイッチコードを手首に装着し、車と同じ丸いハンドルを回して舵（かじ）を切る。右手でアクセル・レバーを動かす。上に押せば前進、下なら後退。ブレーキは無用。ニュートラルに戻せば、船の抵抗ですぐ止まるからだ。<br />　船体はフィンランド製５人乗りで長さ５メートル弱。真ん中の船長席に陣取って教わった。興味津々だからものの５分で感じをつかんだ。回転を上げて滑走する時の「ひらり感」がたまらない。軽やかに風を切るオートバイの感覚がある。<br />　調子こいて急ターンしたら、こけそうになったが「まだまだ大丈夫」と、船長は顔色も変えない。右隣のホンダのスタッフは横を向いている。どうも、おやじ１人はしゃぎすぎてしまったようだ。少々ばつが悪かった。</p><p><strong>基本は右側通行</strong></p><p>　エンジンは水冷直列３気筒（８０８ＣＣ）。試乗したよりもっと高い５５００～６０００回転で本来の性能を発揮するらしい。専門家は「実用域の燃費とパワーが劇的に向上した」と話していたが、反応の俊敏さは素人にも体感できた。<br />　もっとも、いくら免許なしでもいいとはいえ、すべては船長の指揮下でのこと。操縦法はともかく、海の交通規則の基本は押さえておかないとと、前夜詰め込みで勉強はした。<br />　海上の基本は右側通行だ。これはバイキング時代からの慣習だとか。また舷側灯は右が緑、左が紅と決まっているから「紅を見たら相手に進路を譲るべし」とも。面（おも）かじは右旋回、取りかじは左旋回。ようそろ（宜候）が直進だ。<br />　でもそうした予習を忘れてしまうほど、海の上は自由で広かった。相模湾は明るい日差しにきらきら光って、波静か。見通しよし、にわか船長、笑顔よし。降りたら猛烈に腹が減った。</p>]]>
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      <![CDATA[<p>　マラソンスイマーとして世界の海で活躍中の松崎裕子さん（４５＝米国在住）がこの夏、茨城県霞ケ浦の天王崎公園で湖での遠泳女子世界最長記録更新に挑戦する。昨年１０月にフロリダ州オーランドで新記録を樹立したばかりだが、今回は８３キロ前後が目標。８月２３日前後、片道５００メートルのコースを往復して約３０時間で達成の計画だ。極限領域では幻覚症状が現れるという。下見のためにこのほど帰国した松崎さんに話を聞いた。</p><p><img src="/files/a9dff9b32b03ddeac242b3835e9f1edc.jpg?community_id=412" border="0" height="374" alt="" width="500" /></p><p>お<strong>祭り騒ぎに！</strong><br />　フロリダ州オーランドはディズニーワールドのほか、タイガー・ウッズら著名ゴルファーの居住地としても有名だ。そこに周囲２キロ、直径６００メートルの小さな湖がある。昨年１０月１２日午後６時、松崎さんは泳ぎ始めた。<br />　「いつも練習している湖に５００メートルのコースを設定して、これを往復。ディズニーの仕事をしているチャックさん（５０）がカリブの海賊の衣装をまとって現れ、カヌーでの伴走役を仲間２人と交代で引き受けてくれた。話を聞いた町のスイマー５０人が『私たちもリレーで１００キロ泳ぎたい』と言い出して、楽しいお祭り騒ぎになった」。<br />　遠泳の最長記録は各種あるが、湖でウエットスーツなしの女子記録はそれまで８０・３キロ。距離２０キロ以上の超長距離のマラソン水泳世界シリーズに日本からただ１人出場を続けてきた松崎さんは「アルゼンチンのラプラタ川など、川下りとはいえ８８キロ。距離に対しては自信があった」。事実体力的には問題がなかった。<br />　ところが。</p><p><img src="/files/a22f072bcfcf67b1f17874d79fa5fd59.jpg?community_id=412" border="0" height="200" align="right" alt="" width="182" /></p><p><strong>浮きながら仮眠</strong><br />　リレー組のスタートに時間を合わせたため、早起きの松崎さんはやがて睡魔に襲われた。「真夜中になってどうにも眠い。『私、寝るわ』と浮きながら５分ほど仮眠したがそれから幻覚が現れ、最後までずっと続いた。湖の底が盛り上がってきたり、ブイがゴリラに見えたり。最後、水から上がった時には『耳なし芳一』のように、全身に日本語の文字が書いてあった」。<br />　往復１キロごとに水中で、はちみつ入り紅茶を飲んだ。サプリのゼリーを約５キロ分。板チョコ３枚、おかゆも食べた。そのせいか体重は２キロ減っただけだった。<br />　「でも夜泳ぐのはやっぱり怖い。カヌーで伴走中だったバタフライのマスターズ水泳記録保持者でもあるジョンさん（５２）にライトをつけてもらったら虫やコウモリが集まって、まるで罰ゲームのような惨状に。水温は２８度だったが明け方は２５度に下がり、風も出て体が冷えた」。<br />　それまで世界の誰も知らなかった遠泳の極限領域だ。それでも泳ぎ続けた。<br />　「子どものころ、嫌いなピアノのレッスンを一日中させられて、我慢することを体が覚えてしまった。ましてや水泳は好きですること、つらいと感じた瞬間は１度もなかった」。ゴールは翌１３日午後１１時５５分。２９時間５５分で新記録８２キロを泳ぎ切っていた。</p><p><strong>仲間と意気投合</strong><br /><img src="/files/335c8b86859a71ea5e221ade88fcb737.jpg?community_id=412" border="0" height="200" align="left" alt="" width="162" />　本当は日本でやりたかったという。その夢が８月やっとかなう。霞ケ浦の東岸では毎年７月「ジョイフル・アスレティッククラブ」が遠泳大会を開いてきた。意気投合した。昨年の新記録は世界水泳殿堂などから認定を受けたが「今度は日本で記録を更新し、ギネスにも申請しましょうよ」。<br />　先週現地を視察。行方市天王崎公園前に５００メートル往復コースを設定した。朝７時スタート予定。支援のシステムもめどが立った。<br />　「賞金もギャラも、何も出ません、有名人にもなりません（笑い）。でも、泳ぐことが好きな人たちには、きっと何かを語りかけられる。それだけでいいんです」。水の冒険者、さわやかだ。</p>]]>
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    <dc:date>2008-05-01T15:39:01+09:00</dc:date>
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      <![CDATA[<p>　突起をつかんでぶら下がったが、ピンクのテープで示された次の足場がどえらく遠い。またが裂けそうだ。足先を伸ばしてもがいているうちに、手と腕の筋肉が消費期限を過ぎてしまった。ああ、落ちる！下で笑い声がした。東京・昭島市総合スポーツセンターで行われた「クライミング教室」に参加した。室内だからと軽く考えた。わが身は予想以上に重かった。腕力だけでは引き上げられない。あ、また落ちる！ </p><p><img title="地上９メートル。海津さんにロープで安全確保してもらい、ようやく垂壁の頂点近くにたどり着いたが（星野貢撮影）" src="/files/748cc53dc5d2bfcef65eb3a8acce1807.jpg?community_id=412" border="0" height="356" alt="地上９メートル。海津さんにロープで安全確保してもらい、ようやく垂壁の頂点近くにたどり着いたが（星野貢撮影）" width="500" /></p><h3><strong>沢登りより楽？</strong></h3><p>　高さ９メートルの垂壁がそびえている。一瞬ぎょっとしたが、無数の突起がボルトで留めてある。何だ、手掛かり足掛かりがこんなに豊富なら、沢登りより楽そうだと、初めは考えた。</p><p>　「うわあ、怖そう。帰ろうかな」。一応はおびえてみせたが、年配登山者の心のうちはそう謙虚ではない。「ふん、そのお年でたいしたものだと言わせてやろう」ぐらいの気概に富んでいた。それが。</p><p>　腰に安全ベルト（ハーネス）を着けて適当に壁に取り付くと「初心者コースはピンクです。ピンクのテープが張ってある突起だけを使ってください」。ベテラン指導員渡辺祥夫（６５）さんが丁寧に教えてくれた。</p><p>　そんな。ピンクの突起は間隔は３０～９０センチだが、設置が意地悪だ。間隔が近くてもつめの先しか掛からない物や、手や足を押し付けて動きの支点にはできても、体を休めることはできない物ばかり。</p><p>　「その右に左足、少し上に左手」と渡辺さんが安全ロープを引きながら指示してくれるが、まごついているうちに腕の筋肉が疲労で腫れ上がってきた。つかまっていられない。惨敗だ。「僕、落ちまーす」。</p><p><img title="「右足をクロスして左へ」。渡辺さんの指示が頭の中でねじれてしまう。腕を伸ばし、ひざを曲げて動く「基本」がなってない" src="/files/a6db264c72b12311f693ed4ff5b46733.jpg?community_id=412" border="0" height="300" align="right" alt="「右足をクロスして左へ」。渡辺さんの指示が頭の中でねじれてしまう。腕を伸ばし、ひざを曲げて動く「基本」がなってない" width="231" /></p><h3><strong>山を楽しむため</strong></h3><p>　ハーケンなどで岩壁を登る従来の「アルパインクライミング」に対し、７０年代から盛んになったのが人工的な手掛かりを使わない「フリークライミング」だ。</p><p>　ロープを使わずに５メートル前後の岩などを登るボルダリング、途中にロープの支点を掛けながら壁を登るリードクライミングなどがあり、人工壁のＷカップ競技では日本人も活躍している。</p><p>　「目的やスタイル、場所によって細分化されてはいますが、もともとは同じ登山の技術。共通する部分が多いだけに、年配者こそこうした室内で少しでも体験しておくことが、より安全に山を楽しむ基礎になります」（渡辺さん）。</p><h3><strong>見上げるのは・・・</strong></h3><p>　高さ３メートルほどの横長の壁をスパイダーマンのように伝うのが「ボルダリング」だ。つい腕を曲げて腕力でかじりつくが、これでは足が次の突起に届かない。筋肉もすぐ疲れる。</p><p>　渡辺さんが「腕を曲げるのは一瞬だけ。突起をつかんだら腕を伸ばして力を抜き、柔軟にひざを屈伸してリズミカルに移動するんです」。下半身で動く意識が重要だ。それが難しい。</p><p>　難しいが、横壁で少し苦労すると、９メートルの垂壁登りがずっと楽になった。反り返った上級者用の壁に挑む勇気もわいた。勇気だけで、挑んだらすぐに落ちた。落ちたが、面白くなってきた。筋がいいかも。</p><p><img title="「忍者返し」のように反り返った上級者用の壁。星野さんのアシストで勇気を出したが、結局これも落ちた" src="/files/36b5f022718a57cc823fd6d51242d7c7.jpg?community_id=412" border="0" height="189" alt="「忍者返し」のように反り返った上級者用の壁。星野さんのアシストで勇気を出したが、結局これも落ちた" width="300" /></p><p>　今回の教室を開いた山岳会岩峯登高会（代表星野貢）の海津正彦リーダー（６３）が笑う。「ところが実際の山では天候や緊張感から、ここで学んだ技術の３、４割しか発揮できません。そこが山の怖さ、面白さ。だからこそ逆に教室の意義もあるんです」。</p><p>　ここでも一般向けの教室が開かれるほか、都内近郊にも専門のジムが増えている。見えを張らずに楽しみたい。山歩きの自称ベテランが「初心に戻る」いい機会でもある。何より、若い女性が多い。かわいいお尻を見上げる快感は半端ではない。ムフフ。来週行こうか、ご同輩。<br /></p>]]>
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      <![CDATA[<p>　日本で最も長い歴史を積み重ねてきたボートレース「開成高校対筑波大付属高校定期競漕大会」第８０回大会が１９日、埼玉県戸田市で行われる。そのＯＢ戦の練習にかり出された。おやじも筑附の前身東京教育大学付属高校時代に「シート外し」の迷手として活躍したことがある。こぐのはそれ以来。「呼び戻した青春」はあまりに痛々しかったが、土手の桜に負けず劣らず、ＯＢ仲間の思い出話に花が咲いた。<br /></p><h3><strong>同年輩クルー</strong></h3><p>&nbsp; いきなり手が滑って、オールを水中深く突き刺してしまった。舟が揺れた。<br />　前をこぐ後輩の鈴木幹雄（６０）が、若いせいか体が柔らかい。おやじよりさらに一段体を伸ばして水をキャッチするから合わせるのが大変なのだ。「この胴長め。少し控えろ」。１年違いでも先輩は先輩である。<br />　すぐに手の皮がむけ始めた。足にも豆ができた。先月は母校の大学のアメフト部春合宿に飛び入りしたが、今回はＯＢチームの練習だ。補欠要員で呼び出されたが、６０歳前後の同年配クルーだから「年だから」という言い訳は通らない。</p><p><br />　出艇前、安藤頌太郎先輩（６６）から訓示を受けた。「秘訣（ひけつ）は（１）頑張らない（２）無理しない（３）あきらめる。以上を守れば、力みも抜けておのずと勝機も生まれる」。至言だ。「力を合わせて１つになる」競技だからこそ、味方がライバルになる。誰のこぎが強い誰が弱いの微妙な差を、クルーは常に感じ合う。だからつい我を張って（頑張って）調和を乱す。<br />　ただしおやじ自身は頑張った経験が全くない。<br /><img src="/files/4bf5c85c7ed78169ffe09f23f0a07447.jpg?community_id=412" border="0" height="320" alt="" width="500" /></p><p>　☆<br /></p><h3><strong>終了後本領？</strong></h3><p>　練習もサボり、艇も古かったため、尻をスライドさせるシートを外す「最も初歩的なミス」を繰り返した。ひんしゅくを買い、代表クルーに入れなかった。今回借りた艇は整備万全、その心配だけはなかったが、やがて腰痛が始まった。<br /></p><p>　１０００メートルの往復練習、２回目に乗った。後から加わったため、すでに勘を取り戻した他のＯＢについていけない。でも昔とは違う。今はもう誰もとがめてない。同情が胸に痛かった。<br /></p><p>　終わった後は楽しかった。「おれたちのころの母校は」談義が始まった。「自分を売り込んで出世しようなんて生き方を小ばかにしたよ」「そもそも歴史、伝統をへとも思わなかったし、身分肩書に頼る大人をさげすんだ」「卒業後に誰かが国会議員になって有志が激励会を開いたら『校風に反する』と、激励会を非難する会を隣で開いた連中がいた」。<br />　宰相初め政財界の大物の子息も多かったから「日本はせいぜいこの程度か」と、なめてかかる癖があった。エリート意識を嫌いながらも誇りは高く、怖い物なしだった。正義感は強かったが生意気だった。<br /><img src="/files/1cee0a98b24690c62059de72eb7609a7.jpg?community_id=412" border="0" height="300" alt="" width="500" /></p><p>　☆<br /></p><h3><strong>早慶より多い</strong></h3><p>　開成高との定期戦は２０年に始まり、付属の４０勝３９敗、今年が日本で最も多い「８０回」記念大会だ。ちなみに中断の多かった東商レガッタ（１８８７年～）は今年６０回目、早慶レガッタ（０５年～）は７７回目である。<br /></p><p>&nbsp;</p><p>　いろいろなことがあった。５７年大会は付属側に不都合があって欠場し、不戦敗となった。無念の歴史だ。<br />　しかしその年に出場予定だった両校クルーらが話し合い、昨年「幻の５７年定期戦」復活レースをやった。これぞ昭和のロマン。このライバル同士がまた妙に仲良くなり、レース後にエイトの「快族（開属）クラブを」結成、宮ケ瀬湖レガッタなどに出場している。</p><p>&nbsp;</p><p>　ボートは「何でこんな苦しいことを」と自問自答するような競技だ。だからこそ、相手校とも友情を温め合うことができるのだ。<br />　酒場で母校談義に花を咲かせていると、青春が「遠い思い出」ではなくなってきた。クルーがここにいる。青春は今、ここにある。</p><p><img src="/files/936df346ebb793600348fc963b6d50eb.jpg?community_id=412" border="0" height="400" alt="" width="500" /></p>]]>
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      <![CDATA[<p>　足元の雪がいつ崩れ落ちるか分からない、崩れたらどどーんと谷底だ。きわどい雪庇（せっぴ）の上しか通れる場所がない。やはり少々無謀だったか。悔やんでも遅かった。群馬県草津の本白根山（もとしらねさん＝２１７１メートル）へ遊びに行った。標高はたいしたことないが、樹木が密生して夏はこのピークに登れないという。「冬しか行けない」と聞いて功名心に駆られてしまった。</p><h3><strong>２時間でピーク</strong></h3><p>　寒さが和らぐのを待って、どこか雪の山に行こうと思っていた。少しは歯応えがほしいが、楽もしたい。<br />　アウトドアの達人、越谷英雄さん（６１＝ＩＣＩ石井スポーツ）に相談したら「本白根なら万座側からも草津側からもスキー場のリフトやロープウエーで接近できる。２時間足らずでピークに立てますよ」。そこにしよう。有名な「雪の季節しか登れない山」だ。<br /></p><p>　スキー場の上を回り込んで尾根に取り付いた。スキーを木陰に隠してスノーシューを履いたが、それでもズボッ、ズボッ。３０～５０センチも雪に潜り込む。汗と鼻水で顔がぐちゃぐちゃだ。<br />　リフトで一気に高度を稼いだ。体が高度に慣れていないのにいきなり動きだしたから、余計に酸素不足が体にこたえる。楽をした罰が当たったのだ。<br /></p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;<img src="/files/0b1bc550a1cc25c98ba9c85643c2c067.jpg?community_id=412" border="0" height="400" alt="" width="500" /></p><p>　☆</p><h3><strong>最高峰はどこ？</strong></h3><p>　酸素が回らないから、尾根に出たところで頭のＧＰＳが故障した。白根山一帯はほぼ２０００メートルのピークがたくさんあるので、どれが目指す最高峰２１７１メートルなのか、よく分からない。こっちか、いや違う。３回ぐるぐる回って、やっとかすかな踏み跡を見つけた。道がないから雪山は怖い。</p><p>&nbsp;</p><p>　そこから恐怖の雪中行軍が始まった。西側の斜面は緩やかだが背の低い針葉樹が密生し、スノーシューが引っ掛かって通れない。東側は切れ落ちている。極細の尾根に、断続的に２メートルを超す雪の壁ができている。<br />　乗り越えなければ先に進めない。でも、足場がない。スノーシューを蹴り込んでも、ストックを差し込んでも、壁はふかふかの新雪だからすぐに崩れる。垂直の犬かき泳ぎでもがいた。</p><p>&nbsp;</p><p>　ジャンプして体当たり。めり込んだ部分に肩まで腕を突っ込んで、なんとかはい上がった。息も上がった。パンツの中を汗が伝い落ちて、気持ちが悪い。全身雪まみれだ。その汗が、次の瞬間凍り付いた。<br />　下を見たら、自分が空中に突き出ている。夢中になって泳いでいるうちに、雪庇の上を歩いていたのだ。尾根に強風が当たると、その風下側に雪が張り出して、屋根の庇（ひさし）のようになる。知らずに踏み抜く遭難事故が後を絶たない。雪崩でも起こしたらえらいことになる。かといって通る場所はほかにない。<br /></p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;<img src="/files/c6aa594975dde5716fef2d63f3e114f7.jpg?community_id=412" border="0" height="350" alt="" width="500" /></p><p>　☆</p><h3><strong>危険個所約100メートル</strong></h3><p>　危険個所は約１００メートル。祈りながら通過した。山の神にざんげして通過した。「今朝、家内の財布から５０００円盗みました。お許しください」。緊張感はすさまじかった。<br />　スキーを履いてないとリフトに乗れないことがある。白根火山ロープウェイの降り口では入山届が必要、植生保護に十分留意などの心得が必要だが、上り約２時間。ピークに立った時は地球を征服したかのような感動だった。あたり一帯、ここより高い峰はない。</p><p>&nbsp;</p><p>　へん、これで威張れるぜ。「ちょっと雪山歩きを楽しみました」。さりげなく言おう。この安っぽい優越感こそ、人を山に通わせる原動力なのだ。<br />　そして限りなく、危険でもある。次は盗みも、バラ銭だけにしよう。</p><p><img src="/files/c3f467ea7e5007e5917c2697a050366d.jpg?community_id=412" border="0" height="400" alt="" width="500" /></p>]]>
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    <dc:date>2008-04-04T20:22:50+09:00</dc:date>
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