破滅型ギャンブル記者のナルシスト宣言

画家と庭師とカンパーニュ /芸能


2008/10/28 01:37

 死を寸前に自分の菜園に寝転がって、モーツアルトを聞く庭師のシーンに涙が止まらなくなった。

 久しぶりにフランス映画の佳作を見た。「画家と庭師とカンパーニュ」。邦題どおりにパリで名を上げた画家と幼馴染の庭師との会話で、酸いも辛いもかみ締めた老境を迎えた親父たちの心情がフランスの田舎の風景の中で浮かび上がらせる構造。まさに脚本と光と影を鮮やかに映し出す撮影の妙で見せて飽きることがない。画家が描く絵も絶品。そして重くならない音楽の演出もいい。


 特に素朴な味を出す庭師がいい。死を迎えて、画家と2人して大きな鯉を釣るシーンも秀逸だ。庭師が「死神」といってはばからない鯉を捕まえてはすぐに離すシーンは東洋哲学的な解釈ができていかにもわかりやすい。少しべたすぎるきらいもあるが、それでもキラキラ光る水面と跳ね返る鯉と2人の生き生きとした表情とを同時に映し出してこの映画の最大のクライマックスをさわやかに見せてくれる。


 妻を愛しているのに、裸のモデル(本当にふくよかで仕方がないと思わせる女優を使っている!)と浮気を繰り返す俗人の画家もまたいい。


 庭師の死のシーンにはいっさい描かなくても、庭師が奥さんと呼ぶ嫁や友人の画家の喪うことの悲しさを際立たせながら、重くならず最後まで軽妙に描き、さらに生きていることの讃歌を見事な風景とともに見せてくれた佳篇に素直に拍手を送りたい。

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