ゴルフ担当・【木村有三】記者の日記

そして、ウッズが勝った! /スポーツ


2008/06/17 07:38

ウッズの心の中は、いったいどうなっているんだろう。

 

 最終日の18番。ミーディエートに1打遅れを取り、翌日のプレーオフへ持ち

込むための絶対条件がバーディーだった。第1打は、左バンカーへ。その時点

で、2オンをあきらめ、9番アイアンでレイアップ狙いに切り替えた。だが、しか

し、少しだけプッシュアウトした打球は、右ラフへと消えた。ウッズらしからぬ

「凡ミス」だった。18番のピン位置は、砲台グリーンの手前。ラフからでは、距

離を合わせるのが至難の業だ。致命的に思えた。

 

 土壇場の1打の重要性は、嫌というほど分かっている。だからこそ、ウッズも

怒った。クラブを地面にたたきつけ、放り投げた。イラだっていた。普通の選手

なら、ここで終わりだろう。第3打の難度も高い。容易に、気持ちを切り替え、

再度集中するなんて、できない。だが、ウッズは、第3打地点に立った時点

で、第2打のミスは忘れていたのだろう。険しい表情で、ラフの状況を確か

め、メモを見てピン位置も確認。ウエッジを持つ素振りでも、何度も弾道のイメ

ージを描いたのだろう。「まだ勝負は終わっていない」。極度の集中力を再び

発揮したのだ。残り100ヤードあまりから、ピン右4メートルへ、あのラフから、

きっちり距離を合わせてきた。

 

 運命のバーディーパット。ウッズなら入れるだろう。そう思って見ていた。

それでも、メジャーの優勝がかかった最後の1打だ。外した時点で終わり。

ウッズでも、最大級の重圧が掛かっていたはず。だが、そんな重圧を吹き飛

ばすように、ウッズは鬼の表情でグリーンを読んだ。芝をにらんだ。「入れるん

だ」。打つ前から、気迫が、執念が、全身から漂っていた。

 

 パットは、デコボコのグリーンを跳ねながらころがり、わずかにフックラインを

描いて、カップ右淵から周りこむように、消えた。

 

関西国際空港のテレビで、18番の一部始終を見ていた。鳥肌が立った。

すごい。すごすぎる。神の領域。でも、やることを、精いっぱい尽くした結果な

のだとも思った。あきらめないで、最後の1打まで、やれると信じきるからそ、

できる業(わざ)なのだと。

 

プレーオフは、残念ながらソファーで、眠ってしまい、慌てて起きれば、もう決

着がついていた。プレーオフになった時点で、ひざのケガを負っているとはい

え、ウッズが勝つと思っていた。

 

 印象的なシーンがあった。19ホール目。決着がついた後、ウッズはキャディ

ーのスティーブと笑顔満開で喜んでいた。だが、その直後、激闘を繰り広げた

相手のミーディエートと握手を交わす前には、笑顔は消えていた。笑って、相

手と握手するのは失礼だ、という気持ちからなのだろうか。真剣勝負した互い

同士。最後も真剣な表情で締めたかったのだろうか。その姿に、鬼のような気

迫あふれる表情で勝利を追うウッズの、勝負を終えた後の気づかい、優しさ、

真のスポーツマンシップを感じた。

 

 久々の好勝負。ドラマがあるゴルフ。 

 

歴史に、記憶に残る全米オープンになった。

 

 

 

 

 

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コメント (1)

ナルシストさん

ナルシストさん (3)

2008/06/17 11:05

 さすがの見聞記です。門外漢には書けない内容(生で見ていてあまりの興奮ぶりに先んじて書いてしまい申し訳ない限りです)ですな。
 僕も競輪なら負けませんよ。競輪でもこういう名勝負が生まれる可能性は絶対にあると信じて、日々取材に走り回るだけです。



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