08年センバツ密着レポート

奔放に投げて打って走る沖縄尚学の魅力


小関順二さん

小関順二さん (9)

2008/03/31 17:38

 大会10日目は沖縄尚学高対明徳義塾高の1試合のみ行われた。これまで1日3試合のペースで見てきたので物足りなさが残ると思ったが、いい試合だったので非常に満足して帰路につけた。よかったのは前にも書いた沖縄尚学の東浜巨(投手)、仲宗根一晟(二塁手)、西銘生悟(遊撃手)、伊古聖(中堅手)の4人。試合後、通路取材に行き選手たちの声を聞いたが、どの選手からも“古豪・明徳”に名前負けしなかったという声が聞かれた。また、沖縄尚学が監督の「強い指示」によって動かされているのではなく、かなり自主性が認められているチームだということも知った。
 99年にセンバツ優勝したときは金城孝夫監督(現長崎日大監督)という強い指揮官がいたが、当時のエースで現在は沖縄尚学の比嘉公也監督は金城監督ほど選手を支配しない。それが上記4人のような個性的で奔放な選手を生み出すのだろう。
 1回裏、3番西銘がフルスイングでレフトスタンドに2ランホームランをかっ飛ばすと、4番仲宗根は初球をレフトに大ファールし、2球目を打って大きなレフトフライに終わる。また、3回裏には西銘が2死から中前打を放つと、仲宗根は2-2から高めクソボール(ストレート)を大根斬りの空振りで三振するというありさま。味方・西銘の強打に対抗しようとして墓穴を掘ったことは明らかである。しかし、それが悪く見えない。こういう奔放さもいいなと思えるのだ。
「西銘くんがホームランを打ったんで負けまいと思ったんじゃない?」と聞くと、「力んだ気はしないんですが……」と力ない返事。話を好守備に振ると、県大会、九州大会はエラーが多く、まったく自信がなかったという。シートノックのときの足さばきを見たらエラーばかりしている仲宗根など想像できない。こういう話が聞けるところが取材のよさである。
 捕手の嶺井博希には東浜のことを聞いた。大きな横変化のカーブはわかるが、130キロ台で小さく横に変化するボールや、フォークボールのように小さく鋭く落ちるボールがバックネット裏からでは球種がわかりづらい。嶺井は記者や僕が東浜のことばかり聞くのにも嫌な顔ひとつせず、「球種はカーブ、スライダー、2シームの3つです」と明快に話してくれた。しつこく「チェンジアップとかフォークボールはない?」と聞いても、「ありません」と断言。この聡明な男が女房役で東浜はだいぶ助けられているに違いないと思った。
 伊古には「天理戦はもっと走ってくれ」と注文をつけた。明徳義塾戦で全力疾走の目安「一塁到達4・29秒未満~」をクリアしたのは、伊古の第3打席・セーフティバント3・93秒、2番伊志嶺大地(右翼手)の第3打席・セーフティバント4・08秒の2つだけ。聖光学院戦は4人・7回もクリアしているのだから、まったく走っていないことがわかる。「次はもっと走ってくれる?」と聞くと、伊古は「走ります!」と力強く約束してくれた。

ソーシャルブックマークへ投稿(ソーシャルブックマークとは はてなブックマークに追加 Buzzurlにブックマーク

コメント (0)

コメントはまだありません。



トラックバック (0)

トラックバックは受け付けていません。