08年センバツ密着レポート

竹内大助の完全無欠の投球フォーム


小関順二さん

小関順二さん (9)

2008/03/29 00:55

 大会7日目の第3試合、鹿児島工対平安高は延長15回3対3のまま引き分け、再試合(3/30の第1試合)となった。この試合で注目したのは試合前のシートノックで、平安高がランニングスローをメニューに取り入れていたことだ。最近では珍しくないが、延長11回裏、鹿児島工・橋本和也の浅いショートゴロを河野圭太が捕ると、これを練習でしていたランニングスローでアウトにした。練習のための練習ではなく、練習でしたことがきちんと実戦に反映されていたところに平安高の充実を感じた。
 さて、この試合の熱戦はここまでで、今日取り上げるのは第1試合に登場した中京大中京高・竹内大助(左左・178/75)のピッチングだ。延長15回の熱戦をボツにしてまで取り上げる理由は、投球フォームの中に悪いところがまったく見られなかったからである。ヒジから回してバックスイングに入るため、ボールを持つ左手が体の陰に隠れ(背中のほうに入らない)、投げる直前のトップのときのヒジの位置が高い。こういうトップが形成できれば、まず右肩は早く開かない。さらにヒジを起点とした腕の振りが可能になるので「腕が振れる」と形容される腕の振りが可能になり、コントロールミスも少なくなる。この日の成績は5回3分の1を投げ(91球)、<被安打7、奪三振3、四球3、死球2、失点2、自責点1>だから、コントロールミスがなかったとは言えない。投球フォームがいいのに成績が伴わないのは体幹と下半身に強さがないためで、これが克服できれば「見事な左腕投手」となって、竹内は僕たちの前に再び姿を見せると思う。
 ディフェンス面にも触れると、竹内が一塁に走者を背負ったときのクイックタイムは1・62~1・73秒と遅い。当然、一塁走者は大きいリードを取ろうとするが、竹内が打者に投げると同時に二塁方向ではなく、一塁のほうに“帰塁”する選手が続出した。それではいけないと帰塁を怠った松村祥がけん制球の餌食になり、明徳ナインの足はますます委縮した。これだけ一塁けん制がうまいと、打者もバッティングに集中できなかったと思う。
 負けはしたが、中京大中京高は竹内をはじめタレント揃いの好チームだった。強肩捕手の田中勇次、好守と思い切りのいい打撃で目立った2年・山中渉伍(遊撃手)……等々。初戦で姿を消すのが非常に惜しまれた。そんな中で4番・井藤真吾(左翼手)は粘りのないステップからの強振を繰り返し、冴えなかった。安定して打つためには何をしたらいいのか、もう1回バッティングの基本に立ち返ってほしい。三村庸平(履正社高・投手)、田村圭(慶応高・投手)とともに、本大会で期待を裏切られた代表格だった。3人とも秋には素晴らしいプレーを見せてくれていたので、今後の復活は十分に期待できると思う。

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