小関順二の08年夏 甲子園の逸材

甲子園大会のベストナインは誰だ


小関順二さん

小関順二さん (8)

2008/08/21 12:45

 前回で最後と思ったが、第90回大会を総括する意味でもベストナインを選出しておこうと思う。ちなみに日伯戦を想定して、ここでは指名代打を加えた。投手も1人では野手とのバランスが悪いので、左右1人ずつ選出した。
 右投手…今村  猛(清峰2年)右右 183/83
 左投手…岡田 俊哉(智弁和歌山2年)左左 177/68
 捕手……地引 雄貴(木更津総合)右右 183/76
 一塁……筒香 嘉智(横浜2年)右左 181/85
 二塁……町田 友潤(常葉菊川)右右 171/68
 三塁……西川 遥輝(智弁和歌山1年)右左 180/70
 遊撃……浅村 栄斗(大阪桐蔭)右右 181/78
 外野……橋本  到(仙台育英)右左 172/70
     内藤賢志郎(慶応)右左 175/68
     伊波 翔悟(浦添商)右左 176/74
 DH……坂口 真規(智弁和歌山)右右 186/90
 今成績というより、将来性を重視したのでエラーしまくった1年生の西川を三塁手で選出した。三塁手はそれだけベストナインに相応しい選手がいなかったということである。
 対照的に好選手が多く、選出に苦労したのが捕手。飯田大祐(常総学院)、谷勇哉(千葉経大付)、中村悠平(福井商)、土井翔平(智弁学園)、山城一樹(浦添商)は誰がベストナインに輝いてもおかしくない実力者ばかりだった。また、前回厳しく批評した常葉菊川から二塁手で町田を選んだ。町田もバッティングは悪癖中の悪癖・ドアスイングが目立ったが、それを覆い隠すような二塁守備が圧倒的に素晴らしかった。あれほどのうまさは時間を置いても他に思い出せない。早大から日本生命に入り、巨人、横浜で活躍している仁志敏久のような選手になっていくだろう。
 外野手の内藤は神奈川大会のときから化けたなと思っていた。春の桐光学園戦ではステップこそ粘り強かったが始動が早く自分のポイントで打ちきれていなかった(始動は早い順に1、2、3と分けて見ている)。それが今大会は、始動が1から2に変わった。始動が遅くなることによって投手のタイミングに惑わされなくなったのだ。もちろん3で始動をすればイチロー(マリナーズ)同様に、自分だけのタイミングでバッティングに専念できる。これが春と夏の大きな違いで、内藤を化けさせる最大要因になったと信じている。
 投手は今村と岡田が将来性と安定感で目立っていた。しかし、これを読んでいる人が10人いたら、10人が違う名前を出すのではないだろうか。それほど投手は絶不調の波に飲み込まれていたということである。
 最後になったが今月、『怪物たちの甲子園物語』(廣済堂文庫)という本を出したことをお知らせしたい。2年前に出版した『甲子園怪物列伝』(草思社)の文庫化である。また、雑誌『ホームラン・甲子園黄金時代』(廣済堂)では故・蔦文也(元池田高校監督)のことを約1万字という短くない原稿で書いた。どちらも自信作なので、興味のある方には是非読んでほしい。
 甲子園から帰って3日目、外に出る気が全くしない。17日間、来る日も来る日も銀傘の下で最高峰の高校野球を見、時に京セラドーム大阪でプロの試合を見ていれば、こういう魂の抜けたような状態になってもおかしくない。今日は頑張ってプロの試合を見に行こうと思う。

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