2008/05/12 17:29
武田豊樹は強かった。武田豊樹と後方から猛然と迫った岡部芳幸だけが本気だったのか。そういってしまえばもともこもないが、山崎と北日本VS小嶋、そして4回転パワーばかりがクローズアップされる中で、スーパーアスリート武田の存在感を見せつけた全プロ競技と前日の競輪「スーパープロピストレーサー賞」の昨年に続く連覇だった。 渡辺一成のスプリント優勝の取材のためにバンクに降り立り、ごった返すバンク内であわただしく、ケイリン決勝がスタートした。確かにもう6時を過ぎて日没も怖かったが、スプリント決勝後すぐの本来メーンであるはずのケイリン決勝スタートの味気なさは否めなかった。 それでもレースは白熱したものになった。全プロのケイリンでは多々あることだが、普段「競輪」で前で世話になっている追い込み選手が、ここで逃げて恩返しする風景が見られる。そんなレースは車券を売っていないのが悲しくなるのだ。 今回の決勝戦で逃げたのは加藤慎平。番手は村上義弘だ。しかしそんなことは3連覇のかかる武田には関係ない。ここの3番手位置を金成和幸と取りあいになるが、あっさりと奪い、さらにホーム手前では、一気にスパート。すでにたれ気味の加藤を2コーナーで完全に飲み込んだ。後は自分の力を信じて全開で踏み上げるだけだった。3連覇を砕こうとあきらめねかったのは山崎芳仁の欠場で最後方8番手にいた岡部。「寛仁親王牌」理事長杯は次点で、ここを1着でなければ権利が取れない。そしてそれは武田も同じだった。 古都バンク独特の短い直線。それでも勢いは岡部だった。「抜かれたと思った」瞬間がゴールだった。手を高く上げたのは岡部だったが、写真の判定は武田のケイリン3連覇を指し示していた。「3連覇は難しいことだとは思いますがあくまでも競技ですから。それよりも自力で勝ち切れたことが次の競輪につながる」と笑顔は少なめに淡々と話した。昨日のスーパープロピストレーサー賞では平原康多の番手戦の勝利。悲願のGⅠタイトルは自力で取りたいと話し、先行選手としてのプライドを覗かせていたのを思い出した。 全プロ直前の平塚記念決勝で山崎芳仁相手にホームで一気にカマシて最後は信じられないパワーでまくり追い込まれたが「久々に手応えのあるレースができた」と話していた前検日の武田豊樹。ダービーはあっせん停止で出場できなかったが、ここにきてGⅠタイトルに向かって、最高の状態とモチベーションを取り戻したように見えた。「昨年もスーパープロピスト賞とケイリンを勝って、高松宮記念杯に向かったけど全然だめだったですから弾みがつくわけじゃないですよね」と苦笑いしたが、今回の高松宮記念杯の武田はひと味違うような予感がする。好きな選手だけに、タイトルを取って欲しい気持ちも強い。
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