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迷走する東都の星、村松伸哉はどこへ行く


小関順二さん

小関順二さん (8)

2008/04/24 23:25

 甲子園期間中、東都大学リーグ出身のスカウト氏と話す機会があり、「早大の斎藤佑樹は素晴らしい」という話になった。そして、そのあとスカウト氏は「東都の星は村松ですね」と言い、「2部に落ちたけど頑張ってほしい」と付け加えた。昨年春のリーグ戦に1年生ながら8試合に登板して、3勝4敗、防御率2・75の成績で全日本に選出され、日米大学野球選手権では大場翔太(現ソフトバンク)、斎藤佑樹を差し置いてMVPに選ばれた村松伸哉。しかし秋は一転して2勝7敗、防御率3・14まで落ち、日大との入れ替え戦では0勝1敗のあとの第2戦に先発して4回、8四死球、5失点の乱調で2部落ちの原因を作ってしまった。
 国学院大の1部復帰は村松の右腕にかかっているわけだが、4月21日の東京農大戦を見る限りでは「前途多難」と言わざるを得ない。投げにいくとき軸足が深く折れる形は昨年の斎藤佑樹に見られた悪癖だが、それが今は斎藤ではなく村松に伝染している。見るからに軸足に体重が乗っていないし、ピッチングの流れが悪い。オーバースローなのに体全体の横振れが目立ち、それが左肩の早い開きはなくても右打者の外角にボールが集中する原因になっている。
 それでも日米大学野球MVPはダテではなく、ストレートは神宮第二球場なのでスピードガン数字こそ不明だが、推定140キロ台後半の速さで、スライダーは縦・横ともアマチュア球界トップランクと言っていいいキレを備えている。それでも今の村松は相手打線を抑え切れないのである。
 以前から思っていたのだが、村松のストレートは150キロ台を記録しても打者手元でのひと伸びがない。「ドーン」ときても「ピュッ」がない。また、この東京農大戦ではスライダーがよく打たれた。曲がりの大きさ、キレのよさ、さらに相手打線との実力差を考えればそう簡単に打たれるはずはないと思うのだが、打たれる。球種がバレているとしか思えない。その原因の一つがランナーが一塁に出たときの投球だろう。クイックを計測していたらその球種の多くがスライダーだったので驚いた。塁上に走者がいたらストレートは怖くて投げられない、と言わんばかりの投球である。
 村松が1年春のようなピッチングを見せたら「ハンカチ世代」は今以上の輝きを見せるだろう。彼らが3年後になだれを打つように田中将大(楽天)が待ち受けるプロの世界に飛び込んでいく―――それを是非見たいし、そのためには村松の復活はなくてはならない。斎藤一人より村松がいたほうが奥行きが生まれるし、東京六大学勢だけより東都大学勢が加わったほうが広がりが生まれる。村松は自分が考えているより、野球界にとっては重要な選手なのである。

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