秋山正則の日記

<最高の刺激>浅井康太 /競輪・競艇


2008/05/20 20:20

浅井康太(23=三重・90期)
【最高の刺激】
 何もかもが初めてだった。弥彦という土地も、デビュー3年目にして経験するビッグのステージに立つこともだ。「すごい雰囲気ですね。こんなに多い報道陣をみるのも初めてだし、若い頃、テレビで見ていた選手が間近にいるなんて、もう緊張で押しつぶされそうですよ」と前検日は童顔の顔がやや青ざめて見えた。
 だが、浅井にとってはまさしく神のような声が聞こえてきた。レースに臨む前に、神山雄一郎から「落ち着いて頑張れよ」と声を掛けられたのだ。浅井が小学生の時、父に初めて競輪場へ連れて行かれた。その時に見た神山雄一郎の走りにしびれた。「かっこいい…」。その神山に憧れて輪界に入ったといっても過言ではない。その証拠にフレームの色まで神山仕様にしてあるのだ。
 号砲が鳴りハンドルを握り締めた浅井の全身には神山からもらったエネルギーが充満されていた。最終ホームから渾身のパワーで2着に粘り込んだ。「あのひと言で余分な力がすべて抜けました。そしてやるぞっていう気持ちがわき出てきました」。満面の笑顔でそう言う浅井には前検日の緊張感は吹き飛ばされていた。
 2日目も中団確保から捲り上げて2着と2日連続で確定板に乗るという快挙。「とにかく無我夢中ですよ。思い切ってやれているので気持ちいいです」と無欲の23歳は屈託がない。
 準決勝のメンバーを見て、さらに目を輝かせた。「すごいメンバーですね。伏見さん、平原さんですか。こんな人達と一緒に走れることが信じられない。やること? 当たって砕けるだけでしょう」と高らかに笑った。
 だが、さすがにGⅡの準決はレベルが違った。中団をキープできたのは良かったがあっさりさばかれて8着と大敗。「やっぱりステージが違います」とお手上げだ。最終日もホーム8番手と立ち遅れながらも3番手外並走まで詰め寄ったが、力尽きての5着。「組み立て、スピード、いろいろ自分の課題が見つかって、実りのある4日間でした。ありがとうございました」。爽やかさな一陣の風を残して競輪場を後にした浅井。中部の空に新星がキラリと光った気がした。

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