2008/10/28 01:56
日本のドストエフスキーこと高村薫節を久々に堪能した。 高村作品で一番すきなのは合田刑事シリーズの「照柿」だけど、「李歐」はそれに勝るとも劣らないねっちこい描写で理系の平凡な青年が生活する工場の風景と男と男の情愛で描いてみせる異色作だ。 最後のあまりのも理想郷と高村作品ではありえないあまるにもハッピーエンドぶりには賛否両論はあるだろうが、それまでの平凡な理系の青年の心象風景のディテールの素晴らしさで、ねちねち読ませてくれる このねつっこさが高村ファンにはたまらないのよね。嫌いな人にはとことん嫌われるのだろうけども…。平凡な青年は犯罪に巻き込まれる過程もあまりにもいり込んでいて凄い。そしてあまりにも現実離れしている中国国家が生んだ殺し屋・李歐の人物造形も凄い。この2人が恋愛関係を超えた友情に発展していく過程もやはり尋常ではない。しかしこの現実離れを、リアルに見せてくれる圧倒的な筆力が高村氏の真骨頂。この作品は完成度やスケール感からいって代表作の「レディージョーカー」や「マークスの山」にははるかに及ばないだろう。でもどの作品が好きかといいえば「李歐」や男女の情愛をここまでねちっこく描いた作品を見たことがない「照柿」と応える高村ファンは多いのではないかと勝手に邪推する。 星印4つ以上(☆☆☆☆☆が満点)は上げたい。
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